Learn Like a Proの勉強法をこれから取り入れるための具体策【働学併進#010】
毎日記事投稿を始めて10日目。
そもそも働学併進という言葉は、本田静六氏の「私の財産告白」という本で発見した言葉であり、勤労勤勉や刻苦勉励よりも性分に合っていたために叢書の題に入れている。
しかし、私も現代に生きる社会人として学びに割くことのできる時間は多くはない。そこで、「限られた時間の中でいかに効率よく学びを深められるか」という課題を解決するために、私はLearn Like a Proという本を読むことにした。
詳しい内容はこれまで3記事に分けて紹介したが、今回はLearn Like a Pro の精髄essence をまとめ、私がこれから実際にどのように現実世界で応用できるかを考えた結果を紹介しようと思う。
Learn Like a Pro の精髄
箇条書きにて「主張」「用語」「根拠」「方法論」などの要所をまとめた。
やる気がない状態でも深い集中力で勉強するならPomodoro Technique
スマートフォンやその他の錯乱要因 distractions を予め一切排除する
何かを「学ぶ」なら、カフェよりも図書館を利用する
勉強している時(特に数学)は音楽を聴かない
20分を過ぎたあたりから島皮質 insular cortex が辛さを感じなくなるため、どんなに辛くても、まず25分は集中してみる
マルチタスキングは、作業記憶に注意の残留物 attention residue ができ、どちらにも集中できなくなるから絶対にやめる
気が散ったと気づいたら直ぐに集中し直す
どうしても一度中断する必要が出てきたら一度立ち止まり、「今どこまで進んだか」「戻ってきたらどこから始めるか」を頭の中でまとめることで、脳に区切り closure をつけさせる。 ready-to-resume plan
5分の休憩時間 short breaks が勉強した内容を整理してくれる
休憩時間は昼寝か、頭を使わずに行える活動か、体を動かす
行き詰まりを突破するならHard Start Technique
集中していない時やリラックスしている時に、脳は散乱モード diffuse mode に入り、様々な考えやアイディア同士を繋げる
散乱モードを活用するためには、事前に深い集中モードで課題に取り組まないといけない
Pomodoro Technique の休憩時間はこの散乱モードを活用することが目的
集中モードは「問題を読んで、それに関わりそうな概念を思い出す時」「比較的簡単な問題を解く時」「語彙などの暗記する」に役立ち、散乱モードは新たな神経的なつながりを作り、難しい問題に対してのひらめきをもたらしてくれる
これらの2つの特性を用いて、まずは1番難しそうな問題に5〜10分ほど集中して取り組み、解けなかったら簡単な問題に移り、その間に散乱モードで(無意識的に)問題の解決法を探る
本当の意味で何かを学びたいなら能動的に勉強する Study Actively
能動的 active に勉強することで、脳内の神経細胞 neurons の軸索 axon と隣の神経細胞の樹状突起スパイン dendritic spines の強固なつながりが生まれる
能動的学習法の王道は思い出し訓練法 retrieval practice
本や動画で紹介された最も大切な箇所を、"何も見ずに"思い出してみる
学んだことを自分の言葉で詳しく説明してみる elaboration
単語帳 flash cards を作ってみる
違うパターンのものも練習に加える interleave
1回20分の激しめの運動を週3回ほど行う BDNF
睡眠は入眠時間も含めて8時間とる
勉強することでdendritic spinesが成長するが、実際に繋がるのは睡眠中であるため
日中に頭脳がエネルギーを代謝した結果、生成される毒素は睡眠中に洗い流されるため
新しい/難しい概念を理解したいなら作業記憶を最大活用する Maximize Working Memory
長期記憶に定着させるためにも、作業記憶で覚えやすいように情報を整理する必要がある
単純化 simplify
分割 Break into chunks
基礎的な単語だけ先に覚える
基礎的な例題から解いてみる
用語の簡易化 Translate into more understandable terms
ノートなどにまとめる Put something on paper
作業記憶で同時に保持できる考えは3〜5個であるため、集中したいこと以外のタスクはTo-Do List や端書などに書き付ける
ノートは作ることよりも、必ず見直してより深い内容を思い出せるように書く
右2/3に簡潔な文章でまとめ、左1/3にキーワードを抽出する
見返す時は右側を隠し、左側のキーワードでどれほど思い出せるかを確認する
動画や本を見直すよりも、思い出す方がよっぽど記憶に定着する
高次元な思考を行いたいなら学んだことを長期記憶に定着させる Memorize
より複雑で高度な思考は作業記憶だけでは行えないため、長期記憶という拡張機能を駆使する
理解が記憶の役に立ち、記憶がさらなる理解の役にたつ
ここでも大切なのは思い出し訓練法 retrieval practice
間隔をあけて、何度でも
長期記憶するための秘訣
