サウナとVaundy(バウンディ)
【あらすじ】
このお話しは、アラサー会社員『ナリ助』と、ナリ助の心のなかにいるリトルナリ助(通称『リト助』)の日常を描いた駄文である。
土曜日の朝は早起き
土曜日の朝は決まって早起き。
なんてったって、近所にあるスーパー銭湯で朝風呂価格で安く入れる。しかも、今流行りのサウナもしっかり完備。
自称サウナーのナリ助は、サウナに目がない。
今日もしっかり整うべく、早朝から10年ほどこき使っている自転車(腐食マシ、サビマシマシ)を全力立ち漕ぎでサウナへ向かう。
ロウリュウの洗礼
このサウナは、熱せられたサウナストーンの周りに木製の仕切りがあり、そこを囲むように座席がある。
そのサウナストーンに、サウナーが自分たちで水をかけて、水蒸気を楽しむ『ロウリュウ』が楽しめる作り。
熱せられた水蒸気が目の前で上がる臨場感がある反面、あまり近づきすぎると、熱気が直接かかるので注意が必要な作りになっている。
そんなことは慣れっこのナリ助は、いつものようにサウナストーンから適度な距離を保ちながらサウナを堪能。
すると静かにドアが開く。
入ってきたのは、流行りのサウナハットを深くかぶった、パーマ強めの小太りの男性。
ん?幻聴かもしれないけど、いまVaundy(バウンディ)の東京フラッシュの一節が聞こえたような。まさかね。
そしてバウ、、いやその男性はおもむろにサウナストーンの仕切り板に寄りかかるように陣取る。
ナリ助『ば、ばかな!あそこに座ったら、他のサウナーが水をかけたときに、跳ね返りのお湯が当たるっ!熱気だって馬鹿にならんぞっ!』
バウンディはそんなこと気にせず、ただそこに座る。よく見ると手はブッダが悟りを開いたときと同じポーズしてやがる!
そして数分が経ったとき、ナリ助の隣に座ったサウナーは、無情にもカンカンに熱せられたサウナストーンに水をかける。
ナリ助『やめろおおおお!!』
リト助『お、お前の血は何色だあああ!』
そんなナリ助とリト助の心配をよそに、バウンディは跳ね返るお湯にも微動だにせず、サウナを楽しんでいた。
あー、そうか。これが本物のアーティストなんだなって感動した。
数分後、しっかり温まった状態でサウナから水風呂へ移動し、整って帰宅した。
サウナにはまだ熱気に立ち向かうバウンディと、置き忘れられたリト助がカラカラに干上がっていた。