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コンテンツの良し悪しがわからなくなったPartⅡ
今夏、Amazon Primeで「妖怪人間ベラ~Episode0(ゼロ)~」という学園サスペンスホラーが配信され、話題になりました。50年以上前にヒットした人気アニメを実写版ドラマとしてリメイクした作品です。
夏らしい学園ホラードラマなのですが、じつは社会問題となっている、いじめや虐待、自殺などについて数多くの問題提起をしています。
いじめ・虐待・自殺といった私たちが長年解決できないでいる難しい問題を、人気アニメのリメイク、美少女たちが集まる女子校、そしてホラーというスリルあふれるストーリーに仕立てることでやさしく料理し、友情や愛情、嫉妬、悲嘆、絶望など人間が生きていく上で抱える性(さが)や業について深く考えさせてくれます。
「妖怪人間ベラ~Episode0(ゼロ)~」は、学園サスペンスホラーということで、同世代の若者はもちろん、50年以上前の人気アニメということで大人の興味も喚起しました。
大人(主に親)と若者(主に子ども)が「いじめ・虐待・自殺」といった社会問題を共有して一緒に考える機会が得られたのは、このドラマに「やさしさ」「深さ」「面白さ」が包含されていたからにほかなりません。
じつは「妖怪人間ベラ~Episode0(ゼロ)~」は、あくまでも現在上映中の映画『妖怪人間ベラ』のプロモーション用ドラマであって、本編は映画です。
私はさっそく映画も観に行こうと思ったのですが、主演のemmaはそのまま起用されているものの、監督も脚本も異なり、予告編やあらすじを見る限り、B級クソ映画の予感がしてなりませんでした。
これまで『キューティーハニー』『デビルマン』など幼少の頃に夢中になった名作アニメがリメイクされて蘇るたびに観ては失望し、憤りを覚えてきたため、そもそもAmazon Primeの「妖怪人間ベラ~Episode0(ゼロ)~」もまったく期待はしていませんでした。
1話を観てクソドラマだったらすぐやめようと思っていたくらいです。ところが思いの外、クオリティも高く面白かったので、「もしかしたら…」と一縷の望みを託して映画も観ることにしたのです。
しかし、わが人生の半世紀、ずっと映画を観てきたと自負する私の悪い予感はやはり当たりました。渋谷のど真ん中の映画館は、まだ上映4日目というのに私と連れ以外に観客はおらず、完全に貸し切り状態でした。
映画を鑑賞中、私は「ふざけるな〜!!!!!」と大声で叫びたい衝動に駆られました。
人生3本の指に入るクソ映画でした。
長く退屈で苦痛な2時間の拷問でした。
どうやったらここまでひどい映画が作れるのか不思議なくらいです。ストーリーは破綻しているし、構成もめちゃくちゃ、「妖怪人間ベラ~Episode0(ゼロ)~」のような「いじめ・虐待・自殺」といった問題を描くわけでもなく、友情や愛情、嫉妬、悲嘆、絶望など人間模様を描く気はさらさらなかったようです。せめてスプラッター的な怖さがあると思いきや、それも皆無。100万回くらい見たような古典的なホラースタイルはもはや70年代のドリフの喜劇かと思うレベルでした。
そもそもベラがなぜ登場しているのかさえわからなくなりました。
簡単にストーリーを説明すると妖怪人間は実は『妖怪人間ベム』の脚本家の実体験に基づいていて、50年前の「妖怪人間ベム」の最後には別バージョンがあって、それを見たらじつはベラは生き残っていて実在するのではないか、というところから話は始まります。そして、主人公の男がベラと会ったのを機に突然頭がおかしくなってサイコになっていくお話です。
しかし、なぜサイコになっていくのかまったくわかりませんでした。最後にオチがあるかと思いきや、それもなし。ただひたすらサイコになった男がターミネーターのように自分の妻と息子を殺そうと追いかけ回すだけ。それをなぜか突然、ベラが退治して一件落着。
サイコ野郎とベラの関係性もまったく見当たらないし、サイコ野郎が家族を殺そうとする動機も不明。最後にサプライズは用意されてはいるのですが、「ああ!そういうことだったのか!」という驚きではなく、「いくらなんでもそりゃないでしょ〜」という無茶苦茶なオチです。
すみません。わかりやすくあらすじを書こうと思ったのですが、とにかく話が矛盾だらけで、つじつまも合わず破綻しているので、まともに書けませんでした。
『妖怪人間ベラ』には2つの謎が残されました。
1. なぜこんなクソ映画が製作されたのか?
