
なりきりさんまい Feel℃Walk 俳キング
なりきりさんまい? Feel℃Walk? 俳キング?
すべて耳慣れない言葉。それもそのはず。すべて「造語」です。でも、なんとなく伝わってくるものありませんか(ないですか💦)。
では、改めてどんなことをするか説明すると、
なんとなく気になることを追い求めてあてもなく近所をぶらぶら歩いた後、その道すがら撮影した写真を2枚選び、その2枚を組み合わせて発想した俳句のスライド1枚を加えて計3枚で語る。俳句は、写真の中のある対象になりきって詠む。なので、お互いの俳句を披露するときは対象になりきって語るという遊びです。
スライド3枚でなりきって語るから「なりきりさんまい」。
俳句をつくりながらあちこちハイク(=歩く)するから「ハイキング」ならぬ「俳キング」。
ということで、とある日曜日の午前中、全国に散らばる仲間たちとオンラインで集まりました。
一人でそれぞれリモート Feel℃Walk
1時間半ほど各自、近所をお散歩。みんなバラバラひとりでリモート Feel℃ Walk です。
これまで行ってきた Feel℃ Walk は最大5名ほどの小人数でワイワイ言いながらみんなで発見しながらあちこち歩きます。そうすると、自分とは違う視点のいろいろな発見に導かれるのでとても楽しいのです。
しかし、一人で歩くのも悪くありません。自分の気になるモノ・コト・ヒトに集中して、誰にも邪魔されずマイペースで歩けるからです。
ただ、みんなで歩いていると「まち歩き」をしているサークルだなと見えるのですが、一人でニヤニヤしたり、ブツブツ独り言をつぶやいたり、うずくまってスマホで写真を撮ったり、それも電柱だとか空き地だとかどうも撮影しても「映え」ないフシギな被写体に目を向けていると不審な感じを醸し出して歩くことになります。
あっという間に「面白句会」の時間
歩いて、写真を選んで、なりきり俳句をつくる時間も含めて一時間半ほどですから、あっという間に時は過ぎ去り、「なりきり”三枚”」を披露して、みんなで愛であう「面白句会」の時間を迎えます。
スマホに Google Slides アプリをダウンロードしてもらっているので、撮影した写真をはりつけて俳句を書くところまではすべてスマホで作業できてしまいます。
家に戻って、あるいは外出先で、パソコンか i-pad を開き、Zoom ミーティングで最び集まり句会のはじまり。各自の作品が「共有画面」で映しだされます。
突然現れる写真一枚。画面いっぱいの写真とともに「なりきり物語」がスタートします……
我輩は寛容な山である。我輩はどんな木々もわがふところにおさめるのじゃ。竹もそんな仲間のひとり。何千年も前からここで暮らしておる。
「すいません。ちょっと近づいてもいいですか」
お、人間の声が聞こえるぞ。くるしゅうない。くるしゅうない。我輩のそばにくるがいい。
「ここすごく竹が生えてませんか?」
なるほど見られてしまったねえ。実はね我輩は最近メタボ気味なのじゃ。
「ああ狭い」「苦しいよ〜」「倒れるぅ〜」
竹が苦しげにあげる叫び声を聞くのはしのびないことじゃ。
寛容な山になりきりて一句。
たから山 実はメタボで 悩んでる
さんまいで語る面白さ
いやあ、山になりきって声色を変えて語るのを聞くのが楽しいこと、楽しいこと。
遠くから見れば緑に満ちた自然豊かな宝の山。しかし、近づいて実情を知れば、人が放置したために、バランスが崩れ、荒れて、せっかくの宝の山がメタボ山になっている。ユーモラスな感じでくるみながら、自然破壊を風刺する一句になっているではありませんか。
三枚目の「俳句」が見事にオチとなって、前二枚の写真によって語られるストーリーがひとつにまとまって、「なるほど!そうきたか!」と思わずにはいられません。「さんまい」で語る面白さです。
二枚の写真の「かけあい fusion」で生まれる発想の面白さ
けばだつ木造看板の背面が、あたかも日焼けでずるむけになっているようです。この写真が、木陰のヒメジヨンに伸びるバラのつるの写真との「かけあい fusion」で、「日焼け止めを渡す」という連想が生まれます。
「姉御」という表現から、美しいがトゲを持つ野ばらの気の強さの裏に秘められた優しさが伝わってきます。写真の中の対象に「なりきる」ことと二枚の写真の「かけあい」が生み出す連想とが組み合わさって、自分の思いにとらわれない、対象に寄り添った面白い句が自ずと誕生します。
「えいやあ」で思いきってつくる良さ
じっくり時間をかけてつくるのではなく、時間ギリギリで、えいやあ!と思いきってつくってしまうのもまたいいところです。熟考してつくりこまないからこそ、思わぬ発見を素直に句にできるのです。
写真を選ぶとは言っても、なんとなくこれかなと直観的に思った一枚を躊躇なく採用すると、続いて、やはりなんとなくこれというもう一枚が浮上するという感じ。
これは、面白句会での解放され、ゆるやかで楽しい対話の連鎖と同じです。とりあえず乗っかって、重ねて、その結果、ジェネレートしたことに身を委ねるのです。
対象を探して歩くのではなく、なんとなくこれと思ったものをただつなぐ。いい加減な組み合わせ。
対象になりきって、「だってあいつがそう思ったんだからさあ。あいつの声が聞こえたんだよ」と無責任上等。うまい・下手という次元とは無縁の、何者かにつくらされたような発想を句にして遊ぶ。それが「なりきりさんまい Feel℃ Walk 俳キング」と言えましょう。
ぜひ一緒にやってみませんか。
参加者の感想
俳句読んでみたいけど、ついつい肩肘はってしまってチャレンジ出来なかった私。
家族で近所を散策しながら、気になったものを色々写真に撮って、その中から2枚を組み合わせて、対象になりきって一句読む。
たまたまマンションの玄関で出会った、明日から初登校の新一年生のランドセルと新緑との会話を元に、
「ピカピカの ランドセルおう 若緑」
と、夫婦で一緒に一句読んでみました〜✨✨✨
他の参加者の作品も秀逸で、朝から昼まで凄く笑った!!
オンラインの会に疲れ気味だったのですが、これなら散歩も出来て、リラックス出来る。なにより世界の見え方が変わる!!!自然も人工物もたくさん話しかけてくれる。子どもの頃に帰れるこの感じ…なんだかとっても気持ちいい!