日本でかがやく十二支
奈良には素晴らしい古代の仏像が沢山いらしっしゃいます。
みほとけのお顔や姿形が優れているのはもちろんなんですが、着ているものや飾りといった細かいディテールもすてきです。
日本には独自の「カワイイ」文化があるせいか、みほとけのカワイイも見逃せない・・・
そんななか多様に用いられているのが動物モチーフです。
動物モチーフの多くは、袖や腰に猛獣をあしらっているもの。
これはおそらくその強さ猛々しさをアピールしているのかと思います。
一方で干支モチーフのカワイイ動物も沢山登場します。
特に薬師如来様を守る十二神将は、数が同じだからでしょう、十二神将にそれぞれの属性みたいな感じであてはめられていきます。
『覚禅鈔』という書物には、12世紀後半に書かれたとされる「十二神将図」がありまして、人間の体に干支の動物頭がのっかっています。
なんともユーモラスで、のちの時代の『鳥獣戯画』みたいで楽しいのです。
仏教の「十二神将」と「十二支」は元々はまったく何の関係もなかったのでしょうが
「数が同じ・・・これは運命じゃ!」みたいな感じでドッキングしていったのしょうか。
いつの時代にも、秋本康みたいなプランナーがいたのかも・・・
日本で最も古く、有名な十二支といえば、やはり『キトラ古墳』の壁画ではないでしょうか。
キトラ古墳の十二支
天文図とともに有名なキトラ古墳は、十二支と考えられる獣の頭人間の体の人々が描かれています。
現在すべて確認できているわけではないのは、経年劣化のため消えてしまっている部分もあるからで、現在は子・丑・寅・午・戌・亥の6体が確認されています。
特に寅がちょと口が開きすぎですごくかわいい・・・
お墓の中に十二支でもって飾るというのは、魔除けの意味があったのでしょうか。
お墓の中に十二支を書いた例は、中国にて「北斉」という国があったころ、高官として名を馳せた婁叡(ろうえい)のお墓です。570年頃のこと。
山西省太原市で発見されました。
そこに描かれた十二支は躍動感あふれる画風で描かれています。
このかわいい十二支に守られたキトラ古墳の被葬者はいったい誰だったのでしょう。
想像が止まりません。
巻頭イラストはほっこりイラストレーターさんのものを拝借しました。ありがとうございました!