見出し画像

信岡ひかる新曲「Crazy amazing」発売記念 特集・小林清美 part6「Crazy amazing」バックバンド・ トーク

 過去の特集記事はこちら↓

 信岡ひかるの新曲「Crazy amazing」の発売を記念して行なっている小林清美特集。Part6は参加いただいたバックバンド・メンバーのトークを掲載する。


 「Crazy amazing」のレコーディングの合間に、小林先生立ち合いのもと、今回、バックバンドとして演奏に参加していただいたドラムの林久悦さん、ベースの林由恭さん、ギターのオバタコウジさんにお話を伺った。

 実は4人とも山梨出身で、会話の中に「山梨的なもの」という話が節々に登場する。山梨出身のメンバーによるバンドサウンドには、信岡ひかるの目線とは違う別のストーリーが流れているのではないかと思う。

※ 5月26日の信岡ひかる生誕祭では、レコーディングに参加したメンバーによるバンド演奏がおこなわれる。ご予約はこちらから



Crazy amazing   (初回限定盤)
Crazy amazing (通常盤)



信岡ひかる新曲「Crazy amazing」発売記念 特集・小林清美 art6「Crazy amazing」バックバンド・ トーク





Crazy amazing」バックバンド・トーク 
 小林清美(Piano)×林久悦(Drams)


 林久悦(はやし ひさよし) プロフィール

 1994年に弟の林由恭、樋口政也、奥山裕樹と結成したパンクロックバンド・風来坊でデビュー。1996年に風来坊を解散。同年に結成したHUMANSとして2003年まで活動。
 現在は大渡亮、林由恭とともに3ピースバンド・ミサイルイノベーション、林兄弟で結成した族音二重奏をメインに活動する傍ら、ゆずのバックバンド等のサポートミュージシャンとしても活躍している。 ニックネームは林兄。

BLOG 人に歴史あり 
族音二重奏 Official Web Site               


(撮影 池田りな)



小林清美(以下、小林) 今回、ドラムを叩いていただく。林久悦さんです。



林久悦(以下、林兄) やっと覚えていただきましたね(笑)



小林 林さんはベースの由恭さんとは双子なので、お兄ちゃんと弟さんと覚えていたんですよ。だから二人とも林くんと呼んでたのっで、いつも間違えちゃんですよ。ドラムのお兄ちゃんの方が久悦さんです。



林兄 ややこしいので、仕方ないですけど(笑)



小林 高校は別だったのですが、近所の高校だったんですよ。



林兄 清美ちゃんとはデビューした年も実は一緒で。学校は違ったので面識はなかったけど、デビューした女の子がいるという話は耳に届いていましたね。



小林 当時、林さんは風来坊という尖ったバンドをされていたのですが、私と同じ高校にマクくん(樋口政也)という方がいて、彼が風来坊のボーカルだったんですよ。だから、私もデビューした人がいるというのは知っていて。マク君とは同じ学校だったので会ってましたけど、林君たちと会ったのは風来坊がHUMANSに変わってからですね。デビューしてからは、私が当時持っていたラジオ番組に呼んだり、逆に呼ばれたりしました。



—— 当時は尖っていたのですか?



林兄 そんなことはないですよ(笑) 基本的なテンションはこんな感じです。



小林 風来坊は学校批判の歌を歌っていて、学校の先生たちがすごく嫌ってたんですよ(笑)だってデビュー曲が「ざまぁみろ」なんですもん。



林兄 そうですね。媚びてませんでした(笑)



小林 それが斬新でかっこいいなぁと思ってました。当時は、地元で同時期にデビューできるんだ、嬉しい「一緒に頑張りたい」と思ってましたね。



—— 当時の小林先生の印象について教えてください。



林兄 変わってないですね。



小林 やった! でも、良い意味なのか悪い意味なのか、わからないですね(笑)




林兄 グイグイ会話が来るなぁってのは、変わらないですね。




小林 やだ。良い意味じゃないでしょ(笑)




林兄 パワフルですね。歌は繊細ですけど、行動はパワフル。そんな感じです。



小林 結構、人見知りなんですよ、私。最初は距離感もって警戒するんですよ。



林兄 いやぁ、田舎もんは基本そうですよ。



小林 弟さんの方はフレンドリーで話しかけて来るんですけど。お兄ちゃんの方は「後はよろしくお願いします」という感じで、静かですよね。ちゃんと線を引く礼儀がありますよね。



林兄 打ち解けるまで、時間がかかるんですよ(笑)



小林 何型ですか?



