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2025年度ゼミナールガイダンス

このエントリは立命館大学産業社会学部中根ゼミの学生向けです。


テーマ:「福祉社会をデータで捉える」

2025年度の中根ゼミは「福祉社会をデータで捉える」をテーマにしようと思います。COVID-19は、社会のデジタル化を一気にすすめ、働き方を多様にしました。いっぽうで少子高齢化はもう必然の要件であり、慢性的な人手不足・財源不足にどのフィールドも悩まされています。このゼミでは「人や予算の効果的な配置」を目指して、福祉社会を統計的なデータを使って考察します。

近年、データサイエンスやEBPM(Evidence Based Policy Making)が注目され、社会調査やデータセットを利用した分析などが社会科学でも必須のスキルとなってきています。難しい数式は使いませんが、Rをつかったコードを書く訓練はしてもらいます。

ソフトウェアは「指示されたこと」しか返してくれません。エラーもたくさんでます。エラー(もちろん英語です)が出た時、自分でエラーに向き合い、翻訳し、コードを修正し、再度チャレンジすることができる人が向いています。新しいソフト/アプリを自分で使ってみる意欲/わからなければ調べる心意気/エラーがでても挫けない気持ち、このゼミではあったほうがいいです。

前期はリサーチデザインに関する文献を読む時間と、Rでコードを書き、統計学の復習を行います。知識や技術が付いたら、公開されたデータセット(これもたいてい英語ですが…)を使って、グラフをたくさん書いてみましょう。

後期は、各人が深めたいテーマに沿って論文の検索・蓄積・発表などを行いましょう。

ゼミの開講形態はPCを持ち込んでの演習形式を予定しています。ICTツール(Slack、DeepL、R Studio)を積極的に利用して、各人が自分の話したいこと・調べたいことを持ち寄って、話して、伝えて、すれ違う、スクランブル交差点のようなゼミにしたいなと思います。

とはいえ、2024年のゼミ生が1期生になるので、どんなゼミになるかはまったく未知数…

ゼミで使うツール一覧

ZOTERO

文献管理ソフト。無料で使えて、MicrosoftWord、Google documentとの連携も十分。引用形式が日本語に十分に対応していないが、卒論まではこれで乗り切れる。

DEEPL

翻訳ソフト。無料版だと制限があるので、たくさん英語を読むならProまでは課金したほうがいい。ある程度までは翻訳してくれるので、大事なところは原文と照らし合わせてチェックする。学術論文ならほぼ問題なく使える。

1password

ありとあらゆるWEBサービス・クレジットカード等の情報を1つのアプリに集約できる。使いたいときに「passwordを忘れて使えない」というのは情報生産者にとって好ましくないので、このアプリをPCスマホに入れて、自分のIDとpasswordは全て入れておこう。
解説動画を貼っておきます。

Slack

教員からの連絡はこのチャットツールで行う。学内ではMicrosoftTeamsで十分ですが、卒論・就職活動等でOBと連絡を取る場面も多いので、卒業後も使えるこのツールを採用しています。ファイルを共有するときは、ファイルそのものをアップロードする添付ファイルではなく、次の紹介するOneDriveにアップロードしてそのリンクを貼り付けてください。

OneDrive(SharePoint)

大学の公式ツールですが、クラウドストレージとしてのOneDriveで教員とファイルのリンクを共有し、共同編集する場面が多いです。だれにどのファイルを見せるか,編集権を渡すのか閲覧権だけなのか細かく設定できます。脱添付ファイルを目指しましょう。

R studio

統計ソフト。フリーのため、世界中の研究者が利用しています。ユーザーが多いので、サンプルになるコード、解説サイトなどが充実しています。
学習サイトは関西大学の宋先生のサイトが充実しています。

kintone

現在、Cybozuと利用を交渉中です。自由にアプリが作れるサービスです。

ゼミの目標3回生

  1. DXツールに慣れる…中根ゼミでDXからは逃れられません!

  2. 統計分野・データサイエンス分野でできるだけ知っている言葉を増やす。

  3. 「テーマ」を決める!…興味関心がないことに1年を捧げられない!

