ナッツの万馬券倶楽部 #52
平成最後の天皇賞。
30年以上も平成を過ごしてきたので最後と言われると寂しくなってくる。
最後はしっかりと盛り上がって平成を終わらせたい。
今回の天皇賞春の出走登録メンバーを初見での私の感想は、「え、これってG2?!」と感じさせるぐらいメンツが薄いと思った。
ま、仕方ない。大阪杯組のメンツが豪華過ぎた。
近年、菊花賞もそうだが長距離競争の需要が低くなっているのではないか。
春のクラシックで活躍した馬が菊花賞に出走しないというケースも多い。
そこで過去10年の菊花賞の勝馬と世代の印象を振り返ってみた。
第79回 2018年 フィエールマン
春のクラシックには出れず秋で頭角を表したパターン。
この馬自体が7番人気と人気薄で菊花賞を勝ち、それまでの活躍もラジオNIKKEI賞(G3)2着という実績ぐらいだった。
この時のダービー馬ワグネリアンは不在。
皐月賞馬エポカドーロは8着。
主な世代:ブラストワンピース、ダノンプレミアム、ステルヴィオ、タイムフライヤー、ケイアイノーティックなど。
ブラストワンピースは有馬記念を勝ち、ステルヴィオもマイルチャンピオンシップを共に3歳時で勝っている。世代レベルとしては悪くはない印象。
第78回 2017年 キセキ
春のクラシックには出れず秋で頭角を表したパターン。
キセキは菊花賞トライアルの神戸新聞杯(G2)で2着に入り、菊花賞で1番人気に支持されての勝利。
この時のダービー馬レイデオロは不在。
皐月賞馬アルアインは7着。
主な世代:スワーヴリチャード、ペルシアンナイト、ウインブライト、クリンチャー、サトノアーサー、サトノアレスなど。
レイデオロ、アルアイン、スワーヴリチャードなどG1でしっかりと実績を残し、レベルの高い世代だと思う。
キセキは古馬になってG1こそ勝ててはないが惜しいレースが続いている。
第77回 2016年 サトノダイヤモンド
皐月賞、ダービーで結果を残せなかったパターン。
この馬は春のクラシックの時から人気があり惜しい結果に終わっていた馬。
菊花賞はどうしても欲しいタイトルであり、最後の1冠を手にいれたいう印象。
この時のダービー馬マカヒキは不在。
皐月賞馬ディーマジェスティーは4着。
主な世代:リオンディーズ、エアスピネル、レインボーライン、ミッキーロケット、メジャーエンブレム、ロードクエストなど。
古馬になってレインボーライン、ミッキーロケットはG1を勝てたが、マカヒキ、サトノダイヤモンドが古馬になって思ったよりも成績を残せていない。
少し世代レベルを疑ってしまう印象。
第76回 2015年 キタサンブラック
皐月賞、ダービーで結果を残せなかったパターン。
春のクラシックでは結果を残せず、菊花賞トライアルのセントライト記念(G2)に勝ち、菊花賞を5番人気で勝利している。
この時のダービーと皐月賞を制覇したドゥラメンテは不在。
主な世代:リアルスティール、サトノクラウン、アンビシャス、ダノンプラチナ、クラリティスカイなど。
リアルスティール、サトノクラウンなど海外で実績を残した馬も多数。
ドゥラメンテやキタサンブラックが強すぎて他の馬が霞んでしまう世代でもあるかもしれない。
第75回 2014年 トーホウジャッカル
春のクラシックには出れず秋で頭角を表したパターン。
この時のダービー馬ワンアンドオンリーは9着。
皐月賞馬イスラボニータは不在。
主な世代:モーリス、ゴールドアクター、ミッキーアイル、サウンブオブアース、トゥザワールド、ステファノスなど。
ゴールドアクター、ミッキーアイル、モーリスなど古馬になってもG1を勝っている馬はいるが、短距離馬が強い世代という印象。
王道での馬はパッとしない世代の印象。
