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まちを実らせるヒントを探す|フルーツを食べながら

都市経営プロフェッショナルスクールの秋季集合研修に向けて、各チームにケーススタディの課題が出され、約2ヶ月をかけてチームで企画・ブラッシュアップ・プレゼン準備を行いました。

グループで少しずつ前へ

わたしが所属するBグループの課題は「廃校になった旧赤沢小学校の利活用」。赤沢町の町長から依頼を受けた経営コンサルトの立場で、地域の活性化と財政健全化を同時に実現する事業プランを提案する」というものでした。

2022年に閉校となった赤沢小学校。校舎が比較的新しく、大掛かりな改修をしなくても使えそう

ケーススタディ打ち合わせの初期は、Bブループの中でさらに3つの少グループに分かれて個人が持ち寄った事業案を検討。小グループの中で絞った事業内容3つを、全体で持ち寄って決選投票という流れで、どんな事業にするかを決めました。

この話し合いの中で印象的だったのは「紫波町のなかでの赤沢小学校の位置や他の学校との差異は何か」「赤沢ならではの魅力は何か」「特徴に数字的な根拠はあるのか」という、強みを見つけるワークが後々の具体的な計画につながったことです。地域資源を活用するために、それがほんとうに資源と呼べるのか、他に資源になりうるものはないのか、そう考える習慣がまちを見る視点を変えていくように思います。

紫波町の中でも山にほど近い場所にある赤沢小学校。屋外プールって自動的にノスタルジーを喚起させる装置ですよね

提案したプランは「果実の生産地」という特性を活用して地域を活性化させつつ、赤沢(紫波)の魅力や産物、人材を域外に波及させるための事業を実施しようというもの。

定期的に実施しているオンラインゼミの時間では足りず、追加ゼミ、グループに分かれての個別打ち合わせ、スライドの作成やデータの調整など、みなさん日々の仕事と暮らしとマイプロジェクトもあるなかで、それぞれが役割を見つけて企画が前へ進んでいったことに感謝。わたし自身も自分の使えるリソースは最大限使ってチームに貢献しよう、という意識が芽生えました。

合宿研修で訪れた紫波町は東西に山を要する美しい場所

合宿に入ってからもコーチ陣へのプレゼンとFB、隣のチームへのプレゼンとFBをそれぞれ経て、議論→調査→改善→議論の連続でプレゼンを完成させることができました。心身ともに限界ながらも発表までに最善を尽くすことができたように思います。

もちろん反省点はたくさんあって、考えた事業計画の課題を通じて、グループのチームビルディングの課題も、個人の課題も顕になりました。ただ、それこそがケーススタディの機能というか目的なのかも。「できない」ことを隠さずに認識できると、「できる」「やる」にどうやって変えていくか考えることができるから。

プレゼンの最後の詰めは広場のベンチスペースで。屋根付きのゾーンもあって椅子の数もまちまちでいろんな使い方ができる魅力

「見る」「感じる」「会う」「話す」「聞く」「味わう」ことの大切さ

今回のケーススタディでは、自分が見たこともなく行ったこともなく暮らしたこともないまちの課題を検討するというもので、そのまちを知るために調べるところからスタート。今はWEBに情報がたくさん載っているとはいえ、実際のその場所の雰囲気や周辺環境、物理的な距離感や住む人の体感がよく分かりません。

そこでまず、チームの東北エリアに住むメンバーが2名ほど、実際に現地を訪れて写真も含めて詳細にレポートしてくれました。同時に、紫波町役場の方にヒアリングもしてくれて、実態を根掘り葉掘りしてもらいました。このおかげで認識の解像度が格段に上がり、目指すところが見えたように思います。

校庭がとても広い赤沢小学校

また、チームメンバーがたまたま他所で出会った赤沢小学校出身者の方に、オンラインゼミにゲストインしていただき、そこで育った人としての実感や想いなどを詳しく聞くことができました。足りていないものある一方で、誇りや想いもある、というお話が印象的で、「なんとかしなくては!」と寄り添うちからが湧いてきます。

3つの小グループからのアイデアを集約する決選投票では、紫波町の商工観光課の方にも参加いただき、講評をいただきました。地域の農家の方が果樹栽培に注いでいる想いや、後継者問題などについても教えていただいたことで、課題と地域資源の表裏が見えるように感じました。

フルーツを食べながらワーク。結局、3日連続で「食べ比べセット」を買うことに

合宿に入ってからは、紫波マルシェで地元産のフルーツを買うところからスタート。複数種のぶどうが入った「食べ比べセット」とリンゴジュースを買って、糖分補給しながら研修にのぞみました。紫波町産のフルーツは想像の何倍も美味しく、「このエリアの誇りである果実の栽培を絶やさずに地域を発展させていかなくては…!」という思いが自分のほんとうの気持ちとして育っていきました。

こうして事業を考え構築する段階で、たくさんのものを見て、触れて、人に会い、聞いて、話して、食べることで実感をともなった事業計画をすることができました。夢物語のような部分もありましたが、ワクワクする未来を想像できる企画と、美味しい果物に出会えたことがとても嬉しくもあります。

現場を見たり食べたりするのが当日になってしまったことは少しもったいなかったけれど、合宿の帰りには産直に寄って、フルーツを両手に抱えて帰りました。好きなまちと好きなものが増えた。そんな実感を持って、次のステップに進めそうです。

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