20デシベル、ときどき、80デシベル、聴覚障碍者にはなれない私
皆さん、こんにちは。奈良里紗@楽しく、カジュアルに、障害科学に関する情報発信をしている弱視難聴の研究者です。
今日は私の難聴に関するお話をしたいと思います。
障害とは、国境などと同じでどこかに境界線をひかなくてはなりません。
そして、その境界線をこえなければ、障碍者として認めてもらえないものです。
ここらへんのボーダーラインにいる人たちというのは、日常性あk津、社会生活上の困難があるにも関わらず、支援を受けることができないことになります。
私の場合、みなさんも経験したことがある張力検査、高い音から低いおとまで、きこえたらボタンをおすというあの検査では、30デシベルぐらいは聞こえています。
この20デシベルというのは、軽度難聴にも該当しないぐらいの聞こえ方です。
ところが、別の方法で検査をすると80デシベルぐらいまで聞こえ方が悪くなります。具体的には、背景にノイズがあったり、反響音があるような検査などです。
実感として、オンライン会議、自宅で静かな環境であれば音を聞き取ることはできます。
でも、周囲にノイズがあったり、反響音があるとほとんど聞き取ることができなくなります。
周囲の環境によっては、障碍者認定できるレベルの聞こえ方になるものの、
最もパフォーマンスのよい環境では健常者なみなので障碍者として認めてもらうことはできないというわけです。
ですから、私は補聴器を購入するための費用もすべて自己負担、
通訳介助は聴覚障害の障碍者手帳がないため受けることができません。
今日は大勢の人の中で会話しなくてはならず、10%も聞き取れないような環境で相手のいっていることを推測しながらコミュニケーションをしました。もちろん、難聴であることを相手に伝えたうえでコミュニケーションをしています。
それでも、支援がない中でこうしたコミュニケーションをするのは非常に苦しく、つらいものです。
結果的に、イベント終了後は心身ともに疲労困憊でした。
支援があれば、もっと、快適に、もっと楽に、体への負担を少なくすることができるのですが、私の耳の症状は現在の精度との適合性が悪いわけです。
私の耳の病気は、比較的最近発見された病気です。
ですから、実態に制度がおいついてこない状況なのだろうと考えています。
実は私だけではなく、こうした新たな病気がどんどん生まれてきており、現在の精度の枠組みに適合しないために支援を受けられない人はたくさんいます。こうした実態に応じた社会の精度にしていくためにはどうしていったらいいのか、今後の課題ですね。
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