気が付いたら〜849〜
ハル「これから夕飯の買い出しに行こうか」
イト「じゃあ俺も行く」
部下「失礼します、こちらに苅里と言う女性はいますか?」
普通に喋っていたのに全員が気づかれないうちに入りこまれて臨戦態勢に入る。
秋季「(全然気が付かなかった…)どこから入って来たの?」
部下「ドアをノックしましたが応答がないので普通に入りました。苅里と言う女性はいますか?」
その女性は残像の苅里を見てため息をつく。
部下「言い方を変えます。本体の方はどこにいますか?」
ハク「本体…?知らないよ」
部下「シラを切りますか。ではこの偽物は消して良いですね?紛らわしいので」
いつの間にか残像の苅里の首を絞めて心臓に刀を突きつける。
ルイ「苅里に何もするな!」
部下「では教えてくれますか?そうすればこのまま何もしませんよ」
イルキ「…場所は知ってるけど行き方が分からない」
部下「おや、そうしたらそっちの方に訪ねますか。…ああ、行く手間は省けたようです」
そういえば苅里がいきなり領域から出て来てその部下を蹴り飛ばす。
苅里「あなたは下がって。」
残像「う、うん…!来てくれてありがとう」
苅里「あなたに呼ばれたからね。無事で良かった」
残像は後ろに下がってハル達の結界に入る。
部下「こちらでは数日前にあの方から貴方様と夢で話したと聞きましたがこちらでは何年でしたか?」
苅里「10年だよ。あなたがあの人の部下?ずいぶんとのんびり屋さんなのね」
部下「これでも急いで来た方です。時間差があるのは面倒ですね。場所を変えても?ここでは狭いので」
苅里「…良いよ、その案には賛成」
そう言って部下と苅里は山のほうに飛んだ。
須玖「また厄介事?こっちに来ないで欲しいよ」
残像「ごめんなさい…私があの人を引き寄せたから…。苅里は悪くないの」
残像の苅里がそういえば須玖はごめん…と謝る。
どがああああん!
黒「今の、飛んだ先の山からの衝撃…?」
白「そうとしか考えられないけど…。」
みんなその山を見て衝撃を感じていた。
ミワン「山が、崩れていく…」
ミワンが呟いてそのあとはただ見るだけだった。
1時間後。
部下「流石は姫君、お見事です」
苅里「その言い方嫌いって知らないの?」
部下「知ってますよ。ですが事実ですので」
部下は苅里に手足を取られたまま心臓に刀が刺さっていた。
部下「そろそろ時間ですね。私を殺した事はすぐに分かります。伝言です。次はもっと強いのを用意するから殺せとのことです」
苅里「聞きたくもない伝言をご苦労様」
そう返せば部下は笑って塵となって消えて行った。
数十年後、部下が言ってた通りもっと強いのが出て来る。
苅里「あなたは?何か遺言でもある?」
部下「いえいえ、流石にお強いと感服しております。次は新米の側近が来るから私と前の部下よりももっと強いですよ。あの方も喜んでいます。姫君がここまで強くなっているのですから」
苅里「これで喜ぶはずがない。」
部下「ふふ、そうですね。ですが次にその側近を殺せばその次は…分かりますね?あの方も動くのです。準備して待つと良いでしょう」
苅里はそれを聞けば心臓をスナイパー銃で撃ち抜いて返り血を浴びた。
苅里「私を試すために部下を捨て駒にするなんて…。」
そう言って武器をしまって苅里はその場を離れた。
苅里「見せ物じゃないんだけど。さっさと帰りなよ」
ハル「…苅里」
ピタッ
扇「おいハル…」
苅里「今更私をそれで呼ぶの?今まで化け物だったじゃない」
服で隠れているが苅里は拳をギュッと握っていた。
ハル「君、また何かに狙われてるの?」
苅里「関係ない。そっちは巻き込まれないんだから無視すれば良い」
イト「これだけの戦闘をしておいて無視は出来ないよ」
ララ「…今までの私たちの態度を許して欲しいなんて言わない。でももうあの黒い感情に飲まれるのはしないわ。今はもう全員払拭したの」
苅里「…だから何?手伝うとか?」
秀「そう言ったらどうする?」
苅里「そんなのは要らない。あなた達は今回の件については無関係」
莉緒と暦は苅里の前に出て手を触る。
苅里「触らないで。」
そう言って振り払って苅里は領域に帰って行った。
スグル「だから言っただろう。協力したいと言っても無駄だと」
混沌「スグル…」
スグル「数十年前、お前達が俺のところに謝罪に来たからこうやって話してるんだ。それがなければ今すぐ内臓を消しているところだ。優姫も愛羅達を姉と兄を知って一緒に過ごしたいと言っているからこうやって自由にさせている。だがあの4人の縁は戻さないからな」
キリ「4人はそれを承知してるよ…。ねぇ、次は何が来るの?」
スグル「正直言って俺も知らない。さっきの話の通りなら次の側近を殺してその次のボスを見ないことには分からない。」
スグルはそう言って自身の領域に帰った。
更に数十年後。
側近「こ、こんばんは!姫君の相手をするXXXと言う者です!」
苅里「あなたも殺されに来たの?」
側近「はい!全力で戦えと言われております!姫君の相手をして死ねるなら本望です!」
クリクリと目を動かして苅里に言えば武器を出す。
苅里「あなたを殺せば次はあの人だっけ?じゃあ早めにあなたを始末しないと。面倒事は早く終わらせたいから」
側近「全力で相手させていただきます!」
側近は笑うとぶつかり合った。
ビシッ!ドガアアアアアアアン!
リリ「苅里お姉ちゃんの威力が前より増してる…」
サツリ「通常の状態で苅里と互角で渡り合ってる。あれで側近とかボスってどうなってるの?」
ラファ「想像が付かないね」
クレ「あの側近ずっと笑ってて楽しいのか?」
ヒュウ「苅里に殺されるのが本望とか言ってたから酔ってるんじゃない?」
サタン「あの側近、クノ達は自分達よりも強いと思うか?」
弥恵「そんなの苅里の通常と渡り合ってる段階で分かるでしょ?完全にあの側近の方が俺達よりも強いよ」
リョウ「弥恵がそこまで言うなんて…」
30分後。
苅里「言い残す事は?」
側近「全力で戦えて楽しかったです!ありがとうございました!」
ニコッと笑って言うので本心からなんだろう。
ドンッ!ドンッ!
側近を殺して紙が一枚落ちてくる。
〝次は家族総出で行くとしよう。どんな手段を使ってもこちらに来てもらう。1ヶ月楽しみにしてる″
苅里はそれを読めばグシャッと潰して上空を睨んだ。
苅里「私の時間を奪うな。あなた達に使う時間なんてこっちはハナからない」
紙を燃やしてハル達を無視して帰る。