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管理職になった

少し前に勤め先で管理職になった。

管理職になるにあたり自分にできるのかすごく不安でネット上の様々な記事や体験談を読み漁ったり親しい友人に相談したりとたくさんモヤモヤしてきたので、ここまでに至る経緯や今思っていることなどを忘れないうちに私なりに書き留めてネットの海に流そうと思う。
なお、私が読み漁った中では女性管理職の諸先輩方が「最初は不安だったけど、引き受けて良かったです!」「今悩んでいる後輩たちにも頑張ってほしい」と語る記事や投稿がとても多かったけれど、私個人としてはそういった話を読むたびに「それってもともとシゴデキ人間だからなんじゃないの?」と懐疑的な気持ちになりモヤモヤがさらに募った。(ひねくれた人間)
事実、今現在正直なところ私自身は「引き受けてよかった」と胸を張れる境地には至っていない。そんな人間が書く内容だということをまずは頭に置いて読む覚悟のある方だけ続きを読んでほしい。

それまでのキャリア

私は新卒の就活で非常に苦労した人間で(世代的には就職氷河期の最後か、終わった直後の世代なのだが、世の中の情勢というよりも個人の資質の低さの問題だったと思う)、これまで数度全くの異業種異職種を転々と渡り歩いてきた。新卒のときはとにかく自分の適性よりもやりたい仕事を重視しすぎて、同世代に比べて年収もかなり低くニッチすぎて潰しの利かない会社でキャリアをスタートさせてしまったのがすべての元凶である。そのせいで転職も都度まあまあ苦労はしたけれど、少しずつ自分の居場所を見つけ、年収も上げて、ここまで無事にひとりで生きてこられた自分をまずは褒めてやりたい。
しかしながら年齢の割にこれといったキャリアが身についていないのが自分でもコンプレックスであった。普通30代も半ばになると役職を貰う人も多いのかと思うけれど、自分は出世したい・したくないという以前に無縁な話のような気がしていて、いつまでも若手気分が抜けないまま年齢を重ねてきたような感覚がある。
個人的には管理職まで出世するのはバリバリガツガツ働いている仕事好きな人というイメージがあって、自分は仕事は与えられたものはそれなりに頑張るけれど好きだと思ったことはないし、人前に出て引っ張っていくのも好きではないし、プライベートを犠牲にしてまで会社に尽くして働きたいみたいな欲もないので、やはり管理職は自分には向いていないと感じていた。

昇進、それは突然に

現在の会社にはまだ入って3年も経っていない。入社する際の面接で管理職になる意向があるか質問されたことを覚えている。前職で主任クラスまでは上がっていたし(部内に同世代が少なかったのでメンバー構成のバランス的に自動的に上げられたパターン)、年齢的にそのあたりの将来性も加味して採用可否が判断されるのは当然だろう。確か「周りに管理職として必要とされるのであれば挑戦したい」とは答えたと思う。そう言わなければ落とされるのがアラフォーの転職だと思っていたので。
でも本音としては前述のとおり自分が管理職になるというのはピンと来ていなかったし、寧ろできることならなりたくないとすら思っていた。

入社したあと周囲から次期管理職として期待をかけられているということがすぐに分かった。これはどこの会社もそうなのだと思うけど、役職定年となる50代半ばからすぐ下の世代が就職氷河期でボリュームが少ないため、40代の次期管理職として働いてくれる世代が必要とされているのではないか。

とはいえ、なかなか今の会社のカルチャーにフィットするのが難しく(今もそう)、周囲も「期待して採ったけど、こいつには無理じゃね?」と失望された空気があり、入社後プレッシャーに押し負けて精神的にきつかった時期を経て、ようやく落ち着いて自分のペースで働けるようになったかな~と思った頃、突然直属の上司が異動することになり押し出し人事で昇進することに…。
その数か月前の面談では「あなたには2~3年後上にあがってもらいたいと思っているのでそのつもりで準備してください」と言われ、そうか~まだ時間あるしのんびりやるか~と思っていたのに。

会社員人生折り返し残り20年をどう生き抜くか

一番最初にその話を聞いたとき、まだ内示という正式なものではなかったので、断ろうと思えば断ることもできたのかもしれない。(その後の処遇がどうなるかはわからない)

