再び、アリゾナ州で激震! カリー・レイクを知事にするための戦いが激化!! メキシコ最大の麻薬組織【シナロア・カルテル】がアリゾナ州政府をコントロール?! いま、【ディープステート・システム】の細部が明らかに!! 第57話
2023年2月26日(日)9:55
B大学GRSコース 若草寮
「はっ、っくしょん!」
初美は、自分のくしゃみで目が覚めた。うー、夢みて・・・、はっくしょん! 鼻水も出るし、目もかゆい。あー、もしかして、私、花粉症に・・・
ぼーっとする頭で部屋を見渡す。若草寮の自分の部屋だ・・・そうだ、国際電話がかかってきていたような・・・あれは、夢か・・・何か、いい知らせだったような・・・はっくしょん!
初美はベッドで寝たまま、GRSコース専用の携帯電話を取り出して、電話の履歴を確認した。
「アンジェロだ!」
思わず初美は声に出した。そして、すぐ、コールバックした。10分前に電話をもらっていた。それで目が覚めたのだ。
(何の用だろう。もう、1年近く、アンジェロとは話していない・・・)
「ハロー」アンジェロが出た。
「はーい、アンジェロ! ハウドーィン(元気)? 電話くれた?」
「初美! 俺は元気だけど、初美はどう? まだ寝てた?」
「まだ寝てる・・・今年から、花粉症みたい・・・だから、今日は顔を見せられない・・・」
「おー。それは可哀そうに・・・お見舞いに飛んでいきたい気分だよ。何か俺にできることはないかな? ハニー」
花粉症で弱った体に、甘い言葉が心地よい。が、気を緩めてはいけない。私は、デジタルソルジャーなのだ。
「で、用事はなーに?」
「最近、初美どうしているかなって、気になってさ」
「・・・」
「だって、『マドンナの暗号』がちっとも更新されないだろう? 誰が今、執筆担当なのか知らないけど・・・。普通なら、【局面打開型(=アカツキ・ガンダム※)】の初美が活躍して、こんな体たらくにならないはずだろう・・・」
***
※荒巻です! 「オタク」専用の解説をしまーす。一般人は、以下は理解する必要はありませーん^^
現時点では確証はありませんが、『マドンナの暗号』の作者は、「アカツキ初美」と「アカツキ・ガンダム」(下記の黄金のガンダム)をかけています。
長き歴史を誇るガンダムシリーズにおいても、黄金のモビルスーツである「アカツキ・ガンダム」は、極めて印象的です。アカツキ・ガンダムが活躍するシーンは語り継がれていますが、その重要な特性は、アカツキ・ガンダムはそれ以前のガンダムが【1対1】の戦闘能力に優れているのとは異なり、【1対多】の戦闘能力に優れ、一機で局面を打開する能力があることです。
(・・なんのこっちゃ!)
