[補助金申請虎の巻03]付き合いを大切に
ども、ならなすおです。
このシリーズは、2025年の年明け以降に出てくる、経済産業省系の各種補助金へのエントリーを目指す中小企業さん向けに書いています。
今回は、「一匹狼では補助金は使えない」という現実に触れていきたいと思います。
ビジネスをする時、全額自己資金の場合、誰にもお金を返さなくていいです。
どんな無茶をして失敗しようが、自分のお金が減るだけです。
しかし、銀行からお金を借りている場合や、知人からお金を借りている場合。
貸した組織や人は、お金が返ってこないと困るので、当然色々と口を出します。
また、大口の取引先ができた場合。
その先様は、御社がメチャクチャやって潰れたら取引に支障が出るので、当然色々と言ってきます。
そして、補助金を使う場合。
役所は、それが正しく使われるかどうか、チェックします。
財源が税金なので、正しく使われたかどうかの報告義務を負っているからです。
補助金の適正使用について、細かく色々言ってきます。
そうした利害関係者を「ステイクホルダー」と言います。
「ステイクホルダーからいろいろ言われるのがめんどくさい!」という人は、補助金申請に向いていないばかりでなく、おそらく経営そのものに向いていません。
むやみに敵を増やす企業、潰れますよね?
今回は、補助金活用に必要となる「付き合い」とその理由について書いていきます。
お付き合いいただければ幸いです。
本編、スタートです。
(1)補助金活用で想定されるステイクホルダー
補助金を使おうかな、と思っている皆さんに必ず関係してくるのが、下の方々です。
①金融機関
補助金慣れしていない方にはご理解いただくといいと思うんですが、補助金て、交付決定があったらすぐ入ってくるわけじゃないです。
ぜーんぶ終わった後に、振り込まれます。
つまり、お金を立て替えとかないといけないです。
そのお金をどうするか?
大体の場合、銀行さんから借ります。
②中小企業支援機関
商工会議所さん、商工会さん、中小企業団体中央会さん、県の中小企業支援センターさん、などなどです。
補助制度によって、支援機関の確認書が必要だったり、事務局が支援機関だったりするものがあります。
そういう所とは当然仲良くしておいた方がいいです。
③業者さん
設備とかシステムを買ったりする相手方さんですね。
納期の指定とか「見積もりの日付が違ってたら修正して」とか、頻繁にやり取りします。
また、IT導入補助金、省力化補助金などの制度では、業者さんの助けがないとそもそも申し込めないです。
④役所と補助金事務局
申請書を出す相手方ですね。
お金をもらう段では、検査の相手方になります。
厳しい事を言われるときもありますが、仲良くしておかないと事業が円滑に進みません。
これは、補助金関係なく思う事なんですけど、関係者と変なもめ方をする企業さんって、伸びないですよね。
もったいない。
その一手間が、うん百万かも知れないですよ?
(2)金融機関との付き合い
①補助金は、事後振込
前でもちょっと触れましたが、補助金は、最後に入金されます(「精算払」と言います。)
途中で支払いを受ける「概算払」というのもあるんですが、これは事前に事務局の承認を得ないといけなくて、結構めんどくさいです。
で、入金されるまでの間に、補助事業(つまり設備とかシステムとかを買う)を執行して、お金を払っとかないといけない訳です。
900万円の投資事業をして、400万円補助金を取ってるとしますね。
御社に必要な現預金は、500万円ではなく、900万円です。
900万円払った後に、400万円返ってきます。
「うっそーん、そんなキャッシュないわー」
という企業さんに、「つなぎ融資」をしてくれるのが銀行さんです。
このようなケースは「売掛債券担保融資」(入金が確定している約束事を担保にお金を貸す。「うりさい」と略します)に近いと見なされ、短期借入金だけど、金利は割と安くなります。
②自己資金も必要
補助金は、事業費の満額が出ることはなくて、大体が「補助率1/2」「2/3」とかそんな感じです。
つまり、残る1/2だったり1/3だったりするお金は、企業さんが負担しないといけないです。
更に、補助金のほとんどは、消費税が対象になりません。
990万円(税込)の設備を買って、1/2の補助金を取ったとします。
補助金は、税抜額の1/2もらえるとすると、450万円です。
残りの540万円は、企業さんの手出しです。