林兄 O型です。



小林 そう見えないですね。男っぽい性格なんですか?



林兄 家に帰ると家事をやったりと繊細ですが(笑)



——兄弟だと演奏の相性もいいんですか?



林兄 言葉では説明しづらいことですけど、そういう瞬間は演奏していても多々ありますね。会話に似ているというか、それは他人同士ではなかなか出ない感覚です。同じ曲を聞いた時の解釈も近いんじゃないかと思います。




—— お二人が、再び仕事をするようになったきっかけは?



小林 HUMANSの頃からしばらく会ってなかったのですが、何年か経って、お互いに山梨をもう一度愛そうという時期になったんですよね。林くんたちは地元の小学校の校歌を作ったりとか地元の観光大使に今はなってるんですよね。そしたら私も、林くんたちから山梨のコンサートに呼んでいただけるようになって。



—— それで再会したという感じですか?



林兄 そうですね。ホームページを見て、今のお仕事を知って。教えたりプロデュースしたりしていて凄いなぁって思ってましたね。




バンドだからできる世界観を
うまいこと表現できたら




—— これから「Crazy amazing」のレコーディングとなりますが。




小林 この曲は林くんたちに絶対叩いて欲しいと思っていたんですよ。もともと、ALLaN HiLLZという双子のボーカルユニットのコンサートで、林さんたちがバックで演奏しているのを見せていただいて感銘を受けて、生バンドでレコーディングする時はこのひとたちにお願いしたいと機会を伺っていたんです。



林兄 なかなか生の楽器でレコーディングする機会って今は滅多にないので、そういう機会を与えていただいてありがたいです。バンドだからできる世界観をうまいこと表現できたらなぁと思いました。



—— 前回、音を合わせた時に、林さんがドラムのテンポを80から82に変えたのが印象的でした。感覚的なものなので、お答えしづらいかと思いますが、その意図について教えてください。



林兄 まず、オケを聞いた時に、曲が少し長く感じたので、BPMを変えることで解消できるかなぁと思いました。それで色々探って、音を合わせた時に80から82に変えました。これは、何となくとしか言いようがないですけど。



—— 信岡ひかるさんの印象について教えてください?




林兄 背が高いですね(笑) この間のリハーサルの時の環境は音が聞きにくいので、歌が聞こえづらい環境だったのですが、声がちゃんと通ってましたね。そういうのは実は大事なんですよ。

(撮影 池田りな)




—— 小林先生の歌詞の世界観については、林さんはどう思われましたか?



林兄 カラーがあってすごくいいですね。一曲一曲が短編映画みたいで。演奏していても聞く側が自由に映像を思い浮かべてしまうというか。



—— まだレコーディング前で申し訳ないのですけど、ドラムの聞きどころを教えてください?



林兄 歌詞の世界観に寄り添いつつ、ただのカラオケではない揺らぎとか抑揚を音楽で表現できるようにしたいなぁと思います。



(撮影 池田りな)




「Crazy amazing」バックバンド・トーク 
 小林清美(Piano)×林由恭(Bass)




 林 由恭(はやし よしやす) プロフィール

1994年に兄の林久悦、樋口政也、奥山裕樹と結成したパンクロックバンド・風来坊でデビュー。1996年に風来坊を解散。同年に結成したHUMANSとして2003年まで活動。 現在は大渡亮、林由恭とともに3ピースバンド・ミサイルイノベーション、林兄弟で結成した族音二重奏をメインに活動する傍ら、ゆずのバックバンド等のサポートミュージシャンとしても活躍している。 ニックネームはヨッシー。


HP             
Twitter      
Instagram 
Facebook 
Youtube 



    




(撮影 池田りな)



—— お兄さんには先ほど、お話をお聞きしたのですが。



林由恭(以下、林弟) ほとんど同じかと思います(笑)