しかし、私は断らずに引き受けることにした。
社会人になり約20年、(我々世代は定年70だとか言われているけどまぁ現行の会社の制度ではまだ60歳が正式な定年なので)定年まで約20年。今自分はちょうど会社員人生の折り返し地点に立っていることになる。どんどん若くて優秀な社員が後から入ってきて一緒に働くことになったとき、自分が残り20年会社から必要とされる人間でいられるには、「他の誰にも負けない強み・武器を持ってプレイヤーとして活躍し続ける」か、「マネジャーとしてチームをまとめて動かす立場になるか」しかないのではないかということを最近よく考えていた。そう考えたとき私は同世代に比べて誰にも負けない武器を持ったプレイヤーにはなれないなと自覚していて、そうなればおのずと答えは一つになる。

自分には早い、準備ができていない、と言い訳して断ることもできたかもしれない。でもふと考えると、じゃあ何をどこまで準備していればOKと言えるのか明確な基準があるかと言うとそれもわからない。それに仮に自分が「準備万端。いつでも昇進できます!」と言える日がいつか来るとして、そのタイミングで適切なポジションに空きがあるとは限らない。

今この瞬間に目をつぶって思い切って飛び込むことも必要なのではないか。
できるかできないか、まだやってもいないのに本当に自分にはできないと言えるのか、判断するのはやってみてからでも遅くはないのではないか。
そう思って昇進を引き受けるに至った。

なってみてどうだった

案ずるより産むが易しでした!と言いたいところだが、正直そんなことはとても言えない。絶賛「あ~しんどいな~」という状態が続いている。(ただストレス耐性がない人間なのでしんどいの閾値が人より低いという可能性はある)

そもそも私は子供のころから人の先頭に立って周りを引っ張るリーダータイプではないし、事実 集団の中でリーダーを引き受けた経験もほぼない。(風邪で休んでいる間に勝手に決められていた修学旅行の班のリーダー(不憫)とか、吹奏楽部のパートリーダーくらいしかない。しょぼい。)
どちらかと言えば副リーダータイプで、リーダーのサポートとか裏で目立たず動くのが好きなタイプ。そんな人間がたった5名以下の部下とはいえ人の先頭に立ち集団を導いていくというのはそれだけでストレスがかかっている。
他人との意見の衝突も好まない平和主義のため、他の課や部とのネゴや調整にも押し負けて一方的に言われて耐えているときもある。
自分が決断しなければならないという場面にも苦手意識を持っている。
そもそも人のことを評価できるほど自分自身の能力が高いとも思っていないので、自分ができるかどうかも分からないことを部下に振って、指導し、その結果を評価するのも辛い。
上からも下からも横からもいろんなところから圧を感じ、色んな所に気を使って生きている。これが中間管理職・・・イメージ通りだ・・・というのを毎日実感している。

ただ、じゃあ引き受けなければよかった!と思っているかと言うとそうでもなく、先述のとおりポストの数に限りがあり会社員誰もが望んだタイミングで管理職につける保証があるわけでもない中で、貴重な経験を積む機会を与えてもらえたなと思うとそれはそれで感謝はしている。この年になると仕事で新しい経験を得て更なる成長!とかも得難くなるし。
だが、この先続けられるかどうかは分からない。私が自ら脱落するかもしれないし、ポジションを外されるかもしれないし、今はまだ先のことが見えないけど、そうなったらそうなったでやってみた結果自分には向いていないことが分かったということで、また別の生き方を模索するしかないのかと思う。

下駄を履くこと

ちなみに、昨今言われている「女性管理職は下駄を履かされている」という話は、確かにそうだなと思っている。うちの会社も女性管理職を増やすということは会社の目標の一つに掲げているし、これが10年前の日本だったら、まず私のような人間に管理職のお鉢は回ってこなかっただろうなと思うので。
ただ、この話は裏を返すと管理職は男性がなるものだと言われていた時代は、ただ性別が男というだけで能力が大して高くなくても出世ルートに乗せられて昇進していた、下駄を履かされた男性がいたということでもあったと思うので、別に今の時流に乗って昇進した女性たちが自分自身を卑下する必要は全くないと思っている。

SDGs管理職

前述のとおり私の従来の管理職のイメージはバリバリガツガツ働いている仕事好きな人というものだったのだが、私自身がそのタイプではないし、
今のところリーダーの適性すらも感じられない状態なので、
(もしもこの先脱落せずこのポジションにい続けられるのであれば)「なんかあの人いつもゆるく仕事しているよな」と陰口叩かれるくらいの緩いとろ火の火力で仕事するリーダーを目指したいとは思っている。時代は持続可能なSDGsでもあるし。
これは前回のnoteでも書いた下の世代から見て「こういう生き方もありだよね」と思ってもらえる存在になりたい、というところと重なる部分でもある。


会社員人生残り約20年、とにかく心身健康にゆるく生き延びられますように。

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