心の洗濯完了
ありがとう。おばちゃん。
両親が共働きで少額1年生からかぎっこだった私。
おばちゃんはそんな私に暖かくておいしいみそにぎりをつくってくれた。おばちゃんはいつも笑顔で、いつもささいなことに感謝して、いつもおおげさにほめてくれる人だった。
ときは流れ、大学からふるさとを離れた私。年末年始など、たまーには実家に帰ってもほとんど友達と遊んでばかり。たまにかえると「おかえり」と声をかけてくれるおばちゃん。
ひょんなことから実家に長居することになった私と息子。
おばちゃんは変わらない笑顔とどんな状況にもかわらず感謝の気持ちをわすれないきれいな心の持主。
緑たっぷりのお庭で即席のカフェを作ってくれて、どんなお店よりも贅沢な空間に感じた。川の流れる音、おいしげる木々のエネルギー、元気なせみの声、鳥たちの声、そのすべてが心にしみわたって目頭があつくなってくる。
なんとなく、心のどこかで、あのころの奈良里紗じゃない私をひけめにかんじてしまう。この地で暮らした健常者としての奈良里紗が思い出されて、なんとなくこの地ではあのころのようにふるまわないと!と自然と方に力が入ってしまっていたのだと思う。
かわらずにそこに存在し続けてくれることの尊さ、おばちゃんのあたたかな心に触れられた幸せなひととき。がさがさしていた私の心はきれいさっぱりお洗濯完了。ありがとう、おばちゃん。