小林 ベースを担当した林由恭さんです。林兄弟の弟さんの方です。



——  お二人が知り合ったのも、お兄さんと同時期ですか。



小林 そうですね。存在は知っていたのですが、お会いしたのはだいぶ後で。



林弟 高校時代は接点がなかったんですけど、新宿御苑の丸ノ内線のホームですれ違ったのは、すごく覚えてます。



小林 ありましたね。



林弟 うちらが全員スタジオに行く時で。



小林 私はラジオの収録で。



林弟 そこですれ違って。「あっ」ってなったのは、覚えてます。



小林 あの時はすごいテンションが上がりましたね。



林弟 東京でこんな偶然があるのかって、驚きましたね。



小林 よく会うようになったのは、山梨の観光大使になってからですよね。コンサートやライブで会うようになって、それで仲良くなりましたね。



—— 信岡ひかるさんの印象について教えてください。


林弟 優秀ですね。


小林 お兄さんと同じこと言ってる(笑)


林弟 カメラの勉強もしているようですし、いろんなクリエイティブなことができる人なんじゃないかと思いますね。歌だけじゃなくて、いろんなことが今後できそうですね。




(撮影 神田茉結子)



—— 曲を最初いただいた時は、どのような印象を持ちましたか?



林弟 歌詞が清美節だなって思いました。清美ちゃんの歌詞って主人公がいつも少年少女の中間にいるような存在で、その瞬間をサーと通り過ぎていくのが小林清美節だなって思います。


小林 よく言われるんですよ。少年っぽいとか、男の子の目線とか。あんまり女の子っぽいとは言われなくて。



—— 今回はどんな目線なんですか?



小林 辛い現実で「どうしたらいいの?」って、もがいている人の目線ですかね。私は人生、不幸しかないから、それを歌詞にしていて。幸せな歌詞はゆずさんとか、歌う人がいっぱいいるんですよ。でも、そうじゃない人に共感したい、悲しみだけが今はほしいって人もいるじゃないですか。私はそっちを救いたい。私もこんなに不幸だから大丈夫。あなたも大丈夫って歌を歌いたいんですよ。



林弟 さすが、大凶を引く女(笑)


※小林先生は今年の初詣で大凶を引いて、それをずっと気にしていた。


小林 (笑)。世の中、絶対に笑ってるだけの人生を過ごしている人だけではないじゃないですか。凄いどん底の人もいるから、なんかそっちに寄り添いたくなっちゃうんですよね。でも、林くんたちは「未来に向かって走れ」みたいな世界で生きていて欲しい。そういう歌詞が当てはまる人にはそういう歌を歌って欲しい。


リズム感が若い


—— 全員でのレコーディングが終わったところですが、手応えはいかがですか?


林弟 彼女(信岡ひかる)が優秀で、楽しかったですね。歌のリズム感が若いというか、自分たちの解釈とまた違う感じで、そこに合わせて演奏するのは、クリエイティブで楽しかったです。



——(ひかるさんの)歌の解釈の違いについては、小林先生も感じましたか?


小林 ありますね。自分が書いたメロディやラップに彼女なりの解釈が入っていて、「あっ、こういう風に歌うのか」と思いました。「これでいいんですか?」って彼女は言うんですけどそれでよくて、それに私たちが演奏を合わせていったという感じです。

(撮影 神田茉結子)




揺れと感情が記憶される




—— バンドのレコーディングは初めて拝見させていただいたのですが、ちょっとずつ音のニュアンスが変わっていくのが面白かったです。



林弟 打ち込みには打ち込みの良さがあるんですけど、演奏に揺れと感情が記憶されるので、バンドの方が歌に寄り添うんですよね。だから、生バンドはいいなぁと改めて思いました。



小林 由恭さんのベースの入りが、最初はピアノとドラムだけなんですけど、そのあとに入ってくるベースがすごく神的で、私あそこがすごく好きなんですよ。


林弟 エロいから(笑)大人の魅力ですね。


小林 あそこで、凄い来た! みたいになるんですよ。後半は凄い動いてくださってカッコいいフレーズを弾いてくださっていて、そこも聞きどころですね。今回は全部の楽器を聞き分けて聞いていただけたら嬉しいなぁと思います。



林弟 ありがとうございます。


小林 1テイク、2テイク、3テイクと通して録ったけど、全部弾き方が違うから、選ぶのも迷うって感じ。


—— いろんな要素が重なって変わっていくものなんですか?


