#34 よさこい関係人口という考え方
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「役に立つ」より「意味がある」プロダクト
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最近「関係人口」という単語を目にして、それがちょっと気になって色々考察してみたよ、というお話。
【関係人口とは】
特定の地域に観光などを通じて行き交う人々を「交流人口」
特定の地域に惹かれ、別の地域から移住する人々を「定住人口」
「関係人口」とは、その中間に位置する考え方だそうです。
「交流人口」は観光客が観光消費によって、地域に経済効果を見込めますが、それは旅行者を経済の為の単なる消費単位として考える、狭い意味合いが持たれてしまう。
かたや「定住人口」は、自治体が様々なプロモーションや施策など通じて地域への移住者を募りますが、その土地で骨を埋める覚悟を問われるような、心理的ハードルの高いものを感じてしまう。
「交流人口」から「定住人口」に至るまでの「関係人口」とは、その中間に位置する、地域に継続的な関わり方を考える取り組み、として考えられています。
明治大学の小田切教授は、関係人口の段階性を
1)地域の特産品の購入
2)地域への寄付
3)頻繁な訪問
4)地域でのボランティア
5)準定住
6)移住・定住
と説明しています。
これによれば、6)の段階では既に関係人口から定住人口に移行していますね。
【よさこいに於ける関係人口とは】
さて、この考え方をよさこい祭りを開催する地域と、それに関わる踊り子やチーム関係者に置き換えてみましょう。
1)現地のお祭りの情報や動画等の閲覧者
2)お祭りへの実際の参加者
3)毎年欠かさず参加する参加者、及びチーム運営者
4)チーム参加のみならず、祭り運営にも関わるチーム、及び参加者
5)祭り開催者、チーム誘致団体
6)当該祭り地域への移住者
‥‥若干、拡大解釈な個所もありますね(笑)
自分が住んでいる地域に関わらず、特定の地域のお祭りの大ファンという人は少なからず存在します。特定のチームで踊りたいという希望を叶えるため、短期間のよさこい留学に行ったという話は色々と耳にしました。
またその祭りに憧れるあまり、実際の生活や進路をその地域に行くことを目的に決めてしまう、という事もあったりします。
元々、地域振興を大きな目的の一つとしたよさこい祭りの原点から考えれば、そういう人が生まれたというのは、地方都市としては最高の成果の一つではないかと思います。
ただ多くの方々がそこまでの情熱や心理的・経済的ハードルを越えるのが難しい‥‥というのも、現実の一つではあります。
発祥の地・高知県であったり、発展の地・北海道(札幌)などの求人倍率、就職率はどうしても首都圏や各地の政令指定都市に比べると厳しいものがあり、年に1回のよさこいの為だけにその場所に住む、というのは誰もが叶えることができる未来ではありません。
自分自身の話をすると、もちろん生まれ育った土地があって、現在に至るまで、その地元(都道府県内)を離れて暮らしたこともなく、がっつり地元育ちという経歴を持っています。
だからといって、この土地に強大な愛着があるかといえばそうでもなく、地元を盛り上げよう!という立派な志があるわけでもありません‥‥
※もちろん地域の為に尽力してくれている方々がいるからこそ、この場所での暮らしが成り立っているという感謝を忘れてはいけませんが。
どちらかと言えば「場所」が大切というよりは「そこに暮らす人々」が好きといった感じですかね。
【よさこいが結んだ関係性】
そんな自分でも仙台のみちのくYOSAKOI祭りや札幌のyosakoiソーラン祭りを通じて、それまで旅行くらいでしか縁のなかった仙台や札幌といった土地や名産品、何よりそこに暮らす人々との関わり、縁が生まれたという事はすごく素晴らしいことだなと思っています。
さすがに移住というところまではいきませんでしたが、よさこい祭りを通じて、かなりの深さの関係人口にはなれたかと思っています。
「この祭りが好き」という理由は人それぞれだと思います。
その祭りの雰囲気が好き、会場やスタイル、コンテストが好きという人もいれば、その土地食べ物や酒、暮らす人々の雰囲気が好きという人もいます。もちろんそのお祭りに参加する、特定のチームの作品が好きという人もいますよね。
全てのお祭りが地域活性のみを考えて運営されている訳ではないかもしれませんが、その土地への移住者や経済発展に必ずしも大きな数字を出している訳ではないとしても、その前段階としての関係人口の増加に、よさこいは確実に貢献していると思います。
うち自身も今住んでいる場所の住人でありながら、仙台の、札幌の、瑞浪の関係人口になれているのかな?と思うと、それは嬉しいものです☆
少子化やそれに伴う地方の過疎化、昨今の状況など、取り巻く環境は厳しいものがありますが、それでも人の好きという感情を少しでも良い方向へ各地のお祭りへ向かうように、よさこい系お祭りがこの状況を乗り越えて、これからも発展していくことを願うばかりです。