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「E TICKET PRODUCTION&岡島紳士インタビュー これまでのMIC RAW RUGA、これからのMIC RAW RUGA」(2)
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「E TICKET PRODUCTION&岡島紳士インタビュー これまでのMIC RAW RUGA、これからのMIC RAW RUGA」(2)
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06 BEATS ME
07 WONDERFUL WORLD
――「BEATS ME」、「WONDERFUL WORLD」は「ETES2」の収録曲です。マイクロウに持ってきた曲と持ってこない曲の違いってありますか?
Eチケ:シンプルに言うと歌詞を変えなくてもそのままでいけるもので、かつ曲としていいなぁというものを優先したのだと思います。「BEATS ME」はギターと打ち込みで、ケミカルブラザーズみたいな曲を作ろうと思ったのがきっかけです。
――マイクロウで歌ったことで曲の印象が変わったりしましたか?
Eチケ:「ロケット噴射でぶっ飛ぶお台場~」ってすごくキーが高いところがあって、アイドルネッサンスの2人は声が出てたけど、当時のメンバーはなかなか出なくて、すごく歌いにくい曲なんだなって思いました。あんまり考えずに作ってたところに不具合が出ることがわかった。
――「WONDERFUL WORLD」は歌う人の個性がすごく出ますよね。今日のライブのMIYAさんのパートには落ち着いたしっとりとした感じがあって、REIさんとHINASEさんが歌ってた時の鬼気迫る感じとは、また違った魅力があります。
Eチケ:歌う人のニュアンスがノリますよね。人によって結構印象が変わるかもしれない。
08 ハッピーライフ
――「ハッピーライフ」。これはMOE-K-MCZ時代の曲ですか?
Eチケ:「ハッピーライフ」は、僕自身は、あまりやりたくない曲なんです。でも、岡島さんがやりたがる曲で。
岡島:MOE-K-MCZの時からデモだけはあったんですが、MOE-K-MCZでもライムベリーでもやってない曲で。でも、すごく好きな曲なんですよ。
Eチケ:MOE-K-MCZの曲はストーリー仕立てになっていて
「HEY!BROTHER」で「お兄ちゃん好き」ってなった後、保健室の先生に相談に行ったら問題が解決して「ハッピーライフ」で幸せになる。その後、振られて落ち込む曲があった後、「WJ」(ウィンタージャム)で寂しくなって、最後「MAGIC PARTY」がかかってパーティーで終わる。その中で「ハッピーライフ」は、凄くハッピーになった時の心情を歌った曲なんですよ。
――桑島由一名義のライトノベルみたいですね。
Eチケ:だから歌詞は「いかにハッピーか」ということしか書かれてない。トラックも昔作った曲なので単調で「自分としてはあんまりよくないなぁ」と思ってるんだけど、なぜか岡島さんが好きで「どうしても?」みたいな感じでセットリストに入れてた曲ですね。
――「ちゃっちゃー」ってジングルは、フジサファリパークのCMからの引用ですか?
