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 風と湖水と人々と  寺澤 満春

                    寺澤 満春

     忘れていましたぼくたちは  風にかおりがあることを

     木々のみどりは風にとけ  草は風に萌えてゆく

     草むらのペイコッたちの  瞳をのぞいてみれば

     かおるそよ風に  吹かれたぼくらが映ってる

      忘れていましたぼくたちは 湖水の色の豊かさを

     摩周の青は水にとけ 時と光にかわりゆく

     ヤンカラプテと声かける  摩周湖のカムイに向かい

     ぼくらはまぶたの中に  焼きつける摩周の水模様


    そして忘れられません  土地に生きる人々のこと

     ぼくらの知らない季節や歴史の きびしさ重さ背負いゆく

     アイヌのエカシの  白いひげは長い

     ウィルタのゲンダーヌ   あざやかな衣裳を着て踊る


シンガーソングライター 寺澤満春の作詞・作曲のオリジナル楽曲です。
風と湖水と人々と

【注】  
ペイコッ(アイヌ語で「牛」の意)
ヤンカラプテ(アイヌ語で「遠いところようこそ」)
カムイ(アイヌ語で「神」の意)
アイヌ(北海道にいる先住民族、アイヌ語で「人間」の意)
エカシ(長老の意。1981年、釧路で山本多助エカシ 1904-1993と出会う)
ウィルタ(当時、北海道には30数人しかいない少数民族)
ゲンダーヌ(北川源太郎氏 1924-1984のウィルタ名。1981 年8月6日、網走にあった北方少数民族資料館「ジャッカ・ドフニ(ウィルタ語で大切なものを収める家の意)」*のゲンダーヌ氏を訪問。ウィルタの祭の踊りの輪に加わり、ズワイガニを共に食す接待を受けた。)
 *その収蔵品の多くは、現「北海道立北方民族博物館」に移設された。
                     (なりた きいちろう)

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