[補助金申請虎の巻01]エビデンス概説
ども、ならなすおです。
今までお待たせして申し訳ございません。
今回は、中小企業さん向けの記事です。
あと3か月弱で、年が変わります。
そう、年末年始に、令和6年度補正予算の情報が出ます。
その後、各種補助金の募集がダーッと出るんですね、例年。
「補助金申請虎の巻」シリーズは、補助金シーズンを前に、心にとめておいて欲しい事柄を書き綴ります。
このシリーズ専用の無料マガジンを作っているので、連載を全部ブクマしていただく必要はないです。
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第1回は、「エビデンス概説」
エビデンスとは、証拠書類です。
補助金を目的通り使ったことを証明する書類です。
めんどくさいやつです。
本稿を読んでも、そのめんどくささが消える訳ではないです。
「なぜその面倒が必要か?」を示して、「役所と補助金受給者さんが、相互にバカだと思っている状態を解消したい」というのが、本稿の目的です。
私は元公務員で、めんどくさいエビデンスを審査していた側なので、そちらの気持ちが分かります。
他方で、今はコンサルなので、それを面倒に思う企業さんの気持ちもわかります。
両者の溝を埋め、前向きに補助金を使って成長してもらう企業さんを増やすのが、私の仕事であり、そのお手伝いを生業にしたいと思っています。
だから、一番面倒な所の説明から入ります。
シリーズもんなので、ご興味ある方は、これからお付き合いください。
なお、私が説明の対象とするのは、経済産業省系の「中小企業向けの補助金」です。
厚生労働省系の「助成金」は説明の範疇の外ですので、ご承知おきください。
では、本編、スタートです。
(1)制度の背景
①補助金とは?
補助金というのは、
政策目的を遂げるために、
国や地方公共団体が、
事業所や企業などの取組経費の一部を、
補助するものです。
まず最初に頭に置いておかなくてはいけないのは、企業さんの個々の事情ではなく、「政策目的」が前置している、という点です。
事業再構築補助金だったら、「コロナ禍からの復興」、省力化補助金だったら「人手不足の解消」ですよね。
この政策目的を「こうなったら達成ね」という客観指標が募集要項に必ず出てきます。
補助事業は、この指標達成に向かって取り組まなければなりません。
「政策指標達成」と「企業に今必要な投資」が合致する場合のみ、補助金を使ってください。
②法令・補助要綱の体系
いろんな補助金制度があるんですが、大元に、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(「適化法」(てきかほう)と略します。)というのがあります。
これがベースにあって、個々の補助金の交付要綱や決まり事ができていきます。
[適化法]e-govという法令検索サイトのリンク
適化法の文言を詳細に見る必要はありません。
私も覚えてないです。
大事なのは、個々の補助金制度(今国の話をしていますが、都道府県や市町村も同じです)が、法に基づいて作られている、という事です。
そして、個々の制度は、国会や地方議会の議決を経て成立した予算案件です。
つまり、「ルールが先にある」という事です。
そのルールがどんなに窮屈だろうと、自社にとって都合が悪かろうと、補助金事務というのは、ルールにのっとってやるしかないです。
途中で、役所や補助金事務局に「制度が悪いから変えろ」というのは、時間のムダです。
そこで頑張っても、大した成果は得られないです。
制度を理解し、窮屈さも理解したうえで、補助金申請に向かわなくてはなりません。
めんどくさいですよね?
だから私は、補助制度を丁寧に解説したいと思っています。
そして、補助金全体の中でもおそらく一番面倒なのが、「エビデンス整備」です。
③使途が限定される件
補助金を使って焼肉を食べに行く事や、海外旅行に行くことは、できません。
政策目的を達成するために「こんなことにお金を使ってね」という条件が、募集要項に出てきます。
それに基づいて、申請企業は、事業計画の中で「経費見込」を作ります。
そこに掲載した経費しか、補助の対象になりません。
(2)エビデンス
私、実は最近、補助制度の支援をしていません。
起業して間もなく、知名度がないため、受注をもらえていません。
2022年に中小企業支援財団を辞める前は、一補助金募集につき5~10本程度は支援していました。
今、手持ちがないので、すごく丁寧に応援できますよ(ちょっと宣伝)。
ご興味のある方は問い合わせフォームから連絡をください。
一時期保育園の副園長をやっていて、中小企業支援から離れていて、戻ってきたら、「事業再構築補助金」の評判がすごく悪くなっていてびっくりしました。
評判が悪いポイントは2つ。
・補助金コンサルが手数料を取り過ぎる
・確定検査が厳しくて満額交付されない
補助金コンサルの件は私は間接的な被害者だと思ってます。
私がもらえたはずの受注を返して欲しい・・・
でも本稿とは関係ないので割愛します。
中小企業さんにとって問題なのは、「交付決定されたのに、実際はお金が入って来ない件」ですよね。
なぜ、そんなことが起きるのでしょうか?