林弟 変わっていきますね。


—— どこのパートがいいのかと相談しているのも、聞いていて面白かったです。


小林 自分としてはあんまりと思っても、全体のニュアンスがいいから使おうみたいのもありますね。


—— レコーディングで弾き間違えたところを、気にしてましたね。 


小林 そこの鍵盤を推したくなかったのに、触れてしまい、鳴ってしまったんですよね。感情が出て弾くと、思っていないところに触れてしまうところもあるので。多分ベースもそうだと思うんですけど、林さんたちはプロなので冷静に弾いてますよね。


林弟 感情は入りますね。ライブもそうなんですけど、常に客観的な自分と歌詞に入り込む自分とうまくバランスを取るようにはしてますね。


小林 それはいいなぁ。私はついついみんなと弾いてるのが嬉しいと「嬉しい」って気持ちが出ちゃうんですよね。みんなちゃんと客観的に抑えるところは抑えて、出すところは出してるから、かっこいいなぁと思いますね。



(撮影 神田茉結子)



「Crazy amazing」バックバンド・トーク  
 小林清美(Piano)×オバタコウジ(Guitar)



オバタコウジ プロフィール

大学の仲間と組んだバンド「Nero」でCDデビュー。解散後はギタリストとして活躍。miwaやゆずのサポートメンバーの他、アーティストのライブやレコーディング等をおこなう一方、インストバンド「マリンボトル」のギタリストとして活動している。

BLOG 音楽が鳴り止むまえに 

(撮影 神田茉結子)



小林 ギターを弾いてくださったオバタコウジくんです。イェイ! オバタくんとの出会いはいつだろう?



オバタコウジ(以下、オバタ) 確かベースの林由恭さんの紹介ですよね。



小林 お会いしたのは私が進学校を仕事で回っていた時で、その時、バックバンドでギターを引いてくださる方を探していたんですよ。それで林くんの「素敵な人はいませんか?」と聞いたらオバタくんを紹介していただいて。それで、オバタくんが素敵なギターを弾いてくれて、すぐに好きになっちゃって。



——出会われたのは最近ですか?



小林 4年前くらい前だから最近ですよね。そこで山梨県の方で一歳下だと知って。林くんたちのおかげで知り合えてラッキーでした。
オバタくんはmiwaちゃんのバックバンドとして武道館で演奏もされている忙しい人で、だから今回、参加してくれたのが本当ありがたくて。



—— 最初に曲を聞いた時の印象について教えてください。



オバタ 演奏に関しては、最初はノープランでした。みなさんと顔合わせをしてリハーサルで演奏してみた時に、色々なアイデアが出てきたという感じです。最終的には彼女(信岡ひかる)が歌ってから聴いてから決めようと思って、それで今日、最後に決まったという感じですね。



—— 先生の曲の世界観についてはどう思われましたか?



オバタ 面白いなぁと。やっぱ普通じゃないなと思いました。



小林 二人(林兄弟)もそう言って帰って行きましたね。



オバタ 無味無臭じゃないですよね。なんだこれは? って瞬間もありますし、すっと喉に入るような時もありますし。歌詞がその場ではいってくるので楽器も反応しやすいです。



小林 素直じゃないので(笑)



オバタ やっぱり歌詞ですよね。歌が入ってこないと、楽器も弾きようがないので。



小林 オバタくんが作る歌詞はすっと絵本のように入って来るの。だから子供たちと一緒に聞いてもその世界がわかるという。私は逆に羨ましくなっちゃうんですよね。私はあんな風にまっすぐな歌詞は書けないから。歌詞とメロディがスーッと入って来る。素敵な感じなんです。



オバタ 僕の楽曲も田舎な感じなんです。山梨の何にもない野っ原があって、そこで夕日が沈んでいくみたいな。


※ オバタコウジ1st. solo album「Happy Birthday Morning!!」
通信販売はこちらから→
obata.thebase.in/items/9582072



—— ひかるさんの印象について教えてください。



オバタ リハーサルで初めて演奏を合わせたじゃないですか。どんどんいい感じに馴染んできてくれる。うまいなぁと思います。



——(ひかるさんは)バンドのレコーディングは、今回が初めてだったんですよ。



オバタ へぇ〜。



小林 でも、動じてなかったですよね。



オバタ すっと入ってきてくれて、僕らも嬉しかったですね。



(撮影 神田茉結子)



—— ギターの立場としては、どのようなことを考えて演奏されていたのですか?