トーホウジャッカルも菊花賞以降はパッとした実績がない。
第74回 2013年 エピファネイア
皐月賞、ダービーで結果を残せなかったパターン。
この時のダービー馬キズナと皐月賞馬ロゴタイプは不在。
主な世代:ラブリーデイ、コパノリチャード、マイネルホウオウ、ラストインパクトなど。
エピファネイアとラブリーデイは強かったがそれ以外はパッとしない印象。
エピファネイアは菊花賞以降、ジャパンカップを制している。
第73回 2012年 ゴールドシップ
皐月賞馬であり2冠馬。
ダービー馬ディープブリランテは不在。
主な世代:ジャスタウェイ、フェノーメノ、スピルバーグ、アルフレード、カレンブラックヒル、ワールドエース、グランデッツァ、クラレントなど。
ゴールドシップ、ジャスタウェイ、フェノーメノぐらしかいない印象。
ゴールドシップは古馬になってもG1を勝っている。
第72回 2011年 オルフェーヴル
3冠を獲りにきたパターン。
言わずと知れた3冠馬。
主な世代:トーセンラー、サダムパテック、ベルシャザール、ナカヤマナイト、ウインバリアシオン、グランプリボス、リアルインパクトなど。
ただただオルフェーヴルが強すぎた世代。
第71回 2010年 ビッグウィーク
春のクラシックには出れず秋で頭角を表したパターン。
この時のダービー馬エイシンフラッシュと皐月賞馬ヴィクトワールピサは不在。
主な世代:ローズキングダム、ヒルノダムール、ルーラーシップ、ビートブラック、ペルーサ、トゥザグローリーなど。
ヴィクトワールピサ、エイシンフラッシュ、ローズキングダム、ヒルノダムール、ルーラーシップとG1馬を多数輩出した世代。
世代レベルとしても高い世代。
ただ菊花賞のビッグウィークは今ひとつ。
第70回 2009年 スリーロールス
春のクラシックには出れず秋で頭角を表したパターン。
この時のダービー馬ロジユニヴァースは不在。
皐月賞馬アンライバルドは15着。
主な世代:リーチザクラウン、ナカヤマフェスタ、セイウンワンダー、ジョーカプチーノなど。
一つ下の世代のレベルが高過ぎたのかこの世代が弱い世代なのかよく分かりづらい世代。
古馬になって活躍した馬は少ない。
菊花賞馬のスリーロールスもパッとしない。
菊花賞馬には幾つかのパターンがあることがわかった。
・3冠を獲りにきたパターン。
(オルフェーヴル)
・皐月賞馬であり2冠目を狙いに来るパターン。
(ゴールドシップ)
・皐月賞、ダービーで結果を残せなかったパターン。
(サトノダイヤモンド、キタサンブラック、エピファネイア)
・春のクラシックには出れず秋で頭角を表したパターン。
(フィエールマン、キセキ、トーホウジャッカル、ビッグウィーク、スリーロールス)
まずは、3冠を獲りにきたパターンと皐月賞馬であり2冠目を狙いに来るパターンは、オルフェーヴルとゴールドシップ。
こちらの馬たちは名馬として名を連ねている。
そして、もう一つは皐月賞、ダービーで結果を残せなかったパターン。
こちらはサトノダイヤモンド、キタサンブラック、エピファネイアと菊花賞以降もG1を制覇している。
秋から頭角を表した馬パターンでは、フィエールマン、キセキ、トーホウジャッカル、ビッグウィーク、スリーロールスがいる。
過去10年を遡る限り、秋から頭角を表した馬で結果を残しているのはキセキぐらいだ。
G1こそ勝ててはいないが惜しいレースが続いている。
だがそれ以外はどうだ?
一発屋で終わっているケースが多いのでは。
過去10年以上遡っても2000年以降では、秋から頭角を表した馬で、古馬になってもG1を勝てた馬はヒシミラクルとマンハッタンカフェのみ。
果たしてフィエールマンどうなのか?
