第51話 そして、ほんとに嵐が来た 【レッドオクトーバー解決編】
2022年12月3日(土)9:40
初美が若草寮の自室で、今晩20:00からの【土曜の夜の推理】の準備をしていると、マコからメッセージが入った。
「初美、今、トリサキルームに来れる?」
(なんだろう? マコがこんなメッセージを送ってくるって珍しい・・・ちょうど、ひと区切りついたから行くか・・・)
そうだ。コーヒーも飲みたいし。
初美は部屋を出た。1階のカフェコーナーの入り口でスタディルームの使用状況をチェックすると、「103」の通称トリサキルームには、マコのほかに、トリサキとレベッカがいた。
コン、コン。
ドアをノックすると、レベッカが顔を出してきた。
「ハイ、ハツミさーん、グッドモーニン!」
レベッカは、今日もご機嫌のようだ。
「おはようー!」
初美が部屋に入ると、マコが正面スクリーンを指さしながら言った。「初美、これみて」
「・・・あ、エッジ・オブ・ワンダーの【金夜ライブ】ね」
(今は、ライズTVや)とトリサキは思ったが黙っていた。今は、ちゃちゃと入れる場合ではない。
「ちょっと、面白いことになってるの。知ってる?」
「全然」
「今、ライズTVの金夜ライブが始まったばかりなんだけど、異例にも、現在進行形で連続的に投稿されているツイートをベンとボブ(金夜ライブの司会者)が読み続けているの」
「それは、珍しいわね。一体、なんなの?」初美が訊く。
「はっきり分からなかったけど、イーロン・マスクが【ハンター・バイデンのラップトップ事件】の真相を開示をするって宣言して、その連続ツイートが、ついさっき、始まったみたいなの」マコが言う。
「えーっ! ほんとう?」
「いま現在、リアルタイムで、大さわぎになってるみたい。だから、初美を呼んだの」
「サンキュー!」
「レベッカ、もう少し詳しく説明できる?」マコが訊いた。
「オフコース(もちろん)!」
ハスキーな声でレベッカは言った。
「まずこれが、イーロン・マスクの予告でーす。東部標準時間の5時から、ツイッターが隠ぺい工作した、ハンター・ラップトップ事件の真相を、ツイッターで開示すると、予告したのでーす」
「なるほど。それで?」
「実際に始まったのは、1時間前くらいのようでーす」
「ほんとだ!」
「イーロン・マスクが自分で書くんじゃないのね」
「そうでーす。Matt Taibbiという人が、イーロン・マスクからの情報をもとに、ツイッターで書いていくよーです。テレビのFOXニュースでも、この件が紹介されるなど、全米は大騒ぎになっているようでーす」
(おお~! これは、面白くなってきたデー!!)とトリサキは思った。
(アリゾナ州の知事選挙は、初美さんの予想とは違って、いまのところ、カリー・レイクの落選が承認されそうやけど、こーなると、やっぱ、【11月のレッドオクトーバー】は起きた、って感じになってくるやんけ・・・)
「ライズTVのほかに、ジョーダン・セイサーもリアルタイムで解説をしてまーす」
(さすが、ジョーダンや!)
「で、内容的にはどうなの?」初美が訊いた。
「内容的には・・・例えば、ツイッターがハンター・バイデン事件の隠ぺい工作や言論統制を行ったのは、経営トップであるジャック・ドーシーCEOが知らないうちに行われていて、その首謀者(法務・政策・信託の元責任者ビジャヤ・ガッデ)の名前や、実際のメールの写しがツイッターに添付されているなど、ショッキングです」
(これは、来てるなー)
「でも、ざっと見た感じ、私たちのようなデジタルソルジャーにとって、部分的には新鮮な情報はあるけど、全体としては目新しい話ではない」
「確かにそうね」マコが同意した。
「そうなんだけど、これを思い出して」と言って、初美はスタディルーム正面のスクリーンに下記を映しだした。
(ビッグ・バン!)
「そう。11月末に、6万人超のツイッターの凍結が解除されたという。何度も言うけど、現在、水面下で行われている、世界を二分する戦争の主戦場は、言論空間。そして、ディープ・ステート側の【最大拠点の一つであるツイッターが落城】し、グローバルで6万人以上のデジタルソルジャーが戦線に復帰する。大勝利だわ。これぞ、【11月のレッドオクトーバー】と言いうる」
「ほんとっすね」トリサキが同意した。
「しかもさ、この部屋のみんなは知ってると思うけど、イーロン・マスクは、2022年11月28日に下記をツイートした」
この絵は、『マドンナの暗号』で何度も紹介したので、読者のみなさんはよくご存知と思います。
アメリカ独立戦争の最中、1776年12月25日の夜のことでした。
軍を率いたジョージ・ワシントンは【ダーラム・ボート】に乗り、凍てつくデラウェア川を越え、ニュージャージーのトレントンに駐留していたドイツ人傭兵部隊を【奇襲攻撃】し、勝利した。この勝利により、それまで劣勢だった独立軍は勝勢となり、当時世界を支配していた大英帝国から独立したのだ。
「イーロン・マスクが、この絵をベッドの脇のテーブルの上に飾っていた。そして、それをわざわざ、11月28日にツイッターに投稿した・・・その意味は・・・」マコが考えながら言った。
マコの言葉を引き取るように、初美が言った。「ジョージ・ワシントンと同じように、これから、【奇襲攻撃】を開始し、ディープ・ステート帝国から独立します、という宣言。・・・だと思わない?」
「思うっす!」トリサキが同意した。
「私も同意しまーす」レベッカも言った。
「つまり、これが、【11月のレッドオクトーバー】のフィナーレ」
(たしかに、そうだわ)とマコは思った。
「そうなると、今日、たった今、起きている、この連続投稿の意義は、イーロン・マスクがツイッターに投稿した下記になると思いまーす」とレベッカが言った。
(えーと、つまり、ツイッターは選挙に干渉したということや。もっと、言ってしまえば、ハンター・バイデン事件が大きく喧伝されれば、落選するはずのバイデン候補が、落選しないように画策したってことや)とトリサキは思った。
初美が言った。「トランプが主張するように、ツイッターはじめ、大手メディアは、ハンター・バイデンのラップトップ事件を隠ぺいした。FBIや司法省もハンター・バイデンの犯罪、ひいては、ジョー・バイデン候補の犯罪を知りながら、何も行動を起こさなかった。そして、そのような不正によって、バイデンが大統領になった、ということが、今、目の前で立証されようとしている」
「そして、それを全米中、いいえ、世界中の人がリアルタイムで見ている・・・」
(つまり・・・)
「つまり、【嵐(The Storm)】が始まったんや!」とトリサキが宣言するように言った。
***以下次号***
初美です!
11月末には、高級ブランドのバレンシアガの【秘密】が大々的に暴露されました。会社側は、とぼけた謝罪をしています。
しかし、目をそむけたくなる画像や、興味深い事実が、ツイッターなどに、ガンガン投稿されていて、大変なことが白日の下になりそうです。ペドリンクや、ウクライナ問題につながりそうです!
歴戦のデジタルソルジャーの、ジュリアンズラム氏は、「シロウサギの穴は、どこまで深いのか」とツイートしました。
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