見出し画像

オンラインで、ジョブシャドウイングをやってみた

以前、ジョブシャドウイングを1週間ほどやってみました。
(会社の施策ではなく、個人で企画し、実施しています)

この話をすると、「どうやって実施したのですか?」と聞かれることが増えたので、noteにまとめることにしました。

そもそもジョブシャドウイングとは?

「ジョブシャドウイングとは何か」については、以下の定義が一番イメージしやすいと思います。

ジョブシャドウイングとは、児童、生徒、大学生が、企業の社員に半日か1日、影のように張りついて同行し、彼らがどのような仕事をしているかを観察して学ぶ取り組みです。もともとはアメリカで子供達の職業体験プログラムとして誕生したものです。

インターンは実際に仕事をしますが、ジョブシャドウイングは、仕事はせず観察に徹するので、インターンの前段階という位置づけも成り立ちます。

カオナビ人事用語集

一言で言うと、「他の人の仕事を観察して、学ぶ取り組み」です。

ちなみに私が「シャドウイング(シャドーイング)」という言葉に初めに出会ったのは、こちらの本でした。

この時私は人事・人材開発職についており、リーダーシップ研修の改訂を検討していました。その中でこの本にたどりつき、一番記憶に残ったのが第19章の「エグゼクティブ・シャドーイング」でした。

その章では「役員候補者から話を聞き(ニーズヒアリング)、相性のよさそうな役員を引き合わせ(マッチング)、会議や業務に帯同&各種質問回答(シャドーイングとメンタリング)する」というプログラムの実践事例が記載されていました。

色々とタイミングが合わず、自社での実践はできなかったのですが、いつかやってみたいなという思いだけ持っていました。


ジョブシャドウイングをやることになった経緯

それから数年たち。
自社はテレワークが急速に広まり、オンライン上でたくさんの社員の方と知り合うようになりました。

その中で、私に「キャリアストーリーを聞かせてほしい」と言ってくださった方(以降、門馬さん)がおり、会話の中でたまたまジョブシャドウイングの話をしたところ、「私、小針さんのジョブシャドウイング、してみたいです」とリスクエストをいただき、やってみることにしました。

この話が決まったのは、門馬さんとランチをしていたとき。
波長やタイミングが合う時って、急に物事動くこと、ありますよね。

私たちのジョブシャドウイングの進め方

私たちは以下のように実施しました。

「Step多くない!?」と思ったみなさん、やってみると意外とできます!(笑)


Step1:事前準備

事前準備として、ジョブシャドウイング受け入れ側である私は以下を行いました。

<小針(受け入れ側)がしたこと>
①ジョブシャドウイングをやったことのある人に、やり方のポイントを聞く
②何の会議に入ってもらうか考え、他の会議参加者に調整しておく
何日間実施するか、検討する
④ジョブシャドウイングを「やっただけ」で終わりにしないよう、振り返りの仕組みを設計する

①について身近な人に聞いてみたところ、「何を目的にジョブシャドウイングをするのか?その目的の達成のために、注目すべき点は何なのか?を明確にすると良いと思うよ」と言われたたため、ジョブシャドウイング前に互いの期待値を話し合うプレセッション(Step2)を入れることにしました。

また、③では門馬さんと会話して、ジョブシャドウイング期間を1週間とし、その中の20%の時間で観察及び定例の1on1にすることとしました(5日間中、1日[=8時間])。

また、門馬さんには以下を実施してもらいました。

<門馬さん(ジョブシャドウイングする側)がしたこと>
プロジェクト調整(上司への相談、スケジュールの確認など)
②何のためにジョブシャドウイングをしたいのか、考えてきてもらう(期待値すり合わせのため)


Step2:プレセッション(期待値すり合わせ)

ジョブシャドウイングを始める前日に、以下を話しました。

<期待値すり合わせの進め方>
何を目的にジョブシャドウイングをしたいか(互いに話す)
②ジョブシャドウイングのすすめ方(小針より提案)
③門馬さんからのリクエスト

これらを会話した上で、ジョブシャドウイングをしてもらう会議情報(8割はオンラインの会議)を、私から門馬さんに転送しました。

ちなみに、私たちの当初の期待・目的はこちら。

小針(受け入れ側)の期待・目的>
「ジョブシャドウイングをやることで”その仕事についての理解が深まるものなのか”を知りたい」

<門馬さん(ジョブシャドウイングする側)の期待・目的>
「どのように小針さんがMy Purposeを仕事で体現されているのか、ジョブシャドウイングを通して知りたい」


