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Escape .LOG

 2021/8/28にNo Disco Recordsから僕のアルバム『Escape』がリリースされました。No Disco Recordsからは2枚目のリリースとなります。今回は小説もついています。この記事には音楽と小説、両サイドの解説らしき文章を記しました。アルバムとノベルをより楽しむためのスパイスとして機能したら僕は嬉しいと思います。(逆に記事を読まないと楽しむ事ができなかったりするとか… )

アルバム『Escape』について

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   作り始めたのは去年の11月頃だったと思います。その頃は前作『O))toshiana』を作り終え、ネタが尽きたので教則本を読んでビートを組んでいました。全然聞いた事が無いジャンルの曲を譜例通りに、打ち込む事にハマっていました。作曲にipadを使用し始めた時期でもありました。作成したビートに「まぁ、こんなものだろうな」と思えるようなベースライン、メロディをつけて曲を作っていきました。2ヶ月程したら、曲が揃ってきたので僕はNo Disco Records に送る事にしました。代表のyambabomさんと何回かのやり取りを終えて、加筆修正(音楽なのに?) した楽曲達が今回、アルバムとしてリリースされる事になりました。以下に個別事に曲の解説めいた文章を記していきます。

1.「Psychic Hunting」

 アルバムの中で一番最初にできた曲です。ビートは典型的なハウスの4つ打ちで打ち込みました。このビートの場合シンセベースの音色は矩形波がよろしい、と教則本には書いてあったので、そのような感じのプリセットを選び、ベースを打ち込みました。上物に固い音色のピアノを打ち込み、ベース、ピアノの両方は16分の跳ねたリズムで打ち込みました。キーはCドリアン です。これらの組み合わせで曲を再生した時、何だか蛮族じみた雰囲気を曲に感じたため、僕はこの曲には「狩り」という単語を入れたいと思いました。「狩り」という単語の組み合わせとして「魔女狩り」「人間狩り」「赤狩り」「モンスター狩り」「恐竜狩り」といったものがわらわらと湧出してきたのですが、その中に「サイキック狩り」という組み合わせがありました。この組み合わせが一番、哀れな蛮族感があるなと僕は思ったので採用する事にしました。

2.「Danger」

 この曲はRob papenというメーカーのシンセvst Go2をいじっている時にできました。4つ打ちのビートに一分音符のノートを打ち込んだだけなのに、何だかよくわからない変化が出現しましたので、「面白い。採用。」となりました。何と言いますか、横スクロールアクション系アーケードゲームの2面か3面あたりの中盤で、敵組織からの奇襲があったという展開で始まるステージで流れてそうなBGM感がありますね。導入デモでサイレンの音がなり、ヘッドセットをつけたナビゲイターの緊迫した顔がアップ(もちろん
Bit打ち込み。女性。緑の帽子着用。束ねたピンクの髪が見えている。)Aボタンを押して、展開を進めると赤の警報灯が明滅するステージで自軍の兵が死屍累々と倒れている。そのような状況でステージSTART。といった感じですかね。どうですか?そんな感じしませんか?もうここまでくると妄想ですね。

3.「Treatment room 」

 この曲はポリリズムです。6/8拍子と8/8拍子(4/4拍子でも大差なし)が交ざっています。まず最初に6/8でキックとスネアを打ち込み、8/8でハットを打ち込みました。そして4つ打ちのキックを打ち込み、スキマにベースとシンセのメロディを打ち込みました。独自なグルーヴを感じますね(感じませんか?)この曲の作成時、僕は大学の卒研が煮詰まっていました。現実逃避したい欲がマックスになり、ベッドで寝そべりipadを手にして色々打ち込んでいました。そのときに打ち込まれた楽曲郡の中で一番独自性が強いと思ったのがこの曲でした。編集したら面白い事になりそうだと思い、PC にファイルを転送して色々と手を加えて作っていきました。

