伝えたいことは楽しみとセットで提供する
NFTのブームが訪れた始めた頃、私もその波に乗り、クリプトパンクスに憧れて24×24ピクセルのアートを制作し、歴史の偉人をテーマにした作品を販売していました。その結果、10個ほど販売することができました。
幼少期、当時、ビックリマンチョコが流行っていました。しかし、私にとってビックリマンチョコは高価で、簡単に手を出せるものではありませんでした。そこで、100円のガチャガチャで手に入る、10枚ほどが抱き合わせで入った偽物の「ロッチ」と書かれたビックリマンシールを集めていました。高学年になって、それが偽物だと知った時のショックは今でも忘れられません。本家ビックリマンにはストーリーがあり、キャラが進化していったりします。(ロッチにはストーリーがあったのかは覚えていません。。。)
「集める」と「文脈」はとても相性が良いのです。
嘉手納町クロニクルステッカー:歴史と文化を手元に感じるデザイン
全16種類から成る「嘉手納町クロニクルステッカー」シリーズは、嘉手納町の歴史と文化を象徴するデザインを一つ一つに込めています。例えば、かつて屋良ムルチという沼地に大蛇が住んでいたという伝説を元にしたデザインや、沖縄軽便鉄道の終点として栄えていた頃の嘉手納町を思い起こさせるデザインなど、町の過去とその物語を細やかに表現しています。
これらのデザインは、サイズ感やビジュアルを統一することで、収集欲をかき立てる魅力を引き出しています。自然と「全種類を集めたくなる」ような仕上がりを目指し、各ステッカーが語る物語を通じて、嘉手納町の歴史が手元で息づき続けることを意図しています。
ツーリズムエキスポでの成功と即売れの反響
今年のツーリズムエキスポでは、来場者に向けてインスタグラムのフォロワー特典としてこのステッカーを配布しました。その反響は予想を超えるもので、多くの方から「販売していないのか?」という問い合わせを受けるほどの人気ぶりでした。そのため、急遽エキスポ開催中に「おきなわlikes共同売店」での販売をスタートしましたが、初動で完売するほどの盛況ぶり。現在、再発注を進めているところです。ご購入をお待ちいただいている方には少しお時間を頂戴いたしますが、再入荷を楽しみにお待ちください。
16のデザインに込めた嘉手納町の物語
嘉手納町にはリゾートホテルやビーチといった定番の観光資源は多くありませんが、古くから地政学的な拠点として栄えてきた場所です。比謝川を中心に物流と人の交流が盛んであったこの町は、沖縄戦時には比謝川から米軍が上陸し、多くの土地が米軍の統治下に入りました。戦後の統治時代には、沖縄とアメリカの文化が交わり、独自のカルチャーが生まれました。しかし、度重なる開発の波により、多くの歴史や文化が姿を消していったのも事実です。
上記のようなラフから具体的なものへ作り込んでいきました。
私は、そんな嘉手納町の過去と物語を16種類のステッカーに込め、それぞれが持つストーリーが手から手へと渡り、再び繋がっていくことを目指しています。ステッカーを通じて、嘉手納町の魅力と過去を感じていただければと思っています。
次への挑戦とステッカーに込めた想い
当初は、各ステッカーの裏面にそれぞれの物語を記載する計画がありましたが、限られたスペースのために実現には至りませんでした。この点には少し悔しさも感じていますが、今後、別バージョンでこのアイデアを形にしたいと考えています。ステッカーを手に取ることで、嘉手納町の豊かな歴史と文化を感じていただけるように、これからもこのプロジェクトを進化させていきます。
デザインは studio_zube さんが手掛けてくださいました。
ちんすこうの掴み取りを戦略的に展開するアプローチ
私たちがツーリズムEXPOで実施した「ちんすこうの掴み取り」は、単なるエンタメ要素ではなく、明確な戦略に基づいた取り組みです。この試みは2023年から始まり、今ではイベントの定番企画として定着しつつありますが、その背後には、嘉手納町の魅力を効果的に伝えるための計算された意図があります。
発想の原点とマーケティング戦略
ちんすこうの掴み取りのアイデアは、恩納村の「おんなの駅」での経験から生まれました。産直市場で実施されたお菓子の掴み取りイベントが大盛況で、大行列ができていた様子を見て、この体験を嘉手納町のPRに応用できるのではないかと考えました。特に、観光展示会のような場で、手軽に楽しめる体験型イベントを用意することで、来場者に「楽しさ」と「記憶に残る体験」を提供し、嘉手納町の印象を深く刻み込むことができると確信しました。
バンドワゴン効果と集客の仕組み
ちんすこうの掴み取りは、参加者が列に並ぶことで自然と注目を集める、バンドワゴン効果を活用した施策です。行列ができることで「何か面白いことをやっている」という好奇心を引き出し、他の来場者をも引き寄せます。参加者が楽しそうにちんすこうを掴む姿は、その場の雰囲気を和ませ、イベント会場全体にポジティブな空気感をもたらします。こうして、ちんすこうを掴むというシンプルな行為が、嘉手納町への興味を引き出すきっかけとなります。
ちんすこうつかみ取りを怒ってやる人はいない。
コミュニケーションと感情の連動
ちんすこうの掴み取りでは、クリアボックスに入ったちんすこうを、参加者が順番に手を入れて掴む形をとっています。この際、スタッフからの声かけも重要な役割を果たしています。「いっぱい取ってくださいね」「遠慮せずにどうぞ!」といった励ましの言葉をかけることで、参加者の緊張感を和らげ、自然と笑顔が生まれます。この一連の体験を通して、嘉手納町のブースでの時間を「楽しい思い出」として心に刻んでもらうことができます。
「南国製菓」さんとのコラボレーション
使用するちんすこうは、嘉手納町にある「南国製菓」さんの製品です。同社は、第24回全国菓子大博覧会で厚生労働大臣賞を受賞しており、地元でも愛されている伝統菓子を提供しています。このように、嘉手納町に根ざした企業と協力することで、地域の魅力を体験とともに発信することができ、ブースの一体感を高めることができました。
体験を通じて広がる「嘉手納」の認知
ちんすこうの掴み取りを通じて得られるのは、ちんすこうの量だけではありません。参加者が掴んだちんすこうは、嘉手納町の観光情報が詰まったパンフレットとともにお渡ししています。体験の楽しさとともに、嘉手納町に関する情報が参加者の手元に残ることで、イベント後も「嘉手納町」の名前が意識され続けるのです。
おきなわlikes共同売店にて嘉手納町クロニクルステッカーやTシャツを販売しています。よかったら覗いてみてください。
https://okinawalikes-shop.okinawatraveler.net/