  4. 最後に「指導教員」を決める!…4回生の最初卒業論文の指導教員をに選びます。テーマや方法よりも、相性、信頼感で決めることをおすすめします。

ゼミの目標4回生

  1. 「卒論のリサーチクエスチョン」を確定する。

  2. 「リサーチクエスチョン」を深められる方法論を決める。

  3. 文献リストを作成する。

  4. 論理展開を決める

  5. 目次を作成する

  6. 執筆を始める(かける章から)

  7. 追加の文献、追加の調査、実験

  8. 論理構成を修正する

  9. 執筆を終える

  10. 校正・提出

卒業までの具体的なスケジュール

3回生前半

3回生後半

  • 各自で、テーマを深めるために、調査や文献収集を実行、できれば誰かにインタビューをする/データセットを使ったレポートを作成してみる。

  • ソーシャルワーク実習に行く人は実習の事後学習もしっかりやる。

  • 就職活動のことも考え始める(25歳、30歳の自分を想像する)

4回生前半

  • とにかく就職活動に見通しをつける(公務員試験、大学院試験組は同時並行すること)

  • 夏休み前までに、「方法の検討」(実現可能な調査はなにか?)「文献リスト」と「目次」、「はじめに」は最低限のライン!

4回生後半

  • 公務員系の試験は長いと11月まで続く

  • ひたすら執筆!

  • 10月に中間報告、12月提出! 2月は社会福祉士国家試験!

  • 卒業式。この頃になると自信をつけて、一人で卒論を書いたような顔をし始める(それが教員の望みです)。

文献リストの作り方と引用形式について

中根ゼミでは「社会学評論スタイルガイド」をゼミの公式引用形式として採用しています。ZOTEROは完全にこのスタイルに対応していませんが、一番近いのはChicago Manual of Style 17th edition (author-date)だと思われます。

