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気が付いたら〜841〜

数週間後、スグルと名前を決める。
スグル「性別は女の子だな。俺はどんな名前でも良いぞ。必ず愛せるからな」
苅里「前から思ってたんだけどさ、スグルって名前がカタカナじゃん?私は漢字だけど」
スグル「まあ、そうだな」
苅里「私思ったんだけどスグルにもし漢字を当て嵌めるなら優しいって言う漢字だと思う。スグルは私の事を優しいって言うけどスグルも十分優しいよ」
そういえばスグルは恥ずかしそうにする。
スグル「そうしたら俺は苅里の苦手な姫という文字を入れたらと良いと思う。きっとそれが子供の名前になればお姫様も好きになるかも知れないだろ?」
苅里「じゃあスグルを漢字にしてみた優しいって漢字とその姫って漢字を入れて優姫だね。」
スグル「優姫か…良いな、その名前。苅里が次に起きた時はお姫様扱いをしてやろうか?」
苅里は顔を真っ赤にしてスグルを叩く。
苅里「優姫、元気に生まれてくるんだよ?」
2人での中を撫でてその日は寄り添うように就寝した。
半年後、苅里の容体が急変してそのまま赤ちゃんを取り上げる事になった。
ミリ「母様、結界は私達が行うから出産に集中して良いよ」
リカ「優姫、出て来て…」
体力がなくなりつつある苅里はなんとか踏ん張って赤ちゃんを産んで行く。
苅里「(産んだ瞬間眠りに着くかも…)」
そんな予感があって最後まで頑張る。領域に関してはミリ達に予め話してあるので心配はいらないだろう。
優姫「オギャー!オギャー!」
キト「よし出て来た!」
スグル「苅里、出て来たぞ。…苅里?」
苅里「……」
苅里は応答せずにそのまま優姫の顔も見ずに眠りについてしまったのだと誰もが理解した。
スグル「まだ顔を見てないのに…抱いてもないのに…」
スグルは優姫を抱きしめて苅里を撫でて体を元の状態に戻す。
スグル「どれだけ時間がかかっても待ってる。人の本性を倒して来い。それで3人で過ごそう」
そう言ってスグルはメグ達に一度優姫を預けて苅里とスグルの共有の領域に連れて行ってそこに苅里を下ろして布団をかけて結界で覆った。
スグル「こっちは心配しなくて良い。元気に戻って来い」
そう言ってスグルは共有の領域を出て行った。

メグ「子育てきっと大変だね」
スグル「経験豊富な苅里からは全て教えてもらったんだ。きっと出来る」
土「一瞬ユリの生まれ変わりかと思ったけど全く違うね。ユリはきっと別の場所で生まれてくるんだね」
スグル「その時はレグ達が話し相手になってやれば良い。ずっと待っていたのは聞いている」
レグ「ああ、そうするとしよう。キト達、スグルの協力を頼む。俺達は時折様子を見にくるとしよう」
メグ「俺達は普段時間の狭間にいるからね」
キト「分かってる。来るのを楽しみにしてるよ」
そう言って自然全員帰って行き、残ったのはスグルとキト達とキリト達だった。
キリト「父さん、どっちで育てるの?」
スグル「苅里は俺の領域で育てて欲しいと言っていたからな。こっちは遊び場として時折連れてこよう。シト達も来るか?」
シト「俺たちは花達や噂もあるから。でも週に何回かは行くよ。困った時は呼んで?母さんからもスグルが心配だって言ってたから(笑)」
ハルト「父さんはすぐパニックになるもんね(笑)」
スグルは顔を背けて優姫の顔を見る。
スグル「俺はもう戻る。いつでも来てくれ」
そう言って優姫とキリトとハルトと一緒に自分の領域に戻って優姫を育て始めた。

3年後。
優姫「とうしゃま!」
スグル「どうした?優姫」
優姫「くじらしゃん、触りたい…」
スグル「ああ、今呼ぶから待っていろ」
空中で泳いでいる鯨を呼び寄せて優姫は喜んでぺたぺたと触る。
スグル「大きいな」
優姫「うん!おっきい!」
優姫はにぱっと笑って鯨が戻るまでずっと触ったり乗せてもらったりしていた。
キリト「父さん、優姫!キト達が来たから昼食にしようよ」
キリトに呼ばれて優姫を抱き上げて屋敷に入る。
ミリ「スグルずっと優姫を抱き上げてるの?足腰弱くならない?」
スグル「屋敷に戻るときや優姫がねだる時以外はずっと歩いたり走ってるぞ。この前彼岸花の狼姿を見てずっと触って追いかけっこしてたからな」
元気だと話して8人で食べる。
シト「それと優姫の事保育園か幼稚園に通わせるの?」
スグル「ハル達が関わって来ないか心配ではあるがレグ達が見てくれると言ってくれている。明日丁度見学に行くからもし行きたいと言えば通わせる。送迎は俺かハルトやキリトが行うと話しているんだ」
リカ「優姫明日楽しみだね!」
優姫「うん!でも友達出来るかな…?」
スグル「無理に作らなくても良い。自分で出来ることをしていけば良いんだ」
優姫は不安になっていたがスグルの言葉を聞けばニッコリと笑ってご飯を食べた。
スグル「優姫、風呂に入るぞ」
優姫は嫌々して入ろうとしない。優姫は風呂が大嫌いなのだ。
ミリ「優姫、私とリカと3人で入ろう?それで一緒にかるたをしようか」
そう言えばコロッと変わって風呂を3人で入る事になった。
スグル達「(かるた好きだよね(な)、優姫…)」
内心苦笑いして女の子3人はお風呂に行った。
翌日、見学をして優姫は幼稚園に通いたいと言ったのでそのまま混在界での家も決めてくる。
スグル「良いか?優姫。俺やキリトかハルトが迎えに行くまでは幼稚園で待ってるんだ。それで帰ってくる時は一緒にまずこの家に帰ってくるんだぞ。もし何階か分からなくなったら一番上の部屋だって言うんだぞ」
優姫「それで良いの?」
スグル「ああ、優姫はひとりぼっちにはならないから大丈夫だと思うけど一応な。知らない人にはついていっちゃダメだぞ?」
優姫は頷いて3日後には通い始めた。
幼稚園の子「優姫ちゃんバイバイ!」
優姫「バイバイ!」
あれから通って5歳になって優姫はスグルと帰っていた。
スグル「水達の事は内緒にしてるか?」
優姫「うん!欲もメグも手を振ってくれてるからその時はバイバイしてるけど土達は秘密にしてるよ!」
スグル「それなら良かった。帰りにアイスクリームでも食べるか」
優姫「うん!苺のアイス食べる!」
スグル「口の周りをベタベタにしないんだぞ?」
しないもん!と言った優姫だったが結局スグルの言う通りベタベタにしたのだった。
優姫「水だ!風も!遊ぼう!」
水・風「良いよ!」
水「スグル、少しの時間なら良いよね?」
スグル「ああ、優姫を頼む」
そう言って優姫は水と風と遊び始めた。
スグル「もう5歳か。早いものだ」
スグルは優姫を見て呟き愛おしく見る。