なぜ、出馬宣言をするトランプに、覇気がないのか? 重大発表は? ポーランドにミサイル着弾で、第三次世界大戦勃発の危機! 11月のレッドオクトーバーが進展!! 第49話
2022年11月16日(水)11:45
B大学 国際関係学部専用図書館 ホワイトキューブ スタディルーム103
どんどん。
ドアがノックされ、初美がスタディルームに入ってきた。
「初美さん、遅いっすね」トリサキが言う。
「うん。学部連携プロジェクトの会議が長引いっちゃって・・・それで、今、どうなってる? トランプの【重大発表】は出たの?」
「それが・・・」
「なに? はっきり、しなさいよ」
「2024年の大統領選への出馬表明はしましたけど・・・それだけです。今のところ」
「そうなんだ・・・わかった。ありがとう。今は、トランプの話を聞こう」
「ええ」
(トランプが、Qに関係するような、とびっきりの重大発表をするかもって思っていたけど、空振りかあ・・・)と思いながら、初美はスタディルームのスクリーンに映し出されたトランプの演説に注意を傾けた。
(あれ、れ・・・なんか、いつものトランプらしくないわ)と初美は思った。
(なんか、覇気がない感じがする。なにか悪いことでもあったのか・・・私の気のせいか・・・)
初美は、クリスや七瀬ほどではないが、トランプの演説を何度も見てきた。トランプはいつもエネルギッシュだった。トランプが何か言うたびに聴衆が歓声を上げる。それがいつもの演説だった。
しかし・・・。今日も、トランプが何か言うと、一応、歓声は上がるが、勢いがない。何より、初美自身の気持ちが動かない。
いつもであれば、初美までもが、トランプの演説に感動して、心の中で大声を上げていた。それが・・・
トランプの演説は、エンディングを迎えていた。
「我々は、アメリカを再び、強くする
我々は、アメリカを再び、裕福にする
我々は、アメリカを再び、誇りを持てる国にする」
というような、同様のフレーズを繰り返し、一番最後に決めセリフを聴衆とともに、絶叫して終わるのがいつもパターンだ。
「我々は、アメリカを再び、偉大な国にする!」
トランプがそう締めくくって、演説は終わった。しかし、初美は全く、感情的に盛り上がらなかった。会場もそうだったように感じた。
トランプの演説が終わると、すぐに顔面が切り替わって、3人のデジタルソルジャーが映し出された。
(ああ、良かった。ジョンがいる。彼のコメントは的確なことが多い。きっと、トランプが元気なかったことについても、何か言ってくれるにちがいない)初美が期待しながら、動画を見つめた。
ジョンの第一声は、期待通りだった。
「みんな、トランプの演説の印象はどうだった?」とジョンは、他の二人に訊いた。
二人の意見は、初美の聞きたいことから少しずれていた。英語も聞き取りにくかった。しかし、ジョンは違った。
「俺は、トランプがいつもと違って、地味だと思った。出馬宣言なのに、エキサイティングじゃない。覇気がない。もっと言えば、悲しんでいるのかもしれないとさえ思った。今、前回の出馬宣言の動画を映すから比べてみようじゃないか・・・」
(そうなのよ! さすが、ジョンだ! 私が感じた通りだ。そう、トランプは、元気がないどころか、悲しく見えた。そう、私もそう感じたのだ。しかし、悲しいというのは、出馬宣言からかけ離れすぎて、自分でもちょっとどうかなと感じていたのだ。でも、ジョンは、それを言ってくれた・・・)
ジョンと意見が一致したので、落ち着きを感じた初美は、スタディルームに集まった仲間の顔を見た。
クリスと麗子、マコ、レベッカとトリサキ。今日は6人だった。
「みんな、トランプの演説、どう思った? 私は、ジョンが今言ったみたいに、少しトランプに覇気がないのが、気になった」
「確かに、オレもそう感じた」クリスが同意した。
「でもさ、おかしくない? 今日は出馬宣言だよ。悲しんでるはずがないわ。いつもより、抑えたトーンっていう程度かもしれないわ」とマコが言った。
「このところ、「トランプ氏は引っ込んで世代交代かも」的な意見まで出ている。まぁ、そういう仕草とかも作戦の内かもしれない」とクリスが言った。
「そうすっね。さっきの動画でデジタルソルジャーが言ってましたけど、音声があまりよくなくて、そのせいで盛り上がりにかけた面があったかも・・・ただ、やっぱ、投げやりな感じがしたっす」
「そうね。悲しんでいたのかどうかはともかく、何かあった。出馬宣言にふさわしくないトーンだった、として、それは何故か?」
「そんなことわかりませーん」レベッカが言った。
「そう。もちろん、今のところ、わからない。けれど、何かあった。そして、その何かのせいで、トランプは【重大発表】を行わなかった、というのはどう?」
「うーん」
「そうね・・・どうかしら? その可能性はあるけど・・・」
「でも、もう一度、昨日のトランプの投稿を見て」
「トランプの出馬宣言って、「アメリカの歴史において、最も重要な日のひとつ」とは、言えないでしょ?」
「確かに」
「それに、一番気になるのは、投稿のはじめの一言。「Hopefully」なのよ。これって、一応、「うまくいけば」と訳しておいたけど、トランプは何かに期待していたって感じがするの。そして、その期待したことが、「うまくいけば」明日は、「アメリカの歴史において、最も重要な日のひとつ」になるって、ことのように感じるの」
「なるほど・・・その【期待していたこと】って、なんだろう?」
「わからなーい」
「ほんとだわ。でもね、それが期待外れだったから、トランプは、元気がなかったのかもしれない。あるいは、悲しんだのかもしれない」
「じゃあ、やっぱり、何か【重大な発表】を計画していた・・・?」
***以下次号***
【トランプが出馬宣言のスピーチをしていたとき、バイデンたちは何をしていたのか?】(=第3次世界大戦を開始するための、偽旗作戦を展開?)
トランプ前大統領がフロリダで2024年の立候補を表明するステージに立つ直前、バイデンはバリで開催中のG20サミットの傍ら、ポーランド東部のウクライナ国境付近で爆発があり、2人の市民が死亡したという報道を受けて、
G7およびNATO加盟国の他の首脳とホテルで「緊急」会議を招集した。
トランプが【重大発表】を行った11月15日、ポーランドにミサイルが着弾。NATO加盟国内で、初の犠牲者。第三次世界大戦、勃発の危機。
⇒【11月のレッドオクトーバー】が進展!!
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