Eチケ:あれはもともとある、ジャズのフォーンのサンプリングだから関係ないです。
――聴く度に「フジ―ッ!」って空耳になるんですよ。
Eチケ:それは成馬さんだけですよ。
岡島:中々、この曲はやらせてくれないんですよ。いい曲なのに。
09 りんねラップ
――「りんねラップ」は「ETRS」の代表曲ですが、REIさんが好きなんですよね。
Eチケ:りんねラップは岡島さんのDVD用の企画として作られた曲で、ブーンバップのカッコいいところをイメージして、サンプリングもつぎ込めるだけつぎ込んだ。あれはトラックがめちゃくちゃカッコいいと思っています。
――テクノ寄りの「りんねラップ2」のトラックも良いですよね。
Eチケ:「りんねラップ2」の話をすると、あれは元々、「イルフレイバー」という仮タイトルで、曲の中でグループのメンバー同士がラップでバトルするというアイデアだったんですよ。1番と2番でトラックの展開がガラッと変わるのは、やりあいながらトラックが変わるイメージで作っていたからです。
――演劇みたいですね。
Eチケ:ですが、いろいろな流れがあって「イルフレイバー」は実現しなくて、最終的に「りんねラップ2」になりました。
岡島:「りんねラップ」はREIがこの間、歌詞を変えたバージョンを誕生日イベントで歌いました。「りんねラップ」はオーディションの課題曲だったんですよ。そういう文脈を込めていて。メンバーがお休みで一人で歌うことがあった時にも、「りんねラップ」を歌う機会が多かったんですよね。
Eチケ:りんねラップは久しぶりに岡島さんと作る気合いの入った曲だったから、歌い出しの歌詞に「真摯な態度」ってあるんですよ。
――あぁ、(岡島)紳士と真摯をかけてるんですね。そんなこと、今更言われても(笑)。歌詞はそういうことをやるんですね。その時、その時の、自分の魂を込めるというか。
Eチケ:そういうことが多いですね。
10 カシャカシャ
11 dog kawaii
――次は「カシャカシャ」と「dog kawaii」です。この2曲はセットで捉えていて、この2曲で、マイクロウならではの方向性が見えてきたと感じました。
Eチケ:これまでブーンバップっぽい曲が多かったので、違うテイストのものをやろうと思っていたのですが、その頃はヒップホップの現行感がわかんなくて、テクノっぽいLFOみたいな感じで「カシャカシャ」は作ったんですよね。ちなみにEチケの声が入ってるシリーズというのがマイクロウには実はありまして「カシャカシャ」の「撮影、撮影」は僕の声です。歌詞は、女の子の自撮り(セルフィー)を歌ったもので、メッセージ性もなくて、こういうのあるよねぇ、みたいな歌詞ですね。
――メッセージ性がないという意味では「dog kawaii」にも通じるというか。
Eチケ:いや、「dog kawaii」にはメッセージ性はありますよ! あれはメッセージの塊です。
岡島:「これはメッセージソング」って曲内で言ってますから。初披露する時も「次はマイクロウの曲史上、最もメッセージ性の強い曲になりました。聴いてください」と言って歌いましたからね。
Eチケ:「カシャカシャ」を経て、トラップっぽい歌詞の作り方を模索して「これじゃないか」と思って作った曲ですね。当時のトラップって「釣りが好き」とか「Vネックが好き」とか1つのテーマでラップするものが多かったので、テーマは何でもいいんじゃね? と思ってたんですけど。
――あの頃のトラップは、どうかしてる歌詞が多かったですよね。
Eチケ:それで、女の子がラップするにあたってワンテーマで歌うなら何が1番いいかと考えた時に「犬はかわいい」と考えました。だからイントロは、とれまレコードからプードルというグループが出していた「クラッシュバルーン」という曲のフレーズの引用です。
――とれまレコードって田中フミヤが主催していたレーベルですね。
Eチケ:わかる人が聴いたら「プードル? だから犬?」っていう文脈のサンプリングもしているのですが、誰も気づいてくれない(笑)
岡島:タイトルは僕の案が採用されました。
Eチケ:最初は「猫もかわいい」の後に「亀もかわいい」という歌詞もあったのですが。
岡島:僕が無理やり入れてくれって頼んで。でも亀ってどうやって鳴くんだ? って思って。
Eチケ:『ミュータント・タートルズ』の掛け声の「バンガ、カワバンガ」を入れようとしたけど通じないだろうと思って諦めました。
――反響はいかがでしたか?