単なる一発屋なのか?
下馬評を含めて今回、レースの中心と見られているのは、昨年の菊花賞の1~3着馬(フィエールマン、エタリオウ、ユーキャンスマイル)と、前走重賞勝ちのメイショウテッコン、グローリーヴェイズら4歳勢。
私の中では菊花賞馬になったフィエールマンより僅差で2着になったエタリオウのが評価は上。
エタリオウはレースには勝ててはいないが全レース4着以内に入着している。
鞍上もミルコ・デムーロ。頼りになる。
父もステイゴールドであり天皇賞春と相性も良い。
過去6年の天皇賞春で、2013年、2014年フェノーメノ、2015年ゴールドシップ、2018年レインボーラインと、3頭の産駒が4勝しているのだ。
そういった意味ではパフォーマプロミスも気になる。同じくステイゴールド産駒。
母の父タニノギムレット。日本ダービー(G1)の勝ち馬で、その産駒には同じく牝馬で日本ダービーを制したウオッカがいる。
伯母にもオークス(G1)を勝ったシルクプリマドンナがいて、母の父の父ブライアンズタイムは三冠馬ナリタブライアンや天皇賞・春の勝ち馬マヤノトップガンを出している。
数々の名馬を思い起こさせるこの血統背景も、平成最後のG1を締めくくるに相応しい馬と言えるだろう。
4歳馬勢の中で期待しているのはグローリーヴェイズ。
今回のメンバーを見る限り4歳馬の中でも素質は高い方だと思う。
そして、平成に刻まれる天皇賞春と言えば、1991年メジロマックイーンの父子3代天皇賞制覇。
祖父メジロアサマ、父メジロティターン、そしてメジロマックイーン。
競馬の一時代を築いた名門メジロ牧場の夢が叶った瞬間でもあった。
平成最後の天皇賞、その血に「メジロ」を宿す、グローリーヴェイズにはそう言った意味でも注目したい。
不安要素とするならば、レース間隔が開いていること。
余談だが平成の30年間の天皇賞春で毎年馬券に一頭は絡んでるのが58kg経験馬。
58kgって斤量はハンデ重賞以外で、重賞レースでは天皇賞春、天皇賞秋、安田記念、宝塚記念でしかない斤量。
因みに今年はチェスナットコート、パフォーマプロミス、クリンチャー、ロードヴァンドールの4頭が過去58kg経験馬。
ならば強い5歳馬世代のクリンチャーを私は推したい。
クリンチャーは昨年の天皇賞春の3着馬。
クリンチャーは昨年、年明けに京都記念(G2)を制して、阪神大賞典(G2)で3着となったあと、天皇賞春では見せ場十分の3着。
そして今年、年明け初戦となる日経賞(G2)では、7着と惨敗。外枠で、展開的にも前にいく馬にとっては厳しかったレース。
一昨年の秋には、セントライト記念(G2)で9着と大敗したあと、菊花賞で2着と激変した馬。
大敗したあとでも結果を残せるタイプなので前走は除外視もできる。
昨年は凱旋門賞にも挑戦したぐらいなので、潜在的な能力を考えれば一発があってもおかしくない。
チェスナットコートは同じく昨年の天皇賞春の5着馬。
結果こそ残せてはいないが長距離経験が豊富なので侮れない。
強い5歳馬世代の意地を見せてもらいたい。
2004年の天皇賞春で10番人気のイングランディーレを大逃げで勝利に導いたように横山典弘騎乗のロードヴァンドールの大逃げには軽視は禁物。
こちらも平成を代表するベテランジョッキーであり、逃げ馬に騎乗するので気になる存在ではある。
【ナッツの予想】
◎クリンチャー
○エタリオウ
▲パフォーマプロミス
△グローリーヴェイズ
△ロードヴァンドール
△フィエールマン
今回は平成最後のG1レースということなので久しぶりにコラムを書いてみました。
最後は気持ちよく当てて次の元号・令和に向かいたい。