【感想】gift
レビュー数1,000を超える作品を持つ、超超超人気クラスの先生の作品は、やはりそんじょそこらのBLとは一線を画している。
このような伝説的傑作を生み出せる先生は、そうそうお目にかかれないありがたい存在であり、一ノ瀬ゆま先生は、もちろんそのレジェンド先生のお一人である。
ずっと気にはなっていたが、ヨネダ先生の作品を知って、戻ってこれなくなった時と同様、これ、読んで、またしばらくアンリミじゃ満足できなくなるんじゃないの???とためらっていた。
で。
実際読んでそうなった。
BLに喰われず、ただし、BLの萌えもしっかりある。
BLの醍醐味を損なわずに、BLを活かした骨太な作品はなかなかない。
まじで天才だーー。
絵もすごい綺麗だし、ずっと見てたい。
エロいし可愛いし、もおおおお。
と、悶絶しながらも、
私がこの作品から受け取ったメッセージは、
愛情の種類はたくさんあって
キャッチボールがうまくいかないと歪んでしまう
ということだ。
神聖なものに対して、畏れや憧れを抱くことはあっても
それを愛情として正しく届けることは難しそうだ。
反対に、手に負えないほどの器を授かった方も、当然、正しく受け取り返すことができない。
どちらも、渡したいものの本質は同じだったはずなのに、白石一家はとても辛かっただろう。
一番の被害者は子供たちだろうけど。。。
名前は誰がつけたんだろうか?
お兄ちゃんの
梏
→しばる、枷をはめる
という意味らしい。
父に縛られ、弟に縛られ、その後も崔に縛られって・・
かわいそすぎる。。。
ずっと囚われ続けた人生。
ううう。絶望を味合わせるだけでなくて、ちゃんとコウにも、最後は正しい愛情を与えてあげてほしい(涙)
宥も誰がつけた名前なんだろう?
死んでしまったお母さんなのかな。
プロボクサーになってほしい、と願う父が、選択しなそうな漢字だ。
でも、実際、その名の通り、優しく自己犠牲も厭わず、選手に寄り添う最高のトレーナーとなっている。
勁
こちらも、プロボクサーになるべくしてのお名前。
力強く、逞しい。
こんな難しい漢字をつけれるくらいの頭があるのに、どうしてあそこまで壊れていってしまったのか、、お父さんまじで最悪すぎる。。もっと自分が強くなってくれよ・・・。
そんな、名は体を現すな登場人物たちが、それぞれの苦しみを乗り越えたり、乗り越えなかったりして、その後の人生をとめどなく妄想してしまう。
ストーリー展開も、ハラハラがたくさん仕掛けてあって、
荒川会長が出てきた時は、ロッキーみたいな展開に!?とハラハラし、疋田が出てきた時も、何この人、、怖っといつ発動するかハラハラし、
と、思ってたら、どっちもめっちゃ小物で、実は、すごい黒幕が・・・って。
話めっちゃ壮大になってるのに、きっちり3巻で無駄なく無理なく回収してて。
スカッとするのに、取ってつけたような浮ついた恥ずかしさを感じず、読後の満足感が高いのは、作中に描かれていない設定もしっかり作り込まれているからこそだろう。
もし可能なら、もちろん、コウとチェのその後や、大東宮先生とチェの過去や、ハチやミケ、先生、ユウタミラーの潜入までのあれこれ、など、そっちサイドの話も読みたいけれど、そうやって、冗長にさせずに、ズバッと切って、終わりにしているからこそ、より一層、宥と勁のハッピーエンドが引き立つ。
宥も勁も、信じられないくらい、ピュアで。こんだけ、ハードな設定とストーリー展開を盛り込みつつ、やっぱり、軸はぶれずにBLなところが、本当に稀有な作品だ・・・。
100%以上の愛情を正しくキャッチボールし合えた2人をずっと見ていたい。
この作品読んで萌えない人いるかっていうくらいの、幸福を与えてもらえる。
殿堂入りの繰り返し読本決定である。
最新作品のエデンの・・・の方も素晴らしかったが、giftのパワーが強すぎて、まだ、こちらの沼から、完全に地上に上がって来れず。
しばらく、浸っていたい・・・。
ありがとう、宥・勁・・・(涙)読めて幸せすぎる・・・。