岡島:凄く良かったです。
Eチケ:ライムスターの宇多丸さんがこの曲は批評性が高いと言ってくれて、さすがだと思いました。別にふざけてるわけではない。ということが伝わったのが嬉しかったです。
――アイドルがラップを歌うということにEチケさんはずっとこだわってきて、どういうふうに翻訳するかを模索されてきたわけですが、トラップをこういう風に取り入れたのかと驚きました。
Eチケ 今はふつうにトラップやってますけどね。昔は翻訳作業って別に必要ないのにわざわざこだわってやってたなぁと、思いました。
――ジャケットも良かったですね。
Eチケ:あれは岡島さんの犬の写真なんですよ。
岡島:実家にいた犬です。もう亡くなったのですが。
Eチケ:犬の写真を大量に送ってもらって。
岡島:昔の写真だからデジタルじゃないので、現像しアルバムに入れたたくさんの写真をまずはムービーで撮って「どれがいいですか?」って送りました。
Eチケ:ご飯をもらってる写真とかいろいろあって、その中から選びました。イメージとしては「犬がラジカセをポチッと押してる感じ」にしたくて。
岡島:本当の写真は座ってるだけなんですよ。
Eチケ:それを僕がフォトショップでラジカセの写真と合成して。角度を調整して「こんな感じのイメージです」と言って、デザイナーさんに渡しました。
岡島:ビクター犬インスパイアですよね。
Eチケ:蓄音機を聴いている犬に対して、ラジカセのスイッチを押している犬のイメージで。あれは良いジャケットだなぁ。
岡島:Tシャツやパーカーにもプリントして、マイクロウのグッズにしました。
12 CONCORDE
――「CONCORDE」は1stミニアルバムのタイトルにもなっている曲ですね。
岡島:「CONCORDE」はなんか片手間に作った曲じゃなかったですか?
Eチケ:違います。それは誤解があります。これは「ワンツー」のリミックスを作ろうと思ってビートを作っていたら、めちゃくちゃカッコいいトラックになったので、リミックスじゃなくて新曲にしようと思った曲ですね。
岡島:突然、ほぼ完成した音源が送られてきたんですよ。いつもは途中経過で送られてくるのに。「こんなん、どう?」って感じで。
Eチケ:最初はビートだけがあって「じゃあ歌詞はどうしようか」とずっと悩んでいて。渋谷のイベントにマイクロウが出演した際の合間に、雑誌「通信制高校があるじゃん!」のインタビューをメンバーが受けていて、それを真横で聞くという体験をしたのですが、自分の知らないパーソナルなことをいっぱい喋っていて、それを元に歌詞を書いたのが「CONCORDE」なんですよ。
――メンバーの個性を踏まえた上でのあて書きということですか?
Eチケ:あれは完全にメンバーのインタビューを聞きながら、ここ使えるなと書いた曲ですね。「ターンテーブルとろくろは同じ」というのは、REIの実家に焼き窯みたいのがあってというところから取りました。
――すごく良い流れですね。
Eチケ:タイトルの「CONCORDE」はレコードの針のことなんですけれど、機材のことを歌詞に書こうと思って。JJOSって勝手にユーザーが作ったMPC用のOSのことなんですけど、そういうことに言及した歌詞ってあまりないなと思って。「カスタムしたいならゴーストへ」ってのはゴーストMPCというカスタムしてくれる人がいる。機材についての言及は面白いかなぁと思って入れました。
――1stミニアルバムのタイトルにもなっていますが、アルバムを象徴する曲ということですか?
Eチケ:音源を作ってみて、一番音がいいからタイトルにしようって流れですね。曲としてもクオリティが高いので。
(3)に続く。
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MIC RAW RUGA 1st ONEMAN LIVE
「PAY YOU BACK」
日程:2022年9月23日(金祝)
開場 18:00 開演 18:30
場所:渋谷 club asia(東京都渋谷区円山町 1-8)
出演:MIC RAW RUGA
チケット:前売<9/9(金)23:59まで販売>
A.VIP 13000円(+D)
…最優先入場&「PAY YOU BACK」Tシャツ&メッセージカード&お礼動画&バッジ&MC集CD-Rつき
B.SPECIAL 7500円(+D)
…「PAY YOU BACK」Tシャツつき
前売<9/22(木)23:59まで販売>
C.NORMAL 4000円(+D)
当日
D.NORMAL 4500円(+D)
●新曲を初披露します
●オールスタンディングです
チケットは8月24日(水)20時よりPassMarketにて発売。
購入はこちらから。
詳細はこちら。
MIC RAW RUGA ニューシングル
「PAY YOU BACK」
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発売日:2022年8月24日
レーベル:VIDEOTHINK
Streaming & Download
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