感染症三昧で夏終わるじゃん、と思っていたけど案外元気
続・「背中の痛みで眠れない」
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数日間寝込み、1日半くらい家で仕事をして、週末は布団の上で過ごした。コロナというのはすごいもので、身体と喉が異様に痛い。すなわち睡眠も食事も十分にとれない。寝てはいるけどいつまでも眠いし、食事はちっとも楽しくない。なんなら食べる気が起きない。
そんななので、ある程度症状がおさまっても、体力が回復するには随分時間がかかった。そりゃそうよね、と思う一方で、なんとかやり過ごすだけの毎日はつまらないと思った。
やることがあって気が紛れるし、程よい距離感で人と交われるから、働いているのは割と良かった。
そんなこんなで次の週末がやってきた。
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また布団の上で過ごすことになった。働いているのは良かったけど、疲れてはいるのだ。いつも以上に。体力が落ちているんだから。そんな状態なので、いつもならあてもなくプラプラ出歩くことが多いのだけど、そんな気力も起きず、なんなら家のことをする気力も起きず、布団と一体になって過ごす。寝て、BGM的に流れるYouTubeやネトフリの動画を潰れたまま観て、少しだけ本を読んだ。
数日前よりはお腹が空くようになったことに気づく。だがいかんせん身体が重い。適当なものを口にして、風呂に入って寝た。
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翌日も身体が重かった。引き続き溶けていた。だんだん、溶けていられなくなってきた。ここまでくると、そろそろ固形になるタイミング。
手始めに、少し早い夕食作りに取り掛かる。実家から送ってもらった夏野菜が色々とある。オクラを茹で、トマトをさいの目に切る。ナスをごま油で炒めてから味噌汁に。シシトウは鶏ももと一緒に焼いた。
自炊はすごい。自分のために食事を用意して食べるだけで「今日も1日頑張ったぞ」という気がしてくる。作家のくどうれいんさんがエッセイかポッドキャストか何かへの寄稿で言っていた/書いていた文句の受け売り。
今日はきっちり料理をした。「何もなかった1日」ではなく「頑張った1日」だった。
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平日は一瞬で過ぎる。仕事は「ぬあ!」と思うこともあるし「ほーぅ、そうきますか」と思うこともある。今日やるべきこと、今週やるべきこと、今期やりたいこと、とかを組み立てながらやっていると、そしてその合間に急な差し込み案件に対応していると、シャーっと時間が過ぎる。
そんな日中を過ごしつつ、夜はできる範囲で自炊をしたり、好きな惣菜屋さんまで散歩がてら行ったり、ネトフリの映画を観たり、ヨガストレッチをしたり、湯船に浸かったりして日常を取り戻していった。少しずつだけど、体力が戻ってきている感じがする。
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またやってきた週末。やや身体は疲れているものの、平日とそう変わらない時間に起床。今日は色々済ませておくべきことを済ませたい。でもそんなすぐには起き上がれないので、とりあえず漫画を読んだ。
ご飯が炊けるのを待っている間、朝ごはんの支度をする。ある程度終わったら干したままになっている洗濯物を畳んでしまう。ご飯を食べて一息つき、食器の片付け。掃除。お腹がこなれてきた頃にヨガストレッチ。
ここまでやると、一定の達成感があるので昼寝をしたくなるが、我慢。来月に5年ぶりの海外旅行を控えている。あれこれ準備しないと。久しぶりすぎるのと初めての行き先で、ワクワクと不安とが入り混じっている。そういうときは早めに準備して、不安は取り除いちゃったほうがいい。
過去の記憶を引っ張り出し、必要なものを家中から集めて小袋に入れたり、ご無沙汰していたスーツケースのホコリをはらって「でかいなスーツケース」と思ったり。地球の歩き方なんか手元に置いちゃったりして。荷物のチェックリストを見ながら、買い物リストをつくる。
目的が定まった状態で出かけることは普段あまりしないのだけど、リストを手にして買い物をするのも楽しかった。つかうシーンとか場所をイメージして。旅行の準備は面倒だけど、やっぱり楽しい。
ご飯を食べて帰宅。3週間ぶりにまともな外出をした。疲れたけど、とても楽しかった。
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隣駅の本屋に行く。気になる単行本が2冊もあって頭を抱えた。前から気になっていた1冊と、なんとなく手に取ったら面白そうな書き始めだった1冊。両方とも数ページ立ち読みして、悩んで、結局直感が大事だと自分に言い聞かせ、一緒に来ていたパートナーにまで「これどう?よくない?」と言って聞かせ、購入。本は「これは今読みたい」に抗わず、すぐに買ってしまう。
うち1冊が、スズキナオ「家から5分の旅館に泊まる」。スズキナオさんのエッセイは、"しみったれ"ていて(「遅く起きた日曜日に-」だったかで、ご本人が書かれていた)、でも面白がったり人と交わるのを諦めたりはしていなくて、その温度感が好きだ。
今回の「はじめに」でも、新刊書店に並ぶ前向きでまばゆいことばにしんどく感じたこと、旅に出れば癒しやパワーをもらえるとかそんなことは必ずしもないのだけど、でもちょっと日常から離れて、知らなかった景色を見られて、思うことがあったこと、暗くて静かな旅行記を書こうと思ったことが綴られていた。たしかにある日常と、たしかに残った記憶が書かれている感じが、私のこころにフィットする。
それから、各地での出来事を読みながら、訪れたことがない土地も以前より身近に感じている自分にも気づく。無意識のうちに「遠いところ」「縁がないところ」「頑張らないと行けないところ」と思っていた日本のあちこちに対して「案外行けるところ」「1年以内にでも行きたいし、行けるところ」と認識が変わっている。
知らないどこかへ行ったり、初めてのことをやったりすることは、案外やればできることなんだと思うようになったのかなと思った。
20240825 Written by NARUKURU