「もっと自分の発想を豊かにしたい」と思う人におすすめする、リサーチ感度の高め方
「自分の仕事は人事ですし、私はそもそもクリエイティブな人間ではないので…」と言っていたのが2018年(※今となっては人事はとってもクリエイティブな仕事だと感じるのですが、当時はわからなかったのです…)。その後「人事だってクリエイティブになりたい」と思ってデザイン学校に通い、運よく人事からサービスデザイナーに転向して5年が経ちました。
サービスデザイナーとして仕事をする中、周りの方から「どうやってそういったアイデアが思い浮かぶのですか?」「いろんなアイデアの引き出しはどうやって手に入れているのですか?」と聞かれることが増えました。ですが、決して私は元々アイデアがぽんぽん出てくるようなタイプではありません。
そんな私を変えたのは、デザイン学校で出会った一冊の本でした。それは「アイデアのつくり方」という本で、以下が書いてありました。
これを見たときに私は、「アイデアが既存の要素の新しい組み合わせなら、既存の要素をたくさん知ってればアイデアってたくさん出るのでは…?既存の要素をたくさん知っておく・体験しておくことなら自分にもできるかも」と思いました。そこから「私のリサーチ感度を高める旅」が始まっています。
今回は、過去の私のように「もっと自分の発想を豊かにしたい、いろんなアイデアを出せるようになりたい」と思う人に向けて、私がふだん実施している日常的なリサーチ(「所定のテーマについて何か調べる」のではなく、歯磨きをするように普段やっている情報収集)について書いてみます。
※私の関心範囲は、「デザイン」「テクノロジー」「未来探索」となります。今回の記事はそれらの関心範囲に沿ったものとなりますのでご留意ください。
情報収集の元はどこ?
自分で体験する0次情報、
自分で調べる1次情報、
人から聞いたりネットで知る2次情報、
とわけた場合、情報量としてはどうしても1~2次情報が多くはなりますが、0次情報も大切にしています。
ただ、0次情報は時間やどの土地に住まうかによって得えにくい人もいると思うので、できるだけ1~2次情報を起点に書いてみます。
1.定期情報配信を活用する
定期のニュースレターや、Googleアラートを活用しています。おすすめの配信元・使い方を書いてみます。
1-1.Lobsterr Letter
始まった時からずっとファンです。世界中のメディアから「変化の種」をキュレートするウィークリーニュースレター。毎週月曜日が楽しみになっています。
1-2.WORKSIGHT
コクヨさんのニュースレター。テーマは、循環型経済・著作権・Web3・ローカリティなど。
1-3.Google アラート
私は毎日21:00に自分のメールに配信されるよう設定しています。
キーワードで引っ掛けているのは、自社の名前(笑)や、「パーパス経営」「人的資本」「生成AI」など。
ご自身のご関心に沿ったキーワードを設定すると、毎日最新情報がキャッチアップできてよいかと思います。
2.オンラインコミュニティに入る
最近はDiscord(またはSlack)でさまざまなオンラインコミュニティに無料で入れるようになりました。私は以下に参加しています。
2-1.知財ハンター協会:Discord
毎日さまざまな知財ハンターが、新しいテクノロジーや展示などを発信してくれています。
2-2.Service Design Network Japan:Slack
サービスデザインネットワークの日本支部です。
モノや形のデザインに加え、さまざまな人の体験やサービスをデザインするデザイナー・ノンデザイナーが入っており、複数のタスクフォースが動いています。
本コミュニティでの活動は以下の記事で書いています。
2-3.IBM Community Japan:独自プラットフォーム
今はもう退会しているのですが、IBM Community Japanでも同じくワーキンググループのようなものがあり、半年ほど活動していました。
その活動の記録はこちら。
3.レポート、サイトを見る
「コミュニティに入るのはちょっと気が重いんだよね…」という方は、レポートやサイトを見ることをお勧めします。私がよく見るところをピックアップします。
3-1.知財図鑑
3-2.Off Topic
3-3.Bipass
3-4.未来事業総研
3-5.博報堂生活総合研究所
3-6.未来予報
3-7.海外・国内のベンチャー系ニュースサイト | TECHABLE
4.カンファレンス、イベントに参加する
「レポートだけじゃなく、実際に自分で見て触ってみたい!」という方には、カンファレンスやイベントに行くのがおすすめです。主に、自分が行ったことのあるイベントを書いてみます。
まずは国内。
4-1.CEATEC
テクノロジー関連の展示会です。できるだけ毎年行くようにしています。
