ボカコレのランキング逆転現象について
こんにちは、2021年よりThe VOCALOID Collection(ボカコレ)の観測、データ収集や分析を行っている緋築です。
前回のnoteに引き続きボカコレの内容について書くのですが、今回は誰も触れたがらない「ランキング逆転現象」について書いていこうと思います。
あくまでも、過去のボカコレ等の楽曲データの集計を基にした仮説であるため、このnoteの内容が絶対に正しいとは限りません。あくまでも「こういう考えがある」程度の参考資料にして貰えると嬉しいです。
ランキングの逆転とは?
まず皆さんはボカコレなどの投稿祭に於いて「ランキングの逆転現象」を見たことがありますでしょうか。度々SNSでも話題になって炎上したりすることがある為、内容だけは知っているといった人は多いと思います。
改めて、ランキングの逆転現象について説明します。
通常ボカコレなどのニコニコが主催する大規模投稿祭のランキングシステムには、独自の集計方法が用いられています。これは多くの方が知っていると思います。
集計対象は再生数、コメント数、いいね!数、マイリスト数などの数値指標を非公表の計算式に当てはめてポイントを算出しています。
従って、「ランキング上位=獲得ポイントが多い」ということがわかると思います。
現在までにニコニコ動画にはマイナスとなる数値指標が導入されていない(YouTubeでいう低評価?)ため、基本的に数値が大きければ大きいほど獲得ポイントが多くなる……と思われています。
では、ランキングが逆転するとはどういうことなのか?
それは、全てまたは過半数以上の数値指標(再生数、コメント数、いいね!数、マイリスト数)で大きく上回っている状態にあるにもかかわらず、ランキングでは負けてしまう(=結果と逆転している)ことです。
実際に何度かこの現象は起こっており、更にこの逆転現象が1位と2位の間で起こってしまった事例が過去3回あります。
運営は現在ランキング集計式を公表していないため、このような逆転現象が起きると大体SNSが荒れます。「集計方法を出せ!」だとか「不正しているんじゃないか?」とか……
しかし、私含め一部のデータ収集などを行っている人間はこの結果には納得をしていますし、いずれ起こるだろうなとは思っていた現象だったので驚いてはいません。
実際にニコニコが不正に数値をいじってる?マイナス補正がかかってる?ランキングの逆転現象について私なりの考えをまとめました。
「補正値説」について
ランキング補正値とは?
先程、「数値が大きければ獲得ポイントを大きくなる」という話をしました。あれは厳密には間違っていると考えられています。
実はポイント集計には補正値の存在があると考えられているからです。
補正値とは、ざっくり言うと誤差を少なくするために観測値に足したり引いたり掛けたりする定数です。
そしてニコニコ動画には、再生数などの数値指標に加えて忘れられがちな指標が2つ存在します。それは「広告」と「プレミアム会員」です。
広告、正式名称ニコニ広告について。ニコニコを利用したことあるユーザーなら使用したことある人が殆どだと思います。動画のインプレッションを上げるサービスであり、ページの見えやすい位置に掲載されたり一定額支払えば動画開始前の映像広告(いきなり動画紹介)としてクリップを流せたりする便利システムです。
実は、広告には罠?という程ではありませんがあまり知られてない性質があります。それは、広告で流れたら、その分動画の再生数に加算される性質があります。
いわゆる「広告再生数」と呼ばれるものですが、実はボカコレにおいてこの広告再生数はほぼ0ポイントか、かなりのポイント補正が入っています。
この広告に掛かる補正値を我々は「広告補正値」と呼んでいます。
ランキングの逆転現象の原因の7割はこの「広告補正」です。
広告補正値による逆転
実際にどのようなことが起こっているか例を出します。
動画A (広告100万pts)
10万再生 100コメ 100マイ 100いいね!
動画B (広告1万pts)
4万再生 100コメ 100マイ 100いいね!
※動画Aは10万再生、動画Bは4万再生その他観測値は同値であり視聴層も同じとみなし、プレ補正値は無視する。
上の2つの動画を見た時、一見「動画Aの方が再生数多いしランキング上になりそう」と思う人が多いと思います。
動画A (広告100万pts)
純再生:1.7万 広告再生:8.3万×補正値
動画B (広告1万pts)
純再生:3.9万 広告再生:0.1万×補正値
※広告レートは、平常時平均120万pts≒10万再生で換算し、集中期の広告分配補正は無視する。全ての広告ptsが有効であり、全ての広告ptsがレート通りに消化されたと仮定する。
※「純再生」とは広告よる影響を受けてないとされる純粋に再生された再生回数を指す。
ここに広告レートにより、純再生数と広告再生数に分割し今回は純再生数には再生数補正1、広告再生数には広告再生補正0を掛ける。つまり広告再生数を無視すると、見かけ上動画Aの方が再生数が多いのにも関わらずランキングは動画Bが上位となる。ランキングの逆転が起きた。
ニコニ広告はどのぐらい入っているか、有効広告ptsはどれくらいかなんて余っ程の物好きしか見ません。故に、ここに逆転要素を孕んでいると分からないのです。
この広告による「広告再生数問題」は2020年頃か騒がれている内容でもあります。もう5年目なんだね……
そして、先程広告による逆転が7割といいましたが残りの3割はもうひとつの補正値にあります。
プレ補正値による逆転
通称「プレ比」や「プレ補正」とも呼ばれる(呼んでる)「プレミアム会員比率による補正値」が存在すると言われています。
これは以前のnoteでも解説しているのでざっくり書きますが、一般会員のマイリストや再生数よりプレミアム会員のマイリストや再生数の方がポイントが高いと言われているアレです。
これがあると、普段からニコニコに動画を投稿している人や古参ボカロPの方がボカコレでは有利に働くことがあります。
どういうことかというと、平常時にボカロを漁ってたり聞いている人はニコニコ動画を普段使いしている可能性が大いに高く、プレミアム会員である可能性も同時に高いです。従って、プレミアム会員のファンが多いと……という話があります。
逆に、YouTubeをメインで活動していてボカコレの時だけニコニコに投稿する人だとそもそもファンがいなかったり、ニコニコというフィールドではあまり知られていなかったりするため不利になります。
数値では勝ってるのにランキングで負けてる!広告も同じぐらいの量なのに……という方は多分プレミアム会員の比率的問題だと思いますね……
(ぶっちゃけた話をすると、動画に広告を入れて応援するよりプレミアム会員になってマイリスしたりする方が内部数値の加算がされやすいという通説があるので、これを見てる一般会員のリスナーは応援したいボカロPがいればプレミアム会員になって応援しよう!)
まとめ
今回はボカコレなどにおけるランキングの逆転現象について取り扱いました。
この先もランキングの逆転現象は多分見かけると思いますが、非難したり誹謗中傷したりせずまずは冷静になって「どうしてこうなったのか?」という原因究明やそのような思考になって欲しいなと思い今回noteとして書きました。
もしかしたら、間違っていることを言ってるかもしれませんし、ニコニコ運営さんがこの記事を見て「何言ってんの?」と思うかもしれません。
あくまでも私が観測できる範囲のデータとそれを基にした仮説であるため、そこら辺は本当にご容赦ください。
まだボカコレ関連でnoteにかけるネタ(工作が売られてる話、脱獄によりルーキーがオワコン化する話、ランキングって頑張れば弄れる話)はあるんですが割と炎上リスクを抱えながらやってるので反響があれば書きたいと思います。
では。