頭字語 Acronyms: e.g. GAFA, IMR(Issue, Method, Result), SPA(Socrates, Plato, Aristotle)
特徴的な変な文 Quirky sentence: e.g. How I wish I could calculate pi
わかりやすい画像 Vivid Image: e.g. 左(派)の習近平と右(派)のバイデン
記憶の宮殿 Memory Palace: 馴染み深い場所に紐づけた記憶方
問題解決能力や遂行能力を向上させるためには手続き記憶を鍛える
Procedural Learning暗記系や簡単な科目は、断定的 declarative に作業記憶から長期記憶へ定着させることができるが、洗練された動作や思考は何度も繰り返し練習された手続き記憶系 procedural systemに格納する必要がある
ネイティブの人と話すとき、緊張するテストで数学の問題を解くときなど、どのような状況でも光の速さで何かを引き出したいなら手続き記憶系に格納する必要がある
手続き記憶に定着させるためには、その傾向や型を認識することが大切
頭に浮かんだ答えや解決法の案の内在化 internalize
初めは簡単なものから始め、複数の問題を解くことで傾向を掴む
間隔をあけて復習 Spaced Repetition
1週間後まで覚えていたいなら毎日復習
1年後まで覚えていたいものなら3ヶ月後に復習
思い出し訓練法 Retrieval Practice
無作為な順序で復習 Interleave
単語帳の順番を出鱈目にしてみる
洋書を読んだり、実際にネイティブの人と話してみる
怠惰・誘惑に打ち勝ちたいなら自己規律の発揮法を知る Exert Self-Discipline
誘惑の引き金を見つけ出し、そもそも引き金に手をかけないようにする
自己抑制を発揮する必要のない環境や仕組みを作る
やるべきことをやるまでをとてつもなく簡略化する
避けたい行動をとてつもなく煩雑化する
誘惑の引き金を別な行動の引き金にする
いつ、どこで、どのような行動で上書きするかを計画する
休憩や褒美を取り入れる
本気で楽しめる箇所を見つける
友達や家族と一緒に取り組む
継続的に努力したいと思いたいなら自らの手で動機付けを行う Motivate Yourself
Value: 今取り組んでいること、取り組もうとしているものの本当の価値を知る
いいことや利益を思いつく分だけ箇条書きする
見方を変える reframe
Mastery: 教材や課題の難易度を制御し、上達の実感を得る
難しい課題は分割する
わからない箇所はまとめて質問してしまう
Goals: 長期目標、経過目標、行動目標の3つをたてる
長期 long-term: 思い浮かべるだけでいい気分になれる目標
経過 milestones: 長期目標までの節目となる、SMARTな目標
行動 process: 環境に左右されずに、自分だけで実行可能なSMARTな目標
S: Specific 具体的
M: Measurable 定量的
A: Ambitious 意欲的
R: Realistic 現実的
T: Time-limited 期間限的
一度読んだ本の内容を、これまでより25%以上記憶したいなら能動的読書を行う Read Actively
Preview: その本や章を読む前に、大切そうな箇所や考え方、全体像を大まかに掴む
Recall reading: Pomodoroが終わったり区切りのついたところで、それまでの内容を何も見ずに思い出してみる。思い出せなかったら見直して、本を読み終わったり次の日にまた思い出してみる
Paramount: 自分の言葉で内容をまとめてみる
Annotation: 以下の内容をメモ書きで本に書き込む
大切な考え方を違う言葉で言い直した形
概念同士の繋がり
身の回りの具体例
理解しきれなかったもの
大切な段落の概要
試験で出そうな問題文を予想したもの
テスト/試験で好成績を残したいならテストに慣れる
過去問を手に入れる
実践問題になるべく近い問題を沢山解く
"本当の"プロのように物事を学びたいなら、メタ認知を活用する Metacognate
効果的に勉強法を使えているか、もっと改善する箇所はないか
今使っている教材の難易度は自分に合っているか
目標のための努力になっているか
勉強する時間は十分か
勉強している時の集中力は十分か
Pomodoro Technique
環境の整理
机の上にあるゴミや、隣の本棚を片付ける
使わないディスプレイの電源を切り、iPhone, AirPods Proは缶詰の中にしまう
作用に必要なものだけを開く
水を飲む
イヤーマフをつける
iPad/MacBook でTickTick のPomodoroタイマーを開く
自動的に、不必要な通知を隠すFocus Mode を有効にする設定済み
Focus Mode
Apple製品を使ったことがある人はわかるだろう。
私は読書用のFocus Mode を作成し、通知制限も設定した。
TickTick
TickTickはタスク管理アプリで、私は読みたい本を読書の段階ごとにカンバン方式で管理し(iPad)、Pomodoro Timer(MacBook)も活用している。
Pomodoroの手間をさらに最小化するために、Pomodoro Timer画面を開いて開始するショートカットキー(⌃⌘3, ⇧⌘P)を流れるように使う。
