初恋のひと。
初恋のひとは中、高と一緒で高1の時、同じクラスだった。
彼女はいつもポニーテールの小柄の色白な美少女でいつも男子にポニーテールをからかわれては怒って追いかけ回していた。
僕はそれに参加するでもなく怒って追いかけ回してる彼女を遠くから元気で可愛いなあと思いながら見ていた。
1年の頃は挨拶くらいでほとんど話したこともなかった。
高校2年になり彼女は文学系進学クラス、僕は理系進学クラスで離れてしまった。
修学旅行で広島に行った時に新聞委員の彼女はカメラ担当で観光もせず忙しそうに同級生を撮影していたように見えた。
1ヶ月ほど経った頃、廊下に新聞委員会が撮影した修学旅行の写真が張り出された。
僕は同じクラスの奴らと放課後、見にいくと意外にもあまりクラスで目立つ存在ではない僕が映った写真が多数存在していた。
他の写真は観光地で映すようなカラーの集合写真みたいなものなのに何故か僕が映っているものは白黒のポートレートみたいな横顔や背中、友達と談笑している様子などそんなのばかりが張り出されていた。
その時は驚きと恥ずかしいが混ざり、友達にからかわれてもうまく返せなかった。
なんかモヤモヤしたので新聞委員会の知り合いの後輩にそこら辺の事情を聞いてみた。
そいつが言うには新聞委員会の中で彼女は修学旅行ではカメラ係を買って出たのだが戻ってきて現像したところ彼女が撮ったものがあまりにも少ないと言うので問い詰めたらなんか僕が映った写真が多数出てきてそれも一緒に張り出されてしまったとのこと。
なんかモヤモヤが拡大したがその後輩からは『先輩が羨ましいです』とかなんとか言われその場は逃げ帰った。
それからしばらくして廊下の水飲み場に友達といた彼女に思い切って声をかけた。
僕に気づいた彼女は顔を真っ赤にしながらこちらが恥ずかしくなるほどまっすぐ見つめ返された。
写真のことを聞くと戸惑いながら『委員会の人が勝手に張り出したみたいな』ことを言って、『忙しいから』と言いつつその場を走り去っていった。
こんな淡い思い出ありませんか?