「バイク」という魔法の絨毯で高知へ行って、アツい越境を学ぶため、君もバイクに乗らないか。
この投稿は「CLS高知 Advent Calendar 2024」の27日目の記事です。
CLS高知がどんなイベントなのかという詳細は他の記事に譲るとして、
ここではバイクの魅力を諸兄に語り、やがてはCLS高知へ編隊飛行をしてくれる仲間が増えることを願う記事である。巻き込まれ力を発揮してつまりバイクに乗れってことである。
序章 CLS高知に初参加するまでの経緯
2021年10月。フィンランドの企業に就いた初日、なぜか高知に来るように指示される。同僚であるK野さんが高知にいるという。高知で鰹を食べるイベントが有るようだ。鰹祭りかなにかだろう。私は本来魚は食べない。鰹に特段の愛も無いし、好んで食べたこともない。とはいえ、同僚がいるから行くしか選択肢がない。
彼が参加する、そのイベントが「CLS高知 」だったのである。
この年はバイクではなく飛行機で高知入りした。
高知空港に着陸し、K野さんが手配したレンタカーに乗り込む。
ここから高知の旅が始まるのである。
高知を3日間経験し、帰路につく。この年から高知での人・食・景色との出会いにハマってゆく。
ここまではいたってノーマルな、一般的なCLS高知への参加方法であり、県外からのノーマルな人はたいていこの方法で高知入りする。
まあ、この方法でも十分にCLS高知は楽しい。
しかし、もっと、こう、この特別な場所をもっと特別に出来る要素があるのであるのではないか。
それは魔法の絨毯「バイク」である。
第二章 CLS高知への道(洋上編)
BMW R1250GSをCLS高知に投入。
https://www.bmw-motorrad.jp/ja/models/adventure/r1250gsadventure.html
CLS高知の創立にかかわった人や常連の人でバイク乗りでもある人たちが、ツーリングを組み入れて高知に向かおうという活動をしていたりする。
2022年5月。2回目のCLS高知に、バイクで参加に乗ってみようとことになった。
バイク乗りが隊列を組んで走る、その意義とはマスツーリングの最大の魅力は、仲間と一緒に走ることで生まれる一体感である。 共有体験を通じて、走行後に感動を分かち合ったり、思い出話が増えるメリットは大きい。 特に、四国特有である自然豊かなルートや絶景スポットをこの仲間たちと一緒に走ることで、ソロツーリングでは味わえない特別な体験ができるのである。
少しだけここでツーリングの良き相棒であるバイクの紹介をしておこう。私が高知への移動に使っているBMWのアドベンチャーマシンは世界中どこでも走れるように設計されている。粗悪なガソリンでも走るし、そこそこ冠水していても走れる。もちろんガレたオフロードなんて得意なフィールドですらある。
後ろに3つ搭載されているアルミ製トランク(パニアケースという)に仕事道具や着替えなどを積む。股の間には約30リッターのガソリンタンクが配置されている。航続距離は600キロに及ぶ。この燃料搭載量と航続距離はバイクでトップクラスである。また、このバイクをより味わい部隠しているのは、低い位置に搭載した水平対向エンジン2気筒だ。パルス感あるユニークなエンジンを携え高地を走る。この航続距離と大きのに扱いやすいフレンドリーさが、世界で一番ユーザが多いオフロードマシンの所以とも言える。
閑話休題。話を戻そう。高知へ海路からの上陸作戦についてである。フェリーによる輸送はライダーがテンション上がる旅の重要な要素である。昔に比べると航路は確実に減っており、選択肢が少ないことからフェリー活用のツーリングというのは非常に限定的となりつつある。つまり、行き先の選択肢が少ないのだ。
東京港に集結したマシンは出港90分前に積載作業を行う。搭載後は甲板員により固縛され荒天でも転倒することはない。固縛を見届けたあと、部屋に持ち込む荷物を携えて客室へ移動だ。
フェリーの航海中は基本的に暇であり、時間を持て余す。携帯電話の電波も入らない暇な航海中をどう楽しむか考察するのが船旅の醍醐味である。
酒を持ち込むもよし、映画を見るもよし、甲板から海を眺めて人生の反芻をするもよし。貴官次第である。
さあ、飲んで起きて風呂に入り、甲板を散歩したら、まもなく入港、そこは徳島だ。
第三章 CLS高知への道(上陸編)