結構な額、自腹を切るので、足りない額を銀行さんから借ります。
この2つ以外にも、「金融機関確認書」という書類が必要なケースもあるので、メインバンクさんを無視して補助金にエントリーできる可能性はほとんどないと思っていただいていいんじゃないかと思います。
(3)中小企業支援機関との付き合い
公的な中小企業支援機関。
「いっぱいあってわからん」という方が多いと思うので、少し解説します。
①認定支援機関
正式名称は、「認定計画革新等支援機関」です。
中小企業支援に関する専門的知識や実務経験が一定レベル以上にある者として、国の認定を受けた支援機関で、銀行さんや、商工団体さん、税理士さん、行政書士さん、中小企業診断士などが認定支援機関になっています。
わたくし(弊社)は、まだ実績が足りないので認定支援機関になってないです。
実績が早く欲しいので、安くしとくので、発注してください。
以下が認定支援機関検索システム(中小企業庁)のリンクです。
②商工会議所・商工会
小規模な中小企業さんが協力して何かをやったり、国に働きかけたりするために、全国各地にあるのが商工会議所、商工会です。
原則、市にあるのが商工会議所、町村にあるのが商工会なのですが、「平成の大合併」で町村が市に統合されたので、分かりづらくなっちゃいました。
補助金では、「小規模事業者持続化補助金」という、小さな事業者さんにとても使い前のいい補助金に必要な書類をお近くの商工会議所or商工会さんから出していただかないといけないです。
商工会議所・商工会には「経営指導員」という方々がいて、中小企業、小規模事業者への助言に当たっています。
③中小企業団体中央会
中小企業が連携するやり方として、「企業組合」とか「事業協同組合」という組織があります。
これらの組織の統括をしているのが、中小企業団体中央会(「ちゅうおうかい」と略します)です。
中央会は現在、ものづくり補助金、省力化補助金という2つの大きな補助制度事務局をやっているので、「うち組合とか関係ない」という企業さんも、中央会とのやり取りが出てきます。
④中小企業支援センター
都道府県には、1つずつ、「中小企業支援センター」(とか「中核的支援機関」と言います)というのがあります。
私のいる大分県だと「公益財団法人大分県産業創造機構」という所がそれです。
(ちなみに私、ここのOBです。)
ここは、都道府県からはっぱをかけられて、中小企業向け補助金の自県採択率を挙げようと頑張るので、無料で結構応援してくれます。
良い担当者さんと巡り会えたら、オイシイです。
(4)業者さんとの付き合い
設備を買ったり、システムを作ってくれたりする、要はお金を払う相手方さんですね。
この「虎の巻」の冒頭、私「エビデンスが一番めんどい」と言ったと思いますが、エビデンスを出してくれる相手方は、業者さんです。
癒着とかするとマズいですが、業者さんと仲が悪いと、補助事業なんか、やれないです。
①見積書等の発行依頼
見積書、契約書、納品書、請求書などの書類は、正しい日付で、正しい書類をもらわないと、否認(お金をもらえないこと)されてしまいます。
そしてこれらの書類、結構な確率で不備があるため、「再発行して」と頼むケースが多いです。
「そこ、めっちゃ頼みづらい、、、」とかいう感じだと、書類整備が滞っちゃいますよね。
設備業者、システム業者には、補助金事務に慣れた方々もいます。
そういう方とお知り合いなら、相談してみるのもいいかな、と思います。
②納品日の厳守
数年前の半導体不足以降、設備の納品って、遅いですよね?
そして、印刷物とかホームページとか、割と納期遅れますよね?
補助事業では、事業の終わりが1日でも遅れると、否認です。
かなり怖いっす。
特に、3月31日が事業終期のやつ(いわゆる「年度またぎ」)は、絶対見逃してくれません。
ホントです。
数百万棒に振ります。
業者さんには「補助事業だから納期厳守ね」って言っとかないとマズいです。
③その他
補助金のうち、IT補助金や省力化補助金というものは、申請に当たって取扱業者と協働する必要があるので、業者さんと仲が悪かったらそもそも申請できません。
業者さんは取引が増えるのでウエルカムだと思いますので、仲良く作業を進めてください。
ただし、癒着はダメです。
(5)役所・補助金事務局との付き合い
前にも少し書いたんで、今回は薄めにしときましょう。
事務局さんは大変忙しいので、「説明不足」とか「話が途中で変わった!」とか思う事があるかもしれません。
でもそれ、もう昔