さらに、ガンダムシリーズにおけるもう一つの黄金のガンダムは、「フェネクス」ですが、なんと、このフェネクスが活躍するガンダムシリーズのタイトルは、『ガンダム・ナラティブ』というのです。そうです。アカツキ・初美が連呼する「ナラティブを攻略せよ」という言葉は、ここからきているのかもしれません。
****荒巻進による解説、終わり***
(・・・アンジェロは分かってくれていたんだ。遠いアメリカから・・・ちょっと、うれしくて、泣けてくる・・・)
「アンジェロ! ありがとう」
「それでさ、UFO撃墜とか、宇宙人の地球侵略ナラティブについては、さっき、荒巻に電話して話したよ。あいつが、【SFアニメ攻略班】のTA(ティーチングアシスタント)だからな。そしたら、来週、【土曜の夜の推理】で解説するって、言ってたよ」
「そう! それは良かった」
「あとな、もうひとつ。こっちは、もしかしたら、初美たちがまだ気が付いてないかもしれないが、アリゾナ州でまたすごいことが起きているけど、知ってる?」
「アリゾナ州? 知らない・・・」
「そっか・・・」
「何が起きてるの?」
「いま、話して、大丈夫か」
「うん・・・はっ、くちょん・・・聞くだけなら、大丈夫・・」
「そうか。無理するなよ。簡単に概略を説明する」
「ええ、お願い」
「画面共有するよ。このGPの記事、見えるかな?」
「見えるわ」
「な、なに、これ!」
「凄いだろ! アメリカでは、これで大さわぎだ。大手メディアも黙っていることができず、「またもやアリゾナ州で、陰謀論者たちが集まって、根拠のない主張を繰り広げている」とか報道している」
「質問だけど、まず、【シナロア・カルテル】ってなに?」
鼻声で初美が訊く。
「それは、アメリカでは、というか、メキシコでは超有名なんだ。たとえば、日本語のウィキペディアにも出てる」
「ほんとだー。メキシコ最大の麻薬カルテル。つまり犯罪組織なのね」
「そうなんだよ。日本でも時々報道されている。下記の産経新聞では、2行目に【シナロア・カルテル】ってでてくる」
「ほんとだー」
「こんな記事もある」
「なんか、麻薬王が何度も脱獄したり、その息子をずさんな作戦で取り逃がすとか、怪しいわね」
「さすが、初美。その通り。話が長くなるから、結論からいっちゃうけど、彼らは、ディープステートの一部だよ。だから、取り締まる側に、麻薬王の味方がいるってことだよ」
「やっぱ、そうか。で、その、メキシコ最大の麻薬組織が、アリゾナ州の選挙にどう関係しているの?」
「実は、ここからの話が長い。初美は、まだ、大丈夫か?」
「オフコース(もちろん)! だんだん、目が覚めてきたわ」
「そっか。じゃあ、もう少し話そう。えーとね、まず、証言したのは、ジャッキー・ブレガ―(Jaqueline Breger)という女性だ」
「このブレガー氏は、長年アリゾナ州に住み、ハリス/ターラー法律事務所(Harris/Thaler Law Corporation)の法医学(フォレンジック)調査員として、複数州の不正行為や汚職を調査している。マーケティングで修士号を取得し、ファイナンス、財務会計、ビジネス、統計学、経済学、ビジネス戦略で学位を取得している」
「優秀なひとなのね」
「でね、彼女が勤めていたハリス/ターラー法律事務所の、ジョン・ターラー弁護士という人がいるが、彼が重要なんだ」
「ブレガー氏によると、ジョン・ターラー弁護士は、マリコパ郡のマネーロンダリングと不正行為を調査し、「偽の公証、偽の信託証書、不動産取引の不正な買い手と売り手、さらに不動産仲介業者、住宅ローン会社、タイトルとエスクロー会社、不動産検査会社、サービス会社など、不動産取引に使われる他の企業」を含む12万件以上の文書を確認したという」
「すごい量ね。12万件?」
「そうなんだ。凄く、大きな、組織的犯罪が長期間にわたって行われてきた、という証言なんだ」
「まるで・・・」
「そう。まるで、ひとつのシステムのように。犯罪というよりも、ひとつのシステムとして長期的に運営されてきたという主張なんだ。つまり、【ディープステート・システム】の細部の暴露だよ」
「す、すごい! 夢みたい」
「エグザクトリー(ホントだね)! ただし、まだ、この主張が正しいと確認されていない。ただ、彼の元妻がこの犯罪に深く関わっているという・・・」
