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突然の婚約だとしても幸せは手に入る!「指輪の選んだ婚約者」

こんにちは、女性向けなろうのコミックをレビューしている氷雨と申します。

今回取り上げる作品はこちら。
「指輪の選んだ婚約者」です。

まずは、あらすじからご紹介いたしましょう。

あらすじ

恋愛に興味がなく、刺繍が大好きな伯爵令嬢アウローラ。
刺繍目当てである夜会に参加した彼女、誰と話すでもなく他の令嬢のドレスを眺め続けていた。

そんな彼女に1つの指輪が突如激突!? これはいったい……?

見た目と中身の一致しない美貌の騎士様と、刺繍に没頭していたい淡々としたお嬢様の、のんびりほのぼのした契約的婚約ライフのお話。


今回の作品は、純粋に架空の世界の話として物語が進んでいきます。
そのため、現代の知識を活かして活躍するようなお話ではありません。

しかし、この主人公の好みを知るほど、良いキャラをしていると感じる場面が増えていくでしょう。

もし、男性側のギャップに弱い方、ぜひこの作品を手に取ってみてください。

主人公の相手であるフェリクスの言動に自然と笑みがこぼれてきますよ。

出会いはとんでもない暴挙!……それでも優しい彼

タイトルにもなっている指輪ですが、これは作品のヒーローであるフェリクスがぶん投げたもの。
その指輪に当たった主人公と突然婚約をする流れは、なかなか新鮮でした。

しかも、その時完全に酔っていたフェリクスは後々彼女に平謝り(土下座)をすることに。

とても冷静で冷たい印象を周りに与える彼ですが、その冷徹な印象を持つ男性が主人公への謝罪に土下座……。
流石に予想外です。舞台が中世ヨーロッパ風ですので、そういった謝罪など普通ならしなかったでしょう。

そういう意味でも新鮮ですし、思わず吹き出してしまいました。
イケメンの土下座なんて、なかなかお目にかかれませんよ?

しかし、主人公もきちんと相手の立場を考えて対応しているのを見て、きちんとした女性だと感じさせます。
イケメンの土下座とか……なかなか見る機会なんてないですよね⁉

酔っていたのなら無効だと流そうとするも、フェリクスはアウローラの名前に傷がつくからと考えながら行動してくれます。
その誠実さは、好印象ですね。

やはり、主人公のお相手に魅力がないと、読んでいて楽しくありませんから。

少し強引で出会いは自分本位のものではあるけれど、フェリクスはとてもアウローラを大事に想って行動してくれます。

そのやさしさに自然と主人公も心を許していく姿はとても微笑ましい。
なんだか母親のような心境で2人を見守っている感覚になりました。

刺繡へのすさまじい愛情

この作品の肝になるアイテムが、アウローラが趣味にしている刺繍
もともと、夜会に出る理由が、参加している女性たちのドレスの刺繍を拝むという大胆なものです。

確かに、中世の女性たちが身にまとっていたドレスはとてもきらびやかで、美しいものが多い。
自分でも刺繡をたしなむからこそ、参考にしたいという気持ちはとても良く分かります。

現代でいうのなら、ファッションショーを見ている感覚と近いのかもしれませんね。

その時の目の輝き方は、普通の人とはまったく違い、まるで子どものように純粋。
自分の好きなものを前にすると、どうしても輝いてしまうのは仕方ないことです。

私も、素敵な料理が出てきたら、目が輝いてしまいますから。
……あ、食べるのが好きなのもありますが、どちらかというと料理する方が好きなのでこの例を出してみました。

1巻の後半では皇太子殿下のお金を使い刺繍の材料を買いに出かけるのですが、その時の表情もなかなか。

令嬢らしからぬにやにやが止まらないという顔で、侍女に指摘されていました。
でも、仕方ないのです。自分の趣味の材料を自腹ではなく、他の人のお金を使って集められるのですから!
えぇ、タダより安いものはないのです!

自分の好きな漫画を他の人のお金で好きなだけ買っても良いと言われたら……流石の私もにやけてしまいます。

自分の読みたいものを買って、時間を忘れて没頭できるなんてとても幸せですし、その後の満足感や充足感はとんでもないことになりそうです。

何かに集中して時間を考えずに行動できるのはとても幸せなことですし、ありのままを許してくれる人には感謝してもしきれません。
その気持ちは、何よりも大事にしていきたいと感じるものです。

二人で過ごす穏やかな時間の愛おしさ

この作品でとても愛おしく感じるのは、フェリクスとアウローラの関係性です。
出会いが突拍子もないものだからこそ、何も知らなかった2人が少しずつお互いを理解していく過程がとても愛おしい。

はじめの土下座から、一緒にお茶会を楽しみつつお互いへの理解を深めていく。
その中で自然とこぼれるアウローラの幸せな表情や、フェリクスの趣味を大らかに受け止める主人公の姿に、2人に幸せになってほしいと心から思います。

むしろ、幸せにしてあげなければという使命感まで生まれてきた私がいます。
だって、それだけ可愛いんですもの。
なんというか、母親的目線だと、不器用で真面目な男の子と大らかだけど意志の強さを感じる女の子って感じでして。
見ていると手助けしたくなってしまいます。

ただ、フェリクスを自分の夫としたいかを考えてみると、それはまた別のお話です。誠実なのは良いのですが、不器用すぎて苦労してしまいそうな未来が見えました。

物語だからこそ、主人公やヒーローには頑張ってもらいたい。
そして、山あり谷ありの人生を追体験させてもらえるだけで、私は幸せです。

この作品は、自分を主人公に反映させて読むタイプではなく、アウローラの頑張りやフェリクスのやさしさを第三者目線で追いかける物語だと思います。

また、主人公アウローラは鈍感な部分はありますが、それは自分に対して。基本はとても気づかいのできる素敵な女性です。

おわりに

思いやりにあふれた女性が主人公の作品ですので、見ていて穏やかな気持ちになるでしょう。
そして、一読者として、私は2人の恋路を応援したいと思える作品に出会えたと感じます。

一歩ずつ、成長していく主人公たちを見守っていきたい方や、冷徹な印象のイケメンのギャップを楽しみたい方はぜひ読んでみて欲しいと思います。


それでは、また次の作品でお会いしましょう。


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