休憩時間の過ごし方
「5分で」「頭を使わずに」「気分転換になる」ものをまとめた。
これは以下のHard Start Technique用のDiffuseモードでも使える。
家事: 炊飯、出汁の準備、ゴミ出し
気分転換: 髭剃り、洗顔、歯磨き、部屋の片付け、換気
瞑想
運動: フットペダル、簡易的なストレッチ、スクワット
水分補給: 水を飲む、お茶を淹れる、コーヒーを淹れる
15分くらいかかる物がある時は、「読んだ本の内容や英単語を思い出してみる」か「事前に課題に集中して、15分はぼーっとする」などをして時間を活用する。
家事: 料理、買い出し、コーヒー豆焙煎
移動: 通勤、会食
Hard Start Technique
Hard Start Technique の本質は「先に難しいことから手をつける」というよりも、「集中モードと散乱モードを混ぜずに、それぞれ独立した形で活用する」ということだと思っている。
執筆作業で
執筆作業における集中モードを編集作業、散乱モードを文章作成としよう(反直感的だが、よく考えると納得できる)。
せっかく散乱モードで文章を紡いでいる途中で、集中モードが「ここが違う」や「根拠が不十分」などと口出ししているから執筆速度が遅くなるのだ。
とは言っても、不正確な内容をべらべら書き連ねることは害悪でしかないため、「文章を紡ぎ出す時は、マウスを使うような編集を一切行わない」と自分で律することにした。
そして、一切編集を行わないPomodoroを2回繰り返したら、編集のPomodoroを1回行う。
プログラミングで活用する
これも、基本的に考え方は同じ。
大まかな機能の流れや構成を考えているときは、具体的なプログラムのことを考えない
関数やクラスを実装するときは、コンパイルエラーが出てもとりあえず最後まで書き切ってから修正する
プログラミングはコード作成のPomodoroを1回に対し、コード修正のPomodoroを1回するのがちょうどいいと思っている。
能動的学習法・能動的読書法
能動的学習法の精髄は以下のような行為にある。
読み終わった本/章、見終わった動画の中ではどのようなことが書かれていたかを、何も見ずに自分の記憶から思い出す
例題を自分独りでどれほど解けるかやってみる
時間制限 time pressure を設けてテストのように解いてみる
誰かに自分の言葉で説明してみる elaboration
暇な時、いつもの作業をしている時に今日勉強したことを思い出してみる
単語帳 flash cards もさらに能動的にする
問題と答えを自分の言葉で作る
Quizletを用いたretrieval practice
Quizlet はiPhone アプリやWebから操作できる単語帳サービスのことである。
日々生活する中で、7分や12分などの隙間時間はQuizlet を使って、
本や映画で見た英単語
新しく学ぶ分野の用語、方程式、独自の概念
本の内容を思い出すようなキーワード
などとそれに紐づく内容をまとめ、毎日5分や10分間見直す時間をとる。
Kindleを用いた能動的読書法
キーワードにハイライトをし、そこにAnnotationを付け加える
自分の言葉での説明
専門用語を用いた説明
全体像と詳細度を両立した説明
概念同士の繋がり
身の回りの具体例
1日の終わりに、ハイライトしたキーワードだけで内容を思い出す
Procedural Learning
Procedural Learning は「(間隔をあけて)何度も」「自分の力で」「様々な傾向や型に触れる」ことで、無意識レベルで行えるほど熟達する学習法であるため、「執筆」「ソフトウェアエンジニアリング」「英語学習」はこれらの考えを抑え、以下のように行う。
何度も自力で記事を書く
読書メモ、調査報告、随筆などいろいろな型を試す
何度も自力でプログラムを書く
同じ言語、同じフレームワークでも、違うアーキテクチャ、違うデザインパターンで書いてみる
何度も自力で英語の本を読む
技術系、モチベーション系、科学系、数学系、小説などの様々な形態の本を試す
Self-Discipline & My Motivation
誘惑を周りから消すのは簡単だった
とても時間を食われているアプリを消す
Twitter, Instagram
モバイルアプリとWebアプリを使いこなす
モバイルのYouTubeでは、隙間時間にチャンネル登録している動画を確認し、Watch Later に追加する
土日の夕方にまとめてWatch Later を見る。興味を失っているものは見る前に消す。
部屋から余計なものを捨てる
1年使わなかったダンベルなどの筋トレ器具を捨てる
1年読まなかった本を捨てる
常にタスクは机の上に開いておく
iPadは開いておく(休憩中はロック)
MacBook は開発環境かNoteアプリか、note.comの編集画面を開いておく(休憩中はロック)
それ以外は置かない
毎朝の執筆活動と、毎夕の読書はTickTickのHabit で習慣化できるように管理している。
やりたくないなと思った瞬間に、一文だけ読む/一文だけコードを書く/一文だけ文章を書いてみる。
野望、SMARTな経過目標と行動目標は、後日ゆっくり「私白書」にてまとめる。
明日は「理工系のための文章作成術」の読書ノートを投稿する予定だ。