西表島遠征 2023 1日目
遠征前日、私は空港のホテルに前泊した。
当然、寝れるわけが無い。頭の中がもうマルバネの事でいっぱいだった。全て初めてな私において、高揚感は勿論、不安も沢山あった。でも、いつも自分に言い聞かせる言葉がある。なるようになる。大丈夫。いつも通りで、と。
その言葉を思い少し気楽になり3時間程眠りに着いた。
当日私は11:00の便で石垣に向かった。
友人は羽田から朝の便で飛んでおり私が搭乗した頃には石垣入りをしていた。
今回は5泊6日の約1週間を用意した。
もっと、用意出来たが卒論の提出も一ヶ月後に控えていたためこのような日程となった。
飛行機の中では昨日寝れなかった分を取り戻す為仮眠を取ろうと思ったがやはり寝付けず上空からの景色をボーッと見ていた。
13:45 石垣着。ムワッとした熱気が私を迎え入れた。ここからバスに乗り石垣フェリー乗り場まで足を急ぐ。
30分程でフェリー乗り場へ。
ようやく友人と合流した。
等々、ここまで来た。もう、後戻りはできない。やるしかないと、そう強く思いフェリーに乗り込んだ。友人は護送車に乗るような感覚(前科無)あの島に1週間も閉じ込められるのかと憂鬱そうであったが私は如何に限られた時間でやり遂げられるのかと不安と共にしていた。
フェリーに乗り20分くらいした頃か、私は乗り物酔いをしやすく、隣に座っていた友人に「あんた、顔、黄土色になってるぞ、笑」と連日上原行きのフェリーは欠航続きでまだ波のうねりも残っていた。こんなんで山に入れるのか一気に不安が増した。
到着する頃には少しマシになった。念の為酔い止めを飲んでいたため長引かずに済んだ。
宿にチェックインをしてレンタカーを手配。
もう一度宿に戻り直ぐに山に入る準備をした。宿の女将さん、宿を利用している方々にどこ行くの?と聞かれ今から山に入りますと告げた。ハブには気をつけるんだよ!と念入りに押され気を引き締めた。
18時を回った頃に入山を開始。ジオグラフィカを起動させ一気に山を登る。1時間くらい登った所か、周りからハンディライトの灯りが見える。ここら辺なのか、私はもう少し先に進み、人が居ない場所から攻めることにした。右も左も分からないためマルバネが居そうな木々を手当り次第見ることにした。
ほんとに採れるのか、あんなに人がいて、不安になりながら勝てるわけが無いと思っていた。尾根から外れ斜面をツルアダンに苦戦しながら慎重に降りていく。この辺りどうだろうと後ろを振り返ったその時だった。
19:29頃
いたァあああ!!!!
DA・I・SHI!!
目の前にルビ色に輝くものがある。
最初は何かと思った。
目を擦った。どうみてもヤエマルである。
どうみても。
うおっ、ヤエマル、しかもデカい。 大歯だ。
感動よりも動揺が先にきた。
友人も目の前にして、確認する。
これ、そうだよね?ヤエマルだよね?
と、何度も確認した。写真を1枚撮り、そして手にする。手にした瞬間はもうそれは脳汁ドバドバである。
友人は、自分が採ったかのように喜んでくれておりその後ハイタッチを交わした。
この木の周りを見るとライトの明かりにびっくりしたのか小歯型が目の前にポトっと落ちてきた。この木では計3匹見ることが出来た。
本当に来てよかった。もう帰れる。と2人同じ口をした。しかし、まだ時刻は20時、更なる追加を求めて奥へ進む。
1時間くらい追加は得られずもう少し標高を上げて良さそうな空間に出る。ここならどうだと周りを念入りに見回した。すると、視界にあのルビ色が入った。周辺を見回すと地面を徘徊している個体をいくつか確認。足元に大歯がおり、危うく踏み潰すところであった。(写真は撮り忘れました)
22:00頃
ここまで、調子よく来ているのが怖い。
今日はここら辺にして下山しよう。
もう十分だ。と帰りは行きの倍の時間を掛けて慎重に下山した。
1時頃に宿に戻り友人と祝杯🍻
この時期になるとX「Twitter」で何度も見ていた光景。私もこれがやりたい。これがやりたくて来たと言ってもいいくらいだ。
シャワーを浴びて寝巻きに着替え、今日採った大歯型を手のひらに乗せる。特別口にすることも無くただただ手のひらを眺めていた。あぁ、こんな幸せが何時までも続いたらなと思った。
この日は3時頃まで晩酌をし寝床に着いた。
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