内田繁のデザイン
その1
内田さんがまだ生きてた頃から内田繁のデザインってなんなんだろうってずーっと考えてて、いよいよ死んじゃったんだけど、生きてるウチに聞いとけばよかったことがいっぱいある。
松本人志が横山やすしをニホンオオカミって喩えてたけど、内田さんも一匹オオカミどころか絶滅危惧種だったって点ではまさに同じだった。
内田さんのデザインって実はその過程をあんまり知らない。朝、会社行ったら「これいいだろ」っていきなり出てきたりすることがほとんどだったから。
だから内田繁のデザインって?と聞かれたらあまり語れることがない。この際自分なりに納得いくまで整理しないと今後のためにも折り合いつかないなってなんとなく思ってる。内田さんの机の整理をしてたら見たことないスケッチがいっぱい出てきたりもして。すぐそばにいたのに、わかってないことだらけ。
で、最近になって一つひらめいた。逆説でもなんでもなくて内田繁のデザインってある意味説得力がなかった。デザインするってことはある種の人を説得させる面があると思うのだけど内田さんはそういうのやらなかったなって。デザイン自体になにか仕掛けや複数の視点があるみたいなことはやらなかった。理念としてとことん軽くやろうとしてた。少なくとも晩年の内田さんはそうだったと思う。