我々が乗ったフェリーは、航海を終えてまもなく徳島港に入港する。その後マシンたちの揚陸作業である。一番テンションがアガる瞬間でもある。フェリーへの積載、宴会、揚陸とここまでライダーはアガりっぱなしだ。フェリーとはそういうものである。
バイク旅の一番基本的な要素は無事に旅を進め、無事に終えることである。バイクという存在は車に比べるととても小さく脆弱である。
しかし台数が集まることによって互いに助け合い安全係数を底上げする。
バイクが隊列を組み四国を走る。四国が好きだ、そして高知も好き、バイク好きという複合的な好奇心を持つ少年のようなシニアなメンバーが集うと盛り上がらないわけがない。車と違って肌で感じる四国の空気、それは1度の気温の変化さえ感じ取ることができる。そうした道のりを超えて、かつ個々のワーケーションなどのミッションを終えると、その後に鰹とビールと卵チャーハンが待っている。高知における重大なご褒美でもある。(チャーハンの写真は他の記事に譲る。)
複数台のバイクは走行中、それぞれブルートゥースで接続し会話が可能である。上陸後の一つの儀式としてこのデバイスのペアリングを行う。コミュニケーションデバイスが存在しなかった時代はハンドサインでトイレ行こうと仲間に指し示し、仲間がそのハンドサインなんだろうと理解結局コミュニケーションが出来ないことも。ツーリング中、このデバイスを使って音楽を聞くことも出来る。道中の感想をそれぞれが発言をし、共感し、旅を盛り上げる。バイクは孤独のようで孤独ではない。技術の進歩が旅の一体感を醸成する。
ペアリングを行い、次の目的地を決めたら出発だ。港を背中に四国の道路を走り始めるのだ。ああ、また四国にやってきたと感動を抱きながらエンジンのパルスを楽しみながら、そして落ち着かねばと自制しながら走る。
第四章 CLS高知への道(ツーリング編)
バイクに乗らない諸官に向けて、ライダーたちはツーリング中どんな景色を見て、どんなことが起きているのかについて触れたい。
四国でバイクに乗っていると、心が綻ぶ。その原因は出会いと景色に集約される。道の駅、PA、宿、ちょっとしたコンビニ、あらゆる停止場所が出会いの場であり、交流の場だ。特に大型バイクは声をかけられる。何ccですかにはじまり、どこに行くんですかと問いは続く。
四国は酷道もあれば、走りやすい道もある。そのギャップに狼狽しながら目まぐるしく変わる景色を楽しむのである。
ただの道を特別な道に変えてくれるのがバイクである。クルマだとそうはいかない。クルマは空気を感じる事ができない。また、出会いもない。誰もクルマから降りてきた貴官に声なぞかけないのである。クルマは普通で日常でしかない。それがランボルギーニやフェラーリなどわかりやすいアイコンを持つクルマならハナシは別だ。しかし、スーパースポーツはこの地に似合わない。
四国はバイクこそ似合う。そしてなによりランチなどにおいて普通の食を特別に仕立て上げるのもバイクである。そこにたどり着くまでの不便さや苦労があるからこそ、車などでは味わえない食を楽しむことができる。カップヌードルでさえ、ツーリング途中で食べると格別だし、缶コーヒーでさえ特別な時間を演出する大切なアイテムなのである。
さて、ツーリングの通過点で最も重要視されるのは食事を摂ることが出来る店だ。それは時に蕎麦、時にうどん、時にイタリアンなどライダーが好む守備範囲は広い。さらに乱暴に言えばバイク乗りが集まる店はだいたいうまい。
ライダーが集まるいいお店が集約されている書籍がある。
ツーリングマップルである。長距離巡航時はこの地図を参考に食事のスポットを決める。ラーメン、カレー、丼物と幅広いリコメンデーションに妄想が花開く。
感動を底上げするバイクで走る高知は、きっと人生を変える。
バイクはCLS高知を拡張する。イベントが終わっても、バイクならさくっと広島観光や、もっと足を伸ばせば九州に行けてしまう。旅に旅を重ね、移動距離を伸ばしていく。この自由さはバイクならでは。慣れた場所からの距離に比例して創造性が高まるともいう。CLS高知が終わっても余韻を楽しみながら、新しい場所でワーケーションをすれば良い。山陰地方、九州、そのまま四国にとどまるのも自由だ。
この翼を活用して、自由に時間と場所を見つけだして仕事もこなす。ワーケーションとバイクは相性がいい。自由だ。自由な翼だ。バイクに乗らない不自由に甘んじていいのか。今一度、考えてほしい、本当の自由とはなにか。