Step3:ジョブシャドウイング

ここから実際にジョブシャドウイングに入っていきます。

門馬さんは、新入社員並みの自己紹介ラッシュ
私たちの場合は、門馬さんは私を観察するだけでなく、もし会話に入りたい時はいつでも入れるスタイルで進めていきました。

また、日々の1on1で以下を一緒に振り返るようにしました。

<毎夕方(15分)の1on1の問い>
①本日の各種打ち合わせについて思ったこと、感じたこと
②自分のアクションとしてやってみたいと思ったこと
思いついたこと(思いついた問い)
気持ちが動いたこと
⑤その他なんでも
⑥小針さんの問いログ(小針が会議中、誰かに何かを問うことが多いようで、門馬さんが小針の問いを収集してくれました)

問いは、門馬さんに考えてもらいました


Step4:アフターセッション(全体振り返り)

5日間のジョブシャドウイング期間終了後、全体を振り返る時間をとりました。全体振り返りの問いはこちら。

<全体振り返りの問い>
①改めて、なぜジョブシャドウイングをやりたいと思ったのか?(目的)
目的は達成されたか?
③ジョブシャドウイングでの気づきは?
④どんな点が自分にとってよかったか?
⑤ジョブシャドウイングをする前とした後で、何か変わったか?
今後アクションしてみたいと思ったことは?
もう一度ジョブシャドウイングするとしたら、どうする?(何を準備する?)
⑧今後、誰のジョブシャドウイングをしたいか?
⑨今後、誰にジョブシャドウイングしてもらいたいか?
⑩今後ジョブシャドウイングしたいと思った人へアドバイス伝えたいことは

こちらも問いは、門馬さんに考えてもらいました


Step5:学びの共有

これは完全にオプションですが、「ジョブシャドウイング トライアル共有会」と題して、オンラインで社内の方にここまでの学びを共有することにしました。

急に呼びかけたにもかかわらず、約30名の方が興味を持って参加くださいました。


ジョブシャドウイングの効果と、意外な結果

ジョブシャドウイングをやったことで感じたこと、良かったこと(主に「効果」と呼ばれるようなもの)には、以下が上がりました。

<小針(受け入れ側)から見た効果>
・毎日、第三者からどう見えるのかフィードバックがあるので、仕事の仕方の見直しになった
・「門馬さんがどうやったら気持ちよく会議に入れるか」を考えて調整することで、良きトレーニングになった(新規参入者がいる場合に、どう振舞うといいかがわかった)

<門馬さん(ジョブシャドウイングする側)から見た効果>
小針さんの仕事ぶりを理解できた
My Purposeをどうやって仕事の中で体現しているのか知ることができた。業務内容の理解以上に、「小針さんがどのように打ち合わせで発言し」、「会議が終わった後に誰にどうフォローし、コミュニケーションしているか」を知れたことがよかった。小針さんのMy Purposeにある「しなやかに強くする」ことは、最初はよくわからなかったけれど、それをどう体現しようとしているのか、小針さんの人とのかかわり方を見て理解できた。

ちなみに、Step2のプレセッションで上げていた互いの期待や目的は、私も門馬さんも達成しました。

しかし、私の「ジョブシャドウイングをやることで”その仕事についての理解が深まるものなのか”を知りたい」ということに対しては、「ジョブシャドウイングで知ることができるのは仕事(職務)の理解というよりも、その人自身(人柄)の理解である」と、私たちは結論づけました。

私の仕事や性格、門馬さんの見ていた視点によってこのような結果になった可能性も高く、全てのジョブシャドウイングで共通的に言えることではないかもしれません。


ジョブシャドウイングのその後

ジョブシャドウイングをしたその後、門馬さんは社内インターン制度であるJobチャレを利用して私がいるプロジェクトにジョインし、半年間ほど一緒に働くことになりました。

その中で、Purpose Update Partyをやってみたり、

「未来の語り場」というプロジェクトをどんどんと推進していきました。

門馬さんのこの行動力と熱量が、様々な人を巻き込み、道なきところに新たな道を作っているなと感じました。


ジョブシャドウイングをやってみたくなった人へ

ジョブシャドウイングは「100人やったら100通りのドラマがあり、全員が全く異なる体験をするだろうな」という感触を持ちました。
それぐらい個別性の高い実践だと思います。

ですが、以下は共通して重要になるとも感じました。

  1. ジョブシャドウイングを受け入れる側と入る側で、期待値をすり合わせておくこと

  2. (ある程度期間を決めてジョブシャドウイングをする場合は)日々一緒に振り返りを行い、その期待値に沿っているかを確認すること。その上で、必要があれば互いに対話をしながら修正していくこと。

私はジョブシャドウイングをやってみて、本当に良かったと思いました。

自分の実践が増えたこと、自分の仕事のやり方を見直すきっかけになったこと、そして何より門馬さんから刺激を受け、彼女のキャリアに何かしら関われたことを嬉しく思いました。

ジョブシャドウイングは決して「1週間やらないといけない」といった物ではありません。数時間やってみるだけでも、何かしら発見があるのではないかとも思います。

「やってみたい」と思った人が、自分自身にフィットした形を模索しつつ、実践してもらえることを願っています。

いいなと思ったら応援しよう!