【薬1】なぜボリコナゾールとデエビゴを併用する時、デエビゴは2.5mgへの減量が必要なのか
「ボリコナゾールとデエビゴって併用してもよかったんだっけ」
ボリコナゾールとデエビゴの相互作用についてです。
「たしかボリコナゾールは強力なCYP3A4阻害薬、デエビゴはCYP3A4の基質だった気がする。」
と朧げな知識だったので、実際どうなのか調べてみることにしました。
まずは添付文書の確認です。
ただ、いずれの薬剤にも、添付文書に直接の記載はありません。
↓ブイフェンド静注 添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/672212_6179401F1026_3_09
↓デエビゴ錠 添付文書
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/170033_1190027F1022_1_06
一方、添付文書にも記載がある通り、ボリコナゾールはCYP3A4をはじめとした様々なCYP分子種を阻害する可能性があります。
また、デエビゴはCYP3A4にて代謝される薬剤であり、エーザイのHPには、デエビゴはCYP3A4阻害薬と併用する際は2.5mgへの減量が推奨されているとあります。
フルコナゾールとデエビゴを併用すると、CYP3A4阻害によりデエビゴのAUCが300%台まで上昇するようです。
ということは、AUC400%上昇すると考えると、デエビゴ2.5mgの投与はデエビゴ10mgの投与に匹敵するということですが、これは承認された最高用量を超えないため、おそらく併用禁忌とはならず併用注意となっているのでしょう。
ただ、エーザイHPに記載のあるデータは、デエビゴとフルコナゾール・イトラコナゾールとの併用時のデータです。
ボリコナゾールとデエビゴを併用した検討がないか調べましたが、現時点では直接検証した研究データは見当たりませんでした。
しかし、ボリコナゾールもフルコナゾールやイトラコナゾールと同様、強力なCYP3A4阻害薬に分類される薬剤ですので、おそらく同程度のデエビゴの血中濃度上昇がみられるものと推測できます。
以上、まとめると、
「ボリコナゾールとデエビゴを併用する際は、デエビゴは2.5mgへ減量をする」
今回も大変勉強になりました。