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やられてばかりではいられない!「屋根裏部屋の公爵夫人」

こんにちは、女性向けなろう系コミックをレビューしている氷雨と申します。


今回紹介するのは、『屋根裏部屋の侯爵夫人』という漫画です。

では、まずはあらすじからまいりましょう。

あらすじ

社交界デビューをしたばかりの主人公オパールは、とある騒動からすっかり評判を落としてしまう。

それでも、意地悪な噂に負けることなく胸を張り、莫大な持参金目当ての求婚者たちをずっと断り続けてきた。

20歳になれば、母方の祖母からの遺産を受け継ぎ田舎でひっそりと暮らすつもりだったからだ。

しかし、ある日借金を抱えた公爵ヒューバートとの結婚を父親から命じられてしまう。

ヒューバートの方も自分の借金のために「ふしだらな女」と噂のある相手との婚姻に苛立ち、オパールに辛く当たる。

この屋敷の中で、オパールはしっかり生きていけるのか……。


発売されている2巻までを読んだ感想です。
スタートから主人公が可哀想な目に合うのを見るのはなかなか心が苦しくなります。

しかし、悲しいけれど、できるだけ前向きに行動するオパールの姿はとてもたくましい。
そして、健気な姿勢を見ていると応援したくなるのです。

周囲からの視線に負けない主人公

オパールはお屋敷の中にいると、使用人たちや求婚してきたヒューバード、さらには「天使」と呼ばれる少女にまで敵視される描写が多数出てきます。
そして、その様子に自然とイライラしてしまう部分も……。

それでも、オパールは自分の居場所を作るために過ごしていた部屋から屋根裏部屋へ場所を移し、自分の生活を守ります。

実家には、主人公の性格や気質を知っている使用人たちが支えになってくれる。

だからこそ、オパールは辛くても必死に前を向いて歩んでいけるんだなと感じます。

そんなヒューバード、時々自分の振る舞いは正しいのかと悩む姿が描かれます。

その表情や苦悩に、「後悔するのならなぜそんな当たり方をするのか」と怒りたくなりますね。

親の心境がこう、顔を出していましたね。えぇ、正座して説教です!
あの反応は「天使」と呼ばれている少女、ステラの影響が大きいのですが、それにしても子ども過ぎる。

まぁ、もちろん恋をすると視野が狭くなるといいますが、本当に周りが見えていないにもほどがありますよ、もう。

だからこそ、比較対象となる主人公がめちゃくちゃ大人に見えます。
自分の気持ちを抑えつつ、きちんと冷静に向き合う姿勢は、とても恰好良いですよ。

意外と恋愛要素少なめ?

私は、女性向けとしてこの作品を取り上げました。
しかし、読み進めてみて気づいた。この物語、恋愛要素がとても少ない!

むしろ、公爵家の貧しい領地を立て直すために、オパールが奔走する姿は経営ゲームを見ているような感覚になります。
そして、その手腕もとても鮮やか。


まず、公爵家の帳簿に不正があるのをオパールが見つけるところからスタート。

彼女はこの先1人で生きると決めていたので、父親の経営顧問から経営の仕方や帳簿等の読み解き方まで教わっていました。

……経営者のための勉強ができるのは、本当にすごい。
そして、公爵家で屋根裏部屋生活へと変えてから、何もさせてもらえない中で暇を持て余すように帳簿を読んでいたオパール。


いやいや、普通暇つぶしに帳簿とか読まんよね⁉
というか読めるのすごいな⁉


確認中に計算が合わない現状を発見。
気づいてからすぐに調査する行動力の高さも好感が持てます。

仲間の使用人たちと一緒に問題を解決へ導く姿もまた素敵です。
そんなオパールに対し、ヒューバートは基本聞く耳を持ちません。

また、別のシーンでは客人が持ってきた書類に対して中身を読まずにすんなりとサインをする様子を見て、正直「この人大丈夫なのだろうか?」と不安になってしまうほど。


本当、何か書類にサインをしたり契約をしたりするときには、きちんと何が書いてあるのかを読んでおくことが大切ですよ!

下手したら、変な内容である可能性もあるんですから。

逆転劇もスッキリと

結局、しっかり読まずに自分がサインをした書類によって、オパールに自分の屋敷や領地などの財産をすべて明け渡すことになります。

ヒューバートだけでなくステラたちも完全にオパールの家に居候する形になることに対し、あがくのに必死になります。

言い訳を並べる姿はまさに子どもそのもの。


いや、子どもでももう少し頑張るかな?うちの娘も頑張っていると思いますが……。

自分は大学も出たんだぞと偉ぶろうとしても、オパールにミスしている部分を指摘されてぐうの音も出ない姿が、とてもみじめで同時にスカッとするんですけどね。

それなら離婚しようと考えても、自分がサインした書類によってできない。
なぜそこまでするのかと疑問に思った彼が出した答えが、「オパールは自分の心を欲しがっている」という。


……すみません、この場面で開いた口が塞がらなかったです。
ロミジュリ的な感覚なのかな……いや、だとしても自分が好かれていると自信をもっていられるのが、どこまでプラス思考なのかと頭を抱えたくなります。


こんな男に私の娘は絶対にやらんぞ!
実際、ここまで見当違いな答えが出てくるのは驚きましたし、乾いた笑いが出てしまったのはここだけの話。

実際、ここまで女性向けのなろうマンガで経営や金銭的なやりとりを織り込んだ作品はなかなかないでしょう。


礼儀・作法・法律に関しても、きちんと中世ヨーロッパの貴族社会を調べながら執筆していたのだろうと感じました。

これ、結構深いですね……調べ始めたら沼りそう。

あとがき

絵柄もとてもキレイで読みやすい作品ですので、主人公の逆転劇やスカッとしたいと感じる方は、手に取って読んでみることをオススメいたします。
ただ、読む場合は是非2巻まで。

1巻だけでは、不完全燃焼を感じる部分が多くなってしまうかと。
それに、主人公の不遇さが際立ってしまう可能性が高いです。

2巻の方では、きちんとヒューバートに仕返しをしていますから、楽しんでいただけたら幸いです。


それでは、今回はここまで。
また次の作品でお目にかかりましょう。


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