浜通り


目が覚めたら,私は高校の校庭で寝ていた. どんよりと曇っていて肌寒い.少し高低差があるのだろうか,校庭の片側は3階ほどありそうなコンクリートの崖になっていた.その上を走り込みをしている運動部の女子の掛け声が通っていく.壁のように反り立っている白壁の高校校舎の背後に裏山程度の山が迫っていた.

私は起き上がって地図を探そうと決めた.高校は下校時刻を少し過ぎたばかりだったので駅に向かうであろう高校生に目をつけその後ろをつけた.

若干海のにおいがする.おそらく5km以内に海があるのだと思った.

駅舎は下見板張りの平屋だったが,対岸式のホームであったので反対側のホームへの跨線橋があった.駅舎の壁の白いペンキは剝がれかかっていたが,そこまで寂れていないようだった.

地図を見ると海と言っても外洋に面した地域であるらしく,海側から並行して南北に鉄道,国道・高速道路が走っていた.茨城北部か福島の浜通り辺りだろうかとぼんやり思った.高校生よりも外套を着たサラリーマンの方が多く,群となって足早に改札を通り跨線橋への階段を登って行った.薄暗いところだ,と背中をみて思った.

繁華街は駅の反対側であるらしい.行って見ると高低差が激しいのか,坂と数段程度の階段,屈曲した街路ばかりでかなり複雑であった.見上げると山の向こうに人工構造物が見え隠れしたのでそちら側へと向かう.

山の反対側へ行くには,地下エレベーターに乗る必要があった.定員12名程度の観覧車のような腰掛のあるカプセルに乗り込む,乗客は私一人だけだった.地下エレベーターは,二層になっていて外殻が回転することで開削するように前へと進むのだという.アナウンスによると,この地下エレベーターはウラニウムで動いている.が,堅牢なコンクリート製だから被曝する恐れはないらしい.トンネルを抜ける光が眩しい.

エレベーターを降りると遊園地のような施設があるようだった.それらは2階レベルで接続されているらしく,森の中をペデストリアンデッキが繋いでいるようだった.一番目に留まったのが,柱についた恐竜の頭部がビヨヨヨンと前後に揺れている施設だった.中に乗るにしてもあの挙動だとGがかかりすぎて脳震盪を起こすのではないか,と思った.

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