第五章 CLS高知への道(発信編)
コミュニティ界隈では人は巻き込まれよう、巻き込む力、巻き込まれ力だ、越境だ、関係人口だというワードやセンテンスが飛び交う。耳触りのいい言葉に酔いしれていないだろうか。耳触りのいい単語に感化されていないだろうか。
巻き込まれるには覚悟という名の決意が必要だ。貴官も覚悟を決めぜひバイクに乗ってみてほしい。孤独ではない、仲間が全力でサポートする。乗らない理由はないはずだ。
さてCLS高知で登壇してバイクに乗ろうってハナシをしたら、ここの何人かはバイクに乗り始めるのだろうか。きっと多くの賛同を集められるだろうと考えた。
CLS高知にはスポンサー制度があり、スポンサーになると登壇枠がもらえる。たった5分だが、意識高い人の心を動かすには十分な時間だ。
やはりスポンサー枠といえども発信はバイクの啓蒙に決まっている。バイクに乗ってもらうために紹介したネタは「計画的偶発性理論」である。
バイクに乗れば、きっといい出会い、いいことが待っているというものである。
バイクという関心軸を追求し、偶発的に愉快なことが起きなかった人がいるだろうか。否、起きるのである。そこにはとても特別な世界が待っている。
これもバイクに乗っていない人からすれば信じられない現象だと思うが、真実であるし、この越境をぜひとも勧めたい。
CLS高知の本編終了後に必ず行われる懇親会にて、様々な人から登壇が良かったと言われた。そうか、バイクの免許を取るんだね?と尋ねると、反応はそこそこ。
やはり免許取得というコストと時間がかかるものは参入障壁が高めなのか。今やディーラーがバイク買ってくれるなら免許取得費用の一部出すっていってるので、キャンペーンをうまく使っていただきたい。
思い返せば、自分のときは高校3年間ずっとバイクの免許をとることしか考えていなかった。信念を持って金をため、教習所に通い、めちゃくちゃ無理してバイクを買った。バイト代の殆どをバイクの車体に注ぎ込んだ。楽しかった。
このような気持ちになってもらうため、啓蒙活動を行っているのである。
CLS2022年戻では大人の遠足で自動車博物館に立ち寄った。
この自動車博物館ではバイク展示もあり、これでもかというくらいバイクの魅力を語った。クルマもいいけど、バイクもいいものだと。構造上のシンプルさと、レースというフィールドが生み出した数々のテクノロジーに酔いしれる。
第六章 CLSへ高知の道(結び)
魔法の絨毯を手に入れることで、CLS高知という旅を拡張することが出来る。ワーケーションでの移動、或いはCLS高知が終わって高知を後にし、九州にいったっていい。景色を見ると同時に感じる空気。時に暑いし時には寒い。空気を感じない景色ならYoutubeでいいじゃないか。
CLS高知にバイクで来ることで、様々な人から声をかけてもらえる。道の駅で声をかけてくれたり、SAだったり。
バイク乗り同士すれ違いざまに挨拶する。
この挨拶一つとっても実は歴史があり奥が深い。
この挨拶が成立するのも、バイクは孤独だからだ。だからこそ孤独を楽しめる要素がある。
一人ぼっちだけど、世界とつながっている。無限に広がる景色と仲間とつながっている。そしてライディング時にしか発動しない思考回路というものがある。サウナの「ととのう」状態のようでもある。
つまり脳がリラックスして処理能力が高まった状態とも言える。
バイクは車と違って脳内の処理能力を高く求められる。そのためもあってか、旅の途中はアイスクリームを体が欲す。ほとんど甘いものを食べない筆者も、バイク運転時だけは例外だ。
冒頭にも書いたように、私は魚が食わず嫌いだったとも言える。高知で経験した鰹の藁焼きをひろめ市場でビールとともに、そして仲間と共通体験をするというパッケージにやられたのだ。これにより鰹が好きになった。鰹を切るための長い包丁も購入した。
さて、貴官にとってのバイクはどうだろう。食わず嫌いではないだろうか。高校生の時に教師が危ないから乗るなとも言っていたから、危ないんだろうというバイアスは持っていないだろうか。
私のひろめ市場で食べた鰹が後の価値観を変えたように、バイクに乗るという未知の体験が人生を変える。
そして不便を楽しむ心の余裕が人生を変える。さあ、乗ろう、魔法の絨毯に。
魔法の絨毯乗りが増えることを願ってやまない。
完