①もともとすごく面倒です
補助金事業のエビデンス整備については、経済産業省は「事務処理マニュアル」というのを作って公開しています。
[経済産業省の事務処理マニュアル]掲載サイト(公式)
https://www.meti.go.jp/information_2/publicoffer/jimusyori_manual.html
ちらっと見ていただくとわかるんですが、鬼のようにめんどくさいです。
「備品費」というので例示しますね。
設備や備品を買うときは、
・適正価格で買うための見積が必要
↓
・何を買ったかわかる仕様書が必要
↓
・買う事の社内意思決定が必要
↓
・業者の請書や契約書が必要
↓
・納品を受けた証拠が必要
↓
・買ったものの台帳整理が必要
↓
・業者からの請求書が必要
↓
・銀行振込で払込を証明する必要
これらすべての書類の取り方、日付、体裁などに注意する必要があります。
エビデンス、めんどくさいでしょ?
でも、(1)の②に既に書きました。
「そのルールがどんなに窮屈だろうと、自社にとって都合が悪かろうと、補助金事務というのは、ルールにのっとってやるしかないです。」
そこまでして、何故補助金制度を使うのか?
お金がもらえるからです。
補助金で200万円交付を受ける、ということは、「営業外収益」の200万円入金とほぼ同じ価値だと仮定し、御社の売上高営業利益率(売上のどのくらいが利益として残るのかの率)を10%と仮定すると、「売上2,000万円分の価値」に匹敵します。
2,000万円売り上げるの、どんだけ大変ですか?
それと比べて、この事務のめんどくささ、どうですか?
2,000万円売り上げないとできなかった設備投資を、国の補助金を使って今できる。
そのチャンスを、逃して欲しくないです。
とはいえ、事務処理が煩雑なのは認めます。
そこに丁寧にアドバイスしてくれたり、モニタリングしてくれる人が必要。
それが、「認定支援機関」であり、コンサルです。
私は認定支援機関ではありませんが、そういうの、得意です(また宣伝)。
②補助金事務局が民間企業
もう一つ、最近の傾向として、補助金事務局が、中小機構(中小企業基盤整備機構)や中央会(全国中小企業団体中央会)などの半公的機関ではなく、民間企業に外注されるようになってきました。
これは、ものすごくざっくり言うと「審査する方も素人になった」という事です。
より大事になってくるのは、「マニュアルの読み込み」と、「素人が○を付けやすい運用」です。
すみません、怒られそうな事を言います。
補助金事務局と中小企業者さんの言い合いって、無意味だと思う。
素人と素人が言い合って、正解が出てくるわけ、ないです。
しかしながら、その膨大な問い合わせに、行政の担当課がすべて対応するのも無理です。
よって、現時点の最適解は、「素人である事務局を納得させやすい方法で補助事業を執行する」という事だと思います。
この辺も、私、得意です(また宣伝)。
(3)誰も悪くない
補助金事業で経費が否認される(ダメって言われる)って、中小企業さんからすると、「お金くれるって言ったのに、くれないって、おかしいよね?」という気持ちですよね?
そのとおりです。
全く間違ってない。
でも、補助金事務局の人も、「マニュアル通りに運用してるのに、中小企業さんが訳わかんない事言ってる」という感じがしていると思う。
こっちも、間違いではないんです。
制度のグレーゾーンって、あるんですよね、、、
そこ、本当は、法令や実務に精通した担当官でないと、○×の判断ができないんです。
つまり、誰も悪くない。
バカ、一人もいないですよね?
だからお互いに「バカ」と思うのはやめましょう。
そして言い合いをやめましょう。
時間のムダなんで。
とはいえ、「経費出しません」に対して、「わかりました、泣いときます」とも言えませんよね?
そうならないように、戦略的に立ち回りましょ、って話です。
それがこの「補助金申請虎の巻」シリーズです。
私の宣伝だけではなく、本当に中小企業さんの役に立ちたいです。
ちょっとでも多くの中小企業さんに読んで頂けたら、嬉しいです。
(4)おわりに
私、元県職員、財団職員なので、企業経営を支援する能力では、大手コンサルファームの職員さんに負けます。
でも、公的支援制度の活用の仕方についての知識と実践は、コンサル界でトップ5%に入る自信があります。
そして、これまで中小企業目線でしか仕事をしてこなかった自負があります。
内部留保(企業内の蓄え)の少ない中小企業さんが未来への投資をするため、補助金を使う。
その大変さ、必要性が、私には痛いほどわかります。
どうか、お手伝いさせてください。
それを、生業にしたいです。
これから、全力で「補助金申請虎の巻」を書きますので、お付き合いください。
ご覧いただき、ありがとうございました。