「え、奥さん?」
「そうなんだよ。でも、そこまで話すると、やたら長いから、それは、今度にしよう」
「今度?」
「うん、明日でもいいが。日本は、まだ朝だけど、こっちは夜だからさ」
「あ、そうね。アンジェロ、日本に来ることないの?」
「うん。今のところ無い」
「そっかー。また、会いたいな。というか、一緒に調査したり、ミーティングしたいな。さっき、アンジェロの「エグザクトリー!」を久しぶりに聞いて、懐かしかったよ」
「今度、日本に出張できるように、会社と相談するよ」
「ほんと?」
「ああ、ほんとだ。でさ、話を戻すと、ブレガ―氏によると、ターラー氏の命を狙った試みは6回あり、そのうちの1回は、彼のタイヤをこっそり切りつけておいて、運転中に死亡させようとしたものだという。また、ブレガ―氏は、アリゾナ州知事選に出馬したカリー・レイクの選挙運動中にも同様の試みが行われた と述べている」
「あ、カリー・レイクが出てきたわね」
「もちろんさ。これは、不正選挙を証明して、カリー・レイクを知事にするためだよ」
「そーよねー。あと、トランプ大統領ね」
「そうそう。そのための草の根の戦いが繰り広げられていて、ディープステートは、ほんとに落城寸前なんだ」
「今日は全部を話せないが、カリー・レイクに知事選で勝ったことになっている、ケイト・ホッブス「知事」がサインしている文書も証拠として、ブレガ―氏から提出されている」
「え、ホッブス知事の?」
「興味深いだろー?」
「最高!」
「ホッブスは、今51歳だと思うが、26歳か27歳の頃から、この【システム】の恩恵を受け続けている証拠がある、とブレガ―氏はいう」
「え、そんなに若いころから? だって、今の私たちとあまり変わらないじゃない」
「そうだよ。だから、【システム】なのさ。若いころから、【ディープステート・システム】に組み込まれて、将来の州知事候補として「育成」されてきた、という構造がわかる」
「す、すごい。さすが、ディープステートね。用意周到というか、長期的というか、そっか、【システム】なのね」
「そう。それが明らかになりそうなんだ。でね、この辺の背景が重要なんだけど、ひとつは、2014年の少し前だと思うが、アリゾナ州では「住宅建設ブーム」が起きてバブルみたいになったんだ。その時に、【シナロア・カルテル】がそれを利用した。具体的には、①虚偽の不動産売買、②虚偽の住宅ローン。つまり、実際には存在しない不動産の売買を書類の上だけ行って差額をプレゼントしたり、虚偽の住宅ローンを組んで銀行融資の全額をプレゼントしてしまう、といったやり口」
「なるほど。日本でもそーいうの、バブルの頃あったみたいね」
「ま、ある種、古典的だよ。但し、それを麻薬カルテルの一味が行い、将来の知事とか州務長官とか、州の選挙管理委員会のメンバーのほぼすべてに、賄賂を贈り、州政府をコントロールしていた、となると、日本人の想像を超える」
「たしかに」
「しかも、麻薬カルテルが州政府をコントロールする目的は、①国境をオープンにして、違法移民が国境を超えることを容易にするため、②国境をオープンにして、麻薬の取引を行いやすくするため、③国境をオープンにして人身売買をやりやすくするためだ」
「トランプの主張そのものね!」
「そうさ、だから、最高なんだ。前から言っているように、アリゾナ州こそが、全人類の未来を賭けた決戦の場なんだ」
「アンジェロのお陰で、私、元気になってきた。ありがとね」
「マイ・プレジャー(どういたしまして)」
「もうひとつ、このブレガ―氏の提出した書類には、【ランベック】の犯罪の証拠も出ている」
「ランベックってなんだっけ?」
「第50話の最後に書いてあるだろう?」
「あ、そうだっけ? ごめん。忘れてた・・・」
「Qがそのころの、投稿の冒頭に【ランベック】と書いて、話題になったんだ」
「そうだった。それで、デジタルソルジャーたちが解説したのよね」
「そうそう。ただ、その時は確証がでなかった。それが、今回の証言をもとに、確証になっていくのかもしれない」
「Qはいつも、はやい。未来を知っているかのようね」
「Future Proves Past(将来が過去を証明する)だよ!」
***以下次号***