これまでの卒業論文テーマ

※2023年度までは京都府立大学公共政策学部における卒業論文です。

2006

  • 「身体障害者のセルフケアマネジメントの意義について」

  • 「障害者の雇用支援について-ジョブコーチによる支援の意義と課題」

2007

  • 「マイノリティー表現の歴史的変遷について」

  • 「障害者のスポーツ文化とそのディスアビリティ解消の工夫による完全参加・平等」

  • 「メディアにおける『近代家族像』について」

  • 「知的障害児・者のきょうだいの経験に関する社会学的考察-家族規範とジェンダーの視点から」

  • 「『軽度身体障害者』とは誰か-アイデンティティと能力主義の狭間で」

2008

  • 「子育て」構造の変化-日本における「育児」「保育」に関する新聞記事より-

  • なぜ消極的な死を選ぶのか~ALS患者と家族への関わりから

  • 教育機会の均等は必要か~消費社会における「学び」の価値をめぐって~

  • ひとり親問題とは何か-Cash・Care・Workから見えてくる現代社会の限界-

  • 私たちは誰を知的障害者と呼ぶのか-知的障害者の「定義」をめぐって-

  • 介助者は「手足」になれるのか?~インタビュー調査から見える介助関係の現実~

2009

2010

  • 障害者の工賃はなぜ低いのか?――「労働」とその評価多元化の考察―

  • 自立生活における無償介助者の経験する「逃げられなさ」について

  • 知的障害」とは何か~日常生活における“知的障害っぽさ”を発見する

2011

  • 『障害者就労継続支援B型施設の再評価―利用者の多様性と「社会関係性」注目して―』

  • 『家計調査による自立生活の実態について』

  • 『消費者としての高齢者像ー多様性の裏に潜む問題点ー』

  • 『専門性は世話人の悩みを軽減するのか―ケアホームにおける世話人へのインタビューからー』

2012

  • 『第二次臨調を中心とした福祉見直しをきっかけとする、家庭奉仕員制度を巡る政策転換に関する一考察ー労働実態調査を中心にー』

  • 『更生保護から見る日本型福祉社会の脆弱性』

  • 『母娘関係における家父長制の影響 高学歴女性の娘の語りから』

2013

  • ファッションと将来設計との関連性について-女子大生のヒールの高さの大学間比較から

  • 知的障害特別支援学校高等部の進路選択に与える要因-進路担当教員へのインタビューから

  • 障害者就労における第3の形としてのソーシャルファームの可能性

  • 障害のある子どもの放課後・休日支援の現状と課題-放課後等デイサービス従事者インタビューから

  • 高次脳機能障害者の職業能力変化への適応プロセス-男性当事者へのインタビューから

  • 「発達障害者」はどのように「診断」と出会うのか-「早期発見」されなかった当事者へのインタビューから

2014

  • 「おひとりさま」から見える女性と社会の変化

  • 地域福祉活動計画の策定プロセスの比較

  • ケアの共同化による依存の脱私事化の可能性~コーポラティブハウス住民への調査から

2015

  • 共働き夫婦における育児・家事分担をめぐる男性の葛藤からみた「イクメン」の再検討

  • マッチング・ビジネスは介護サービスを変革しうるのか

  • 大学中途退学者の中途退学行動プロセス研究~大学中途退学者の語りから~

  • Uターン就職者の現実世界分析~当事者へのインタビューから~

  • 放課後等デイサービスの利用決定に至るプロセス~保護者の施設選択の語りから~

  • 障害児の親の進路選択について~特別支援学校に転入学した子どもの親へのインタビューから~

2016

  • 認知症高齢者の意思決定をめぐる支援者の葛藤

  • 高齢障害者の制度移行問題について─利用者・相談員へのインタビューから─

  • 「不妊」を語ることの意味とは何か

  • 働きながら子育てすることにおける罪悪感の形成プロセスー働く母親の語りからー

  • 「認知症の医療化」は家族介護者にどのような影響を及ぼすのか

  • 人口減少地域における女性高齢「おひとりさま」の生活世界について

  • 特別支援学校高等部職業学科の就労支援プロセスと社会的意義

2018

  • 差異の生まれ方と付き合い方ー在住外国人介護労働者へのインタビューからー

  • 親との葛藤を抱える人々の回復について

  • 意思決定支援場面における会話分析~金銭管理場面における選択肢の提示~

  • ぬいぐるみは「家族」である?~社会における他者との関わりの変化~

  • ヤングケアラーのケアプロセスへの参加動機~当事者へのインタビューを通した分析と考察~

2019

  • 日本の離婚後の親子をNPO法人が支援することの意義について

  • 不登校児のきょうだいとして生きるリアリティ

  • 在日コリアン高齢者のライフストーリー~異文化で老いること~

  • 児童養護施設におけるライフストーリーワーク

  • 介護労働は本当にブラックなのか~記事や統計からの検証~

  • 結婚移民のライフヒストリー~在日フィリピン人女性へのインタビューを通して~

  • なぜこども食堂は増えているのか?

  • 俳優長期経験者のアイデンティティ意識の解明――演じることによって自己は統合されるのか、多元化されるのか

2020

  • 集団生活への抵抗感に関する分析

  • "母"たちの自立生活運動

  • 「女子力」の歴史社会学 ー「女子力」から探るジェンダー規範の質的変容ー

  • 早期就活開始女子学生の会社選びの基準とキャリアの関連性

  • 『有償ボランティア』の有償性が活動者に与える影響 ―『有償ボランティア』を経験した大学生へのインタビューから―

  • 社会的養護経験者が持つ家族観ー家族からの排除と家族への包摂

  • トイレは「なに」で分かれているのかー「性別」を問われる社会―

2021

  • アセクシャルの発見

  • パターナリズムはいかにして行使し続けられるのか

  • 息子介護を支援者はどう見ているのか

  • 介護職員が抱える葛藤~介護の専門性と利用者の個別性~

2022

  • ポルノ法改定が少女漫画における接触行動描写に与えた影響

  • 中国における長期護理保険(介護保険)の試験運用とその財源についての考察

  • ALS進行に伴うコミュニケーション技法の変遷

  • 要介護(要支援)認定者の在宅生活継続可能要因について―生存時間分析を通して―

2023

  • 同性婚法制化の世論に対して,社会的望ましさバイアスが与える影響:リスト実験による実証的検証

  • 京都府の中学受験率の影響要因の推測-保護者の地域愛着の指標化とその影響-

  • なぜ日本の父親は育児をしないのか―日韓の育児休業制度の比較からー






学生のうちにおすすめすること

◯NISAの開始

r>g の社会を生きるみなさんにとって節税と資産運用は生き延びる確率を高める具体的手段の一つです。決して強制はしませんが、関心があれば、すぐに始めることをおすすめします。
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