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鈴木信太郎記念館(東京都豊島区・新大塚駅)

新大塚駅から歩いてすぐの場所にある鈴木信太郎記念館。春日通りから入った裏道に入り口がある。石段を上がった高台になっており、掲示看板がなければ地元の人でも見逃してしまうかもしれない。フランス文学の翻訳で活躍していた鈴木信太郎の邸宅と書斎が近年より公開されている。受付に向かって右手が書斎、左手が日本家屋の邸宅となっている。

まずは書斎から見学。2階建てのコンクリート造りの書斎(見学は1階のみ)で、他の家屋は空襲被害にあったが、1階の書斎は燃えずに蔵書を守ってきた。壁一面に聳える本棚は圧巻で、さすが翻訳家・教育者としての活動が中心だっただけあって蔵書量が膨大。これを全て読んだのかと思うと鳥肌が実る。同姓同名かつ同年生まれの洋画家がいるため少しややこしい(本人同士の交流もある)が、小林秀雄や三好達治ら後進を育てており、書斎には彼らをはじめ多くの文学者との書簡のやりとりなどが残されている。

蔵書数が図書館レベル

5つある明かり取りのステンドグラスは全てが違った動物を模しており、鈴木信太郎自身もちょっとした自慢としていたらしい。

ゆるくてかわいい

フランス文学ではボードレール、ヴェルレーヌ、マラルメ、ヴァレリーといった詩人を中心にして翻訳をおこなっている。舞台でもシラノ・ド・ベルジュラックに並々ならぬ熱意を持っており、友人の辰野隆から譲り受けた本をずっと大事に保管していたらしい。

友人から「これ要る?」と聞かれて電光のような速さで本を譲り受ける信太郎

次に日本家屋の邸宅へ。受付ホールのすぐ隣にある茶の間には掘り炬燵が設置されている。当時の模型もある。そこから内玄関を通り過ぎて次の間・座敷が広がっており、縁側からは庭を見渡せる。

打って変わって和室

隅には当時のトイレがある。和式が主流だった時代にもかかわらず当時から洋式トイレで、蓋の部分は漆塗り、さらにTOTOでかつて使用されていた鳥のロゴマークまで残されているあたり拘りが感じられる。なお、来館者用のトイレは個室ウォシュレット式。

トイレは大事 これ万国共通


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