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【特集】シャツ特集第一弾、スタンダード無き時代に「最高のシャツ」を探して…


 今回は、私の大好きなアイテムであるシャツの特集です。

やっぱり春夏でも、ちょっとでも「ちゃんとしている」感を出したい場面ではシャツを羽織りますよね…。


私としても「最高のシャツ」が欲しかったので、今季はかなり色々見ましたよ。


今回はオススメアイテムの紹介の前に、ちょっと今のシャツを取り巻く状況の解説から。

「スタンダートなシャツ」って無くなってしまったかも?というお話です。


※もう少しコストパフォーマンスを意識したシャツ特集第二弾も予定しております。

現在緊急事態宣言下において大手セレクトショップの入った大規模商業施設が休業などしており、もう少し時間を頂きます。

ご理解をよろしくお願い致します。



COMOLIが変えた?カジュアルシャツのスタンダード…そしてCOMOLIのシャツもまた変わっていく…シャツのスタンダートは無くなってしまった?


 数年前にカジュアルファッションは大きな変貌を遂げました。

言うまでもなく、ビッグシルエットトレンドの到来です。


シャツももちろん例外ではなく、それまでは身幅は細く、アームも腕に吸い付くように細いという、とにかく細いものが「綺麗なシルエット」とされていましたが、これが一気に変わり、程度の差こそあれ大型化しました。

ラルフローレンの、10年前ならデカ過ぎるだろ、と言われていた古着のシャツを着る人も増え、そしてそれが違和感を感じないものになりました。


私も常に最新のトレンドを追え!などとは言いませんし、毎年毎年服を更新していくような必要は無いと思いますが、流石に5- 10年単位という「長いスパンでのトレンドの変化」は抑えておいたほうが良いと思っています。

未だに丈が短くて身幅もアームも細いシャツを着ていたら、やっぱり「古くさく」は見えてしまうものです。

映画なんかでも、5年、10年前くらいのものが一番「古臭さ」を感じるものなんですよね…。

髪型がウルフで、トップを立たせたりしているものだったりするともう…。



さて、そんな中で一気に「スタンダード」的な存在になったのがCOMOLIの「コモリシャツ」。


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ブランドの名前を冠したコモリシャツは、いわゆる「ビッグシルエット」ではありません。

極端に身幅が広いわけでもないし、肩がドロップショルダーのように落ちているわけでもない。

首周りはむしろ細く、エリも小ぶり。


例えるなら、ジャストフィットのシャツを1サイズ大きめのサイズで選んで、そこから細かい部分を丁寧に調整していったような、そんな感覚を覚えるシャツです。


ただ、それでも横から見た時にフワッと広がっているように見えるスソが、風が通り抜けるような、そんな適度な「ゆるさ」を感じさせます。


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全てが極端に大型化していくトレンドの中で独特のバランスの良さ、「他とはちょっと違う」品の良さを感じさせました。


ただCOMOLI自身もこのコモリシャツの更新をやめ、新しいシャツの形へと移行しています。


それが「新型コモリシャツ」と呼ばれる形。



エリなどのシャツの「顔」は従来のコモリシャツそのままに、身幅と袖は太く、逆に着丈は短くしてきました。



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袖も全体が太いわけではなく、袖の付け根、カマと呼ばれる部分が極端に太く、そこから袖先に向かってテーパードするようになっています。

余った生地は落ちてしまうので見掛け上はそこまで太い袖には見えません。

これによって、極端に太くは見せないけれどリラックス感が得られるという仕組み。


ゆるさを求める時代は続き、一向に細身に戻る気配は無い中で、サイズを無理に上げなくとも、ゆるく着ることが出来るし、サイズを上げればさらにゆるくゆるく着ることも出来る…というバランス。

これが、今のCOMOLIが出した一つの答え。

使われる生地によってもサイズ感が変わってきてしまうのですが、新しい生地やカラーなどはレギュラーカラーシャツではこの形でリリースされています。

COMOLIはパンツのサイジングは、正直バカでかい方向に向かっているのですが…シャツに関しては緻密なサイジングを継続していると思います。

ただちょっと「スタンダートなシャツ」とは言い難くなってしまいましたね…。



では従来のコモリシャツはもう古いのか?と言うと、そんなことはありません。


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COMOLI SHIRT


シーズンカラーや素材違いなどの発売はなく、定番の白、サックス、ネイビーのみの展開とはなりましたが、ブランドとしてはコモリシャツとタイロッケンコートは、この先もずっと発売していくつもりだそう。


この形は今もまだスタンダードなシャツとして存在感がありますし、これから先もしばらくは古臭くなることはないでしょう。

そのシルエットに注目が集まりがちですが、実はこの生地も他にはない独特なもの。

まばゆいツヤ感など、パッと見ですぐに高級感が感じられる…と言うと違うのですが、140番手の細い糸を最小限の負荷で織ったという生地は、独特の肌触りと軽さがあり。

洗いざらしで出来るシワ感もまた良いんですよ。

探しても無いんですよねこれは。

形は真似できても、この生地が真似できない。


だから買い替え需要もあり、人気が落ち着いた今ならいつでもラクに買えるだろう…と思っているといつの間にか無くなっているんですよね。


AURALEEのシャツも変わった…シャツのトレンドはどこに向かう?


 ここ数年、COMOLIとともにいわゆるドメスティックブランドを引っ張っている人気ブランドAURALEE(オーラリー)。


その定番と言えるシャツが「 WASHED FINX TWILL BIG SHIRTS」。


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AURALEEは生地会社のクリップクロップを母体とし、その生地開発能力に魅力の一端がありますが、この「WASHED FINX TWILL」はブランドを代表する生地と言って良いでしょう。


エジプトの超長綿「フィンクスコットン」を超高密度で織り上げて、一度硬直させる加工を施す。さらにそれをわざわざ何度も叩いてもみほぐして柔らかくする。

すると、しなやかさとハリ感を兼ね備え、かつ、とても滑らかな素材になる…と、書いていても一体何をしているのか分からない生地ですが、これが触ってみると極上の滑らかさ、トロみを持っているんです。

よく高級感≒ツヤと表現しがちですが、もっと分かりやすいシャツ生地の高級感って実はこのトロみなんですよね…。

しっかりと糸を積み重ねて出した厚みとそれによって生まれるハリ感も満足感がありますし。

よく薄い、ペラい生地≒安っぽいみたいな評価をされてしまうことがありますが、一概にそうとは言えません。

ただそれでも、この糸を重ねて出来た、決して重くない、でも厚い…という質感は、シャツとして一般的には高いその値段にも一定の納得が出来るでしょう。


いくら素材が良いと言っても、なかなかここまでの「納得感」は出せない、そういうわかりやすさがある生地ですね。


この生地を使用したシャツの形が今季変わりました…。


AURALEE、お前もか?

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