2. 映画のプロモーションにすぎないドラマがなぜこんなにいい作品になったのか?
想像ですが映画が出来上がったあとに、このままでは映画は大コケするので、なんとか宣伝でごまかそうと思って、苦肉の策でプロモーションドラマを作ろうという話になった。しかし、映画があまりにもひどい出来だったので、ダメ元でスタッフを総取っ替えして製作することになった。ところが、予想を覆してドラマチームが傑作を生んでしまった。
そんなところではないでしょうか。
私は映画を観終わったあとに、きっと私と同じやり場のない憤りを抱く人で溢れていると思い、誰かとその憤りを共有したいと思い、ネットでサーチしてみました。
すると……意外にも好評価をする人ばかりではないか!!!
私はわけがわからなくなりました。
Amazon Primeのドラマ「妖怪人間ベラ~Episode0(ゼロ)~」は、私が思った通り、どのコメントを見ても好評価でした。みんな口を揃えて「面白かった」と評価していました。
しかし、映画『妖怪人間ベラ』を面白いというのはどうことだろうか?
どうしても納得できない私は何度も何度もコメントを読み返しました。
そして、なんとなくその理由が理解できた気がします。
その答えは彼らが「無知」か「B級マニア」か、です。
子どもの頃、あれだけ面白かったはずの「ウルトラマン」も「仮面ライダー」も、大人になってから観るとストーリーは陳腐、セリフも稚拙、特撮も子ども騙し、ツッコミどころ満載でとても子どものときのように素直に興奮と感動を覚えることはできません。あるのはせいぜいノスタルジーだけです。
子どもの頃は、D.W.グリフィスもエイゼンシュタインもオーソン・ウェルズも黒澤明も知りませんでした。もちろん、ヒッチコックもサム・ライミもブライアン・デ・パルマも知りません。『サイコ』も『シャイニング』も『エクソシスト』も『SAW』も知りません。
つまり、これまで上質な映画やホラー作品を観ていない人にとっては、それがすべての世界なので、比較対象がないし、そこで満足していられるのです。
それは地下アイドルファンと同じ属性かもしれません。同じアイドルでも欅坂46にはないものを求めるからこそ、多少ブサイクでも、歌が下手でも、踊りが下手でも地下アイドルを応援するのでしょう。
映画『妖怪人間ベラ』を評価する人たちは、私のように上質なストーリーや映像、深淵なメッセージ性、欅坂46のレベルなどさらさら求めていないのです。
たまに批判的なコメントもあるのですが、そのほとんどに(笑)が含まれていることが伝わってきます。誰も私のように憤りを感じていないのです。批判コメントにも笑って見逃すような愛情がこめられています。
満を持して現れたアイツがあっさりやられてて笑った。
これを完成させて映画館で公開したことが何より恐ろしい。
高熱出して熱にうなされながら撮ったのかしら…。怖い。
感想ちゃんと書ける気がしません。狂気に満ちてました。何度か笑っちゃったけど。
50時間寝てなくて寝落ちした時に見る夢のような作品でした。
脚本家と監督には睡眠と栄養を是非摂って頂きたい。
出来が悪いとか下手とかじゃなくて、狂気だったんです。伝わります?
けれど、クソ映画のカテゴリーにも入らない。そんな気が狂ってる映画。
とんでもない映画を観てしまったな…
自分ホラー苦手なの忘れてたな。音でビビらすな。映像だけで普通にビビる。Emmaちゃんかわいい。
でも、私が最も激しく同意したコメントはこちら。
なんじゃこれ?何観せられてんの?
ホラーにしたいの?
家族描きたいの?
妖怪描きたいの?
人間と妖怪の悲哀?
は?×10000。
全部が、中途半端。
物語も演出も。
あの、未発表のアレが見つかった時は
テンション上がった!マジで!
期待した!マジで期待した!
どんなストーリーが待ってるんだ?と、、、。
以降は、、、もう話にならない。
怖がらせるための予定調和だらけ。
話を進めるための帳尻合わせだらけ。
あー、名作アニメを素材にして
何やってくれてんの?
映画『妖怪人間ベラ』は、私の映画への愛情が薄く、見方がまだまだ独善的で偏狭で視野が狭いと忸怩たる思いをさせられた作品でした。