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ローカルベンチマーク(ロカベン)

ども、ならなすおです。
今回、法人さん向けの情報になります。
 
みなさん、表題の「ローカルベンチマーク」(ロカベン)って、ご存じですか?
「ドカベンなら知ってる!」
「ほか弁なら知ってる!」
「和田勉なら知ってる!」
という声が界隈(何の?)から聞こえてきておりますが、ロカベンとは、
「企業の健康診断」(企業の経営状態の把握)
を行うツールとして、経済産業省が公開しているものです。

 
[経済産業省]ローカルベンチマーク公式サイト

https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/

公式サイトからダウンロードできる「ロカベンシート」(エクセルファイルです)というのを使って、あるいは「ミラサポplus」というサイトから入力して、以下の3つのポイントから経営を分析します。
・財務面(6つの指標)
・商流、業務フロー
・4つの視点(非財務面)
 
さて、中小企業の皆さん。
経営分析には、世の中に、「分析フォーム」と呼ばれるものが、山ほどあります。
 
全然覚えなくていいんですが、「SWOT」とか「PEST」とか「VRIO」とか「5Forces」とか「3C」とか「4P」とか「4C」とか「7S」とかそういうやつです。
これらのフォームは、それぞれに素晴らしく、使いこなせるとすごく経営の参考になるんですが、下記のような問題があるんですね。
 
[巷にある経営分析フォームの問題点]
・理解が足りない状態でフォームを使うと解を誤る
・いろんな解釈があってどう学んでいいか分かりづらい
・どんな時にどのフォームを選んでいいか分かりづらい
・フォームを変に組み合わせると誤った分析結果が出る
 
で、いろんなコンサルがいろんなフォームを使うもんですから、中小企業さんも、金融機関さんも、公的支援機関さんも、戸惑ってしまうわけです。
「分かりづれーから、統一的なの作っとかね?」
という検討が多分なされて、作られたのが、ロカベンです。
最近では、補助金申請にロカベン入力情報の添付を求めるケースも出てきています。
 
ロカベンに関する参考サイト情報、いくつか挙げておきますね。

[経済産業省]ロカベンシート活用事例

https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/jirei.html


[ミラサポplus]マンガでわかるローカルベンチマーク


[ミラサポplus]ローカルベンチマークを入力できるページ


この「ロカベン」、中小企業さんと、お金を貸している金融機関さん、商工団体さんや中小企業支援機関などの公的支援機関、私のような経営コンサルが、企業さんの経営を分析して議論する「共通フォーム」として使います。
例えば、私がメインコンサルで、中小企業さんと金融機関さん、商工団体の若手指導員さんを交えた経営改善ミーティングをやるような場合、ロカベンを使ったりします。
 
中小企業の皆さん、「ロカベン」は、経営分析を行う唯一の方法ではないです。
『自社の経営健康診断に「ロカベンシート」というのが無料で使える』という事だけ、知っておいていただければOKです。
 
なお、本稿で使用している「ローカル・ベンチマーク」画像は、経済産業省さんのサイト情報の抜粋です。
筆者の手による改変等は一切行っていないことを言明します。
 
それでは、本編、スタートです!



(1)ローカルベンチマーク(ロカベン)とは?

ロカベンは、まず、3枚のワークシートを埋めていく事から始めます。
これらを埋めた後、経営状況を分析します。
・財務面(6つの指標)
・商流、業務フロー
・4つの視点(非財務面)

①財務状況

過去3期分の決算書を見ながら、必要な項目の数字を記入していきます。
決算書に書かれた数値の中で、「これに注目!」「ここが重要!」みたいな部分を入れていくイメージです。

②業務フローと商流の把握

これ、普段やらないですが、すごく大事な作業です。

・業務フロー

例えば、営業して、提案機会を作り、企画をプレゼンし、見積もりを出し、受注し、作り、修正し、納品する、といったビジネスの流れを図示し、「どこが強みなのか?」「どこに問題があるのか?」といった分析をしていきます。
 
・商流把握
自社が部品を仕入れて、外注を使って、製品を作り、クライアントに売って、それがエンドユーザーに使われる、といった「商品の流れ(商流)」に着目した図を作り、分析していきます。
昇竜拳とは無関係です。


③4つの視点

これは、結構作業量が多いです。
適当に作業すると答えを間違えるので、金融機関や支援機関、コンサルなどと一緒に作成・分析することをおススメします。

・経営者
経営理念、成長意欲など、「会社がどこへ行きたいか」です。
 
・事業
事業の強み、弱みを分析し、記入します。
 
・企業を取り巻く環境、関係者
市場、顧客、金融機関など、御社を取り巻く様々なステークホルダー(登場人物)などを分析します。
 
・内部管理体制
組織体制、商品開発体制、人材育成など、企業内部に目を向けて分析します。


(2)財務面(6つの指標)

↓のようなフォームに入力していきます。

入力情報を元に、下記の6つの財務指標(6つの指標)を計算し、業界の平均値などと比べることが可能です。
 
①売上増加率
どのくらい売上が伸びたか

②営業利益率
売上のどのくらいの割合が営業利益になったか

③労働生産性
従業員1人当たりがどのくらい利益を挙げたか

④有利子負債倍率(EBITDA)
有利子負債がキャッシュフローの何倍あるか

⑤営業運転資本回転期間
売上高の何か月分の運転資金が必要か

⑥自己資本比率
資産全体の中で自己資本の割合がどの程度か


(3)商流・業務フロー

以下のようなフォームに記入していきます。

①業務フロー

それぞれの業務の特徴、強み、弱みを記入・分析します。


②商流把握

商品・サービスをエンドユーザーに届けるまでの流れを記入・分析します。


(4)4つの視点

結構ボリュームのある作業ですが、じっくり取り組みたいです。


①経営者


②事業


③企業を取り巻く環境・関係者


④内部管理体制


(5)おわりに

ロカベン、やってみるとわかるんですが、結構時間がかかるし、頭も使います。
 
是非、社内の主要なメンバーも入れて「プロジェクトチーム」を作り、ロカベンシート作成に取り組んでほしいです。
特に「業務フロー」などは、自分の業務以外の部署が何をやっているかを知る絶好の機会です。
 
「こんなもん作っても、一円の売上にもならんのでは?」
と思う方も多いかも知れません。
 
ですが、これは、経営を見つめ直す、大切な作業です。
 
これをやるタイミングは、補助金申請だったり、経営革新計画だったり、「経営の分岐点」だと思います。
そこで、この作業をサボらずにやっておくと、そして社長と主要メンバーが認識を合わせておくと、御社の向こう10年が、きっと明るくなると思います。
 
コンサルや金融機関がサクサク作り上げても、意味ないやつです。
企業さんが納得し、実践しなければ、全く無意味です。
 
是非一度、本気で取り組んでいただきたいです。
そんな本気になった企業さんを、私は全力で応援したいです。
 
今回も、ご覧いただき、ありがとうございました。

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