4-2.IVS
国内最大級のスタートアップカンファレンスです。
4-3.Japan Mobility Show
東京モーターショーがリネームして、こちらの名前になりました。「車」を見に行くというよりは、「これからの移動体験」を見に行くと思って参加するといいかなと思います。
4-4.No Maps
札幌で開かれているクリエイティブコンベンションです。
展示やワークショップ、さまざまな形態でひらかれています。
4-5.グッドデザイン賞
イベントもありますが、まずは受賞作品をサイトを眺めてみるだけでも発見があるかもしれません。
4-6.Maker Faire
行ったらきっと、何かを創りたくなる。そんなイベントです。
ここからは海外。
私自身は以下に挙げたカンファレンスには行けていないのですが(涙)、参加された方がレポートを作って配布したり、記事を書いたり、オンラインイベントを開催してくれたりするので、そうした形で情報をキャッチアップしています。
4-7.CES(セス)
アメリカでひらかれる、テクノロジー関連のイベントです。
4-8.SXSW(サウスバイサウスウエスト)
アメリカ(オースティン)で開かれる、テクノロジー+さまざまな分野が融合したイベントです。
4-9.カンヌライオンズ
フランスのカンヌで行われる広告・コミュニケーションの祭典です。
日本公式サイトもあります。
4-10.スラッシュ
フィンランドのヘルシンキで開催されるスタートアップカンファレンスです。
4-11.TOA(Tech Open Air Berlin)
ドイツはベルリンで開かれる、最大規模のテック・カンファレンスです。
4-12.Service Design Global Conference
毎年開催場所が異なります。2024年はヘルシンキ。サービスデザインのグローバルカンファレンスです。
5.美術館、体験型施設に足を運ぶ
イベントに近しい内容になりますが、美術館や博物館のような場所に定期的に行くのもおすすめです。
自分が複数回行っている場所についてピックアップしてみます。
5-1.21_21 DESIGN SIGHT(六本木)
5-2.森美術館(六本木)
5-3.東京ミッドタウン・デザインハブ(六本木)
5-4.国立新美術館(六本木)
5-5.寺田倉庫(天王洲アイル)
5-6.GOOD DESIGN MARUNOUCHI(有楽町)
5-7.美大の卒展
毎年、1~3月には美大・芸大・各大学のデザイン学科・デザイン専門学校の卒展が開かれます。そういったものに行くのもおすすめです。
5-8.日本科学未来館(テレコムセンター)
2023年に常設展示が新たになりました。どれもとっても面白そうなので、早く行きたいと思っています。NFTの展示もあります。
5-9.パナソニックセンターTokyo(国際展示場駅)
いろんなイベントが開かれていておもしろいです。
5-10.b8ta(有楽町など)
いろんなガジェットに出会えます。有楽町に行ったら大体ふらっと寄っています。
5-11.企業ミュージアム
様々な会社が独自の企業ミュージアムを持っています。
丹青社さんのサイトに、事例一覧が載っていたので掲載します。
6.その他:テーマを決めてリサーチをする場合
1~5までは主に日常の行為について書いたのですが、何かテーマを決めてリサーチをする場合は、以下のような内容を実施しています。順番はそのテーマや自分の使える時間の状況によって異なります。
6-1.関連書籍、5~10冊をざっと読む
5~10冊ぐらい読むと、脳内にそのテーマの地図のようなものがぼんやりできるので、その後のリサーチがしやすくなります。
6-2.関連する資格を調べ、もし資格があれば受験してみる
資格は体系的かつ効率的に学ぶことができるなと感じています。
6-3.関連するイベントをpeatix(ピーティックス)で調べ、参加する
peatixにはさまざまなイベントが掲載されているため、自分が気になっていているテーマに合うものがあれば参加しています。
6-4.xで、テーマに関連する発信が多い人をフォローする
私は最近だと、生成AI関連の人をフォローすることが多いです。
6-5.詳しそうな人にコンタクトしてインタビューする
かしこまってインタビューするだけでなく、関係性が構築されている間柄であれば、雑談的に聞いてみるのも一つかなと思います。
こんな風にリサーチ感度を高めて日常を過ごすことで、徐々に情報と情報が脳内でつながったり、「あれとあれをつなげるとなんだかおもしろそう」などが思い浮かぶようになったなと感じています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
もし「こんなのも面白いよ!」というのがあればぜひ教えてください。
また、読んでみて「これはやってみよう」というものが1つでもあったら幸いです。