4.「Large pooL」

  いやぁ~ビーチ感。ありませんか?妙に楽天的なメロディにブレイクビーツのリズムを打ち込んだのですが、何かダブ/レゲエ感が出ましたね。AメロのシンセのプリセットにSoulful~といった形容詞がついていたので、何か熱っぽくなったのだと思います。僕は性格は暗い方だとおもっているので、このような明るい曲が作れると嬉しいですね。最後の展開のリズムが重なり合わさって狂騒的な感じになっていくのも好きですね。

5.「Objects」

  個人的なお気に入り曲。曲の後ろの方になっているシンセのシーケンスは8分の音を3つ配置したものを一つのグリッドとしてコピペしていき、どんどんとズレて聞こえるようにしました。確かフジファブリックの『TAIFU』の後半でも同じような効果を狙ったギターリフが使われていたハズです。大学で仲の良かった友達がコピーする時にぼやいていた記憶があります。僕は一曲の中で曲調を変更させる事はあまり無いのですが、この曲では変化させています。確か近親調がうんぬんかんぬんみたいな事をネット記事とにらめっこしながら作っていましたね。ネット音楽に詳しい知り合いに聞かせた時は、オンラインゲームのギルト集会場でなっていそうなBGMとの評を受けました。僕はオンラインゲームを全くしないので、イメージが湧かず、そうなのか...と思うしかありませんでした。

6.「Nightmare」

 自分で作っておいて何ですが、この曲はよくわかりませんね。ipadで適当に打ち込んだフレーズが何だか良さそうだったので、PCに転送して、色々と付け加えたタイプの曲です。深夜に大型リサイクルショップに併設されているクレーンゲームコーナーをうろうろしていた時に感じた、客呼び込み用のチープなスピーカーから流れるBGMが混ざりあい、不協和音が空間を支配している悪夢感をこの曲にも感じたので、そのままタイトルにしました。睡眠導入効果は割と高いと思います。

7.「Lethargy」

 この曲はグリーンエナジーというレーベルから出された『NEO SPACE SOUNDS RIMIX』というアルバムの楽曲をサンプリングして作りました。エスニックでパーカッシブなグルーブをDAWのサウンドライブラリから選び、16分で7音のシークエンスを付け加えた曲です。睡眠導入効果はこのアルバムの中では一番高いのでは?(最も退屈と言い換えても良さそうですね)

8.「Active」

 聞きやすい曲だと思います。オーソドックスなハウスという感じの曲です。クラブ・ミュージックを作成するための練習をかねて教則本を読みながらベタに打ち込んだ曲です。上モノのコードやメロディも曲のビートを阻害しないような添えられた感じ、というイメージで作っていきました。

ノベルについて

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 最初にNo Disco Recordsへデモ曲を送った時、yambabomさんから、「曲単体だと味気ないので世界観も作ってみたらどうだろうか?」という旨の意見を頂いた事がきっかけで小説も作りました。内容をざっくばらんに説明すると、「終末後の世界で、中央の実験場から脱走したサイキッカーの少女の終わりのない逃走劇」といった感じですかね。音楽を作るのは、まぁまぁ慣れてはいるのですが、小説を作るのは慣れていないため「多分こうでしょ!」とか「大丈夫か…大丈夫なのか?」と思いながら作っていました。『エルフェンリート』+『ジェノサイバー』な世界観に、『マルドゥックスクランブル』と『攻殻機動隊』の要素を混ぜて、色々と薄くした感じです。後は伊藤計劃の『ハーモニー』のhtml感もパクリましたね。脳にインストールされたナノデバイスによって、能力が発現し目の色が変わるという設定は、文字通り目の色が変わったら意思疎通しやすく、妙なすれ違いは減るのになぁ~という適当な思いつきから作りました。オッドアイの設定はまぁお約束という感じですね。

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以上で解説めいた記事を終わりたいと思います。日常生活のどんな場面に合うのか正直わかりませんが、少しの現実逃避の助けとはなるような作品だと思います。仕事が終わり、優先するべき娯楽を全て味わい尽くした時間の隙間にでも、聞いて、読んでもらえたら嬉しいです。






 


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