楽曲に彩り(いろどり)を加えたかったですね。シュッとするポイントがあったりワイドな広がりを与えるのもギターの役割で、音色もその一つですけど、サビでバーっと切ない気持ちになるように務めた感じですね。



小林  この曲はオバタくんのリフをメインに考えてたんですよ。間奏もそうで、イントロはピアノでいいと思ったんですけど、やっぱりオバタくんに投げて良かったです。




オバタ 割と好きなようにやらせてもらいました。




小林 あんなに素敵なメロディを奏でてくれるなんて。それに音も重ねてくれて。




最後にイチゴをポンと置く



—— 全体のレコーディングが終わった後も、一人残られていましたが。



オバタ ギターを変えながらフレーズの一つ一つに音を重ねていました。



—— どのようなことに気をつけられましたか?



オバタ 感覚的なものですのでうまく言えないですが、歌の邪魔にならないことですね。うるさくならないように整理整頓しながら録って、ドラムとベースが作ってくれたリズムが崩れないようにしました。



—— 全体の調整をされていたという感じですか?



オバタ 最後にケーキの上にイチゴをポンと置くような感じです。それで華やかになるという感じで。



—— そういう意味での彩りなんですね。



オバタ そうですね。クリームを整えて、最後にイチゴをポンと乗せて、出来上がりと。そのフルーツのような役割です。



小林 あそこにギターがないと、本当に締まらないんですよ。ただバンと引いているという感じの音にしかならないので、あそこでギターが入ることでメリハリができて歌が引き立つんですよ。




オバタ コードの信仰がシンプルで、しかもラップ調の歌なので、そこに彩りや起伏を加えるということを考えましたね。



(撮影 神田茉結子)



山梨的なもの




—— こういう曲は、演奏する側としては難しいのでしょうか?



オバタ 難しいですけど、やりがいはありますね。色々試して、違うと思ったらやめて、逆にあっハマったなということもあって、伸び代があるというか。組み込まれたアレンジだと何もできないので。



小林 つまんなくなっちゃいますよね。



オバタ 緻密なものがある上でギターを入れる演奏とは、だいぶ違いますね。



小林 今回のギターもすごく心に突き刺さるフレーズで、私もレコーディング中に泣いちゃって。懐かしさの中に切なさがあって、なんか胸がキュッと掴まれる弾き方をされる方です。こういう感じでギターを引いてくださる人ってあんまりいなくて。優しくて、でも強くて。これはなんだろうって。



オバタ 田舎育ちですから、そういう風景が出てしまうんじゃないですかね。



—— 山梨的なものですか。



オバタ そうですね。



小林 だから私、オバタくんのギターを聴いているとね。すごく貧乏だった時代の(笑)、夕日の中で寂しかった幼少時代を思い出すの。



—— 今回の曲は山梨色が強いんですね。



小林 山梨の空気感が出ていると思います。もちろん、ひかるちゃんをイメージして書いた曲なんだけど。



—— 先生の原体験も入っているという感じですか?



小林 山梨で育った子が都会に出てきて、笑顔でいなければいけない自分に嫌気がさして、もうこんな自分やめよう、昔の自分のままでいいんじゃないのって、言ってあげている歌詞ですよね。



——「辞めようかな」というのは肯定的な意味なんですね。



小林 否定じゃないです。めちゃくちゃ肯定です。前向きに全部やめて、フラットでいいんじゃない。ナチュラルでいいんじゃない。自分を覆っているものを捨てて、歩き出したっていいんじゃないかなっていう。それをメンバーさんの音でも押してくれる。山梨の素朴さを出してくれる。だから今回、バンドメンバーの人選が良かった。



—— 山梨力ですね。



オバタ 全員東京で人生の半分は過ごしているけど、体の半分の水は山梨なわけですよね。それが知らず知らずのうちに出ていたのかもしれないですね。演奏を終えてみて思います。

(撮影 神田茉結子)



ご予約はこちらから

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?