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2024年5月20日(月)


『ここはすべての夜明けまえ』間宮改衣
読んだ。

星野源さんが 少し前のANNで療養中に読んだものにこの本を挙げていて、
「生きててよかったと思った  読んだあと、
こんな作品を読めて 生きててよかったなあと。
こういうのに触れる為に頑張って生きてるんじゃないかと、そういう風に思いたくなるくらいすごく大好きな作品になって、ちょっと忘れられないないなあという感じですね 」
と言っていたのをきいて、ずっと気になっていた。

結果、とても良かった。
見たことないタイプの文体で読みづらさがあったがSF?としてはかなり短めでハイペースで読み終えていた。
読んでる最中、なんかこれ、体験したことある、知ってる感情だなーって何度も思った。
初めてキメラアント編読んだ時と同じ種類の涙が出た。
正確には違うのかもしれないけど。
喉底からひりひりと湧き上がってくる涙。
素晴らしい創作物に触れた気がした。
読んだあと、変わった文体やタイトルもそういうことだったのか...とすべてが一気に腑に落ちた。
この人の書いた文章がもっと読みたいと思ったけれど、この作品がデビュー作らしく、心底驚かされた。

私は、死(身体的/機能的)を目前にした人間のこれまでの心情の変化のようなものを題材にした本に強く惹かれるということに最近になって気付いた。

ポールオースターの『ブルックリンフォリーズ 』もそうだ。
人が晩年に差し掛かり自身の人生について振り返った時に、今まで何に対して喜びを感じ、後悔の念を覚え、そして長くないにこれからについての歩み方を思うのか。

誰もが知るスターの輝かしい年表などではなく、
特別ではない、ただ世界でひとりの人間の、その人にしか知り得ない、自分史のような物語に興味がわく。

それはどんな人間にとっても、最期の長い瞬きの間に人生が良いものであったと、ほんの少しでもどこかで思っていてほしい、という祈りや希望に似た感情が自分の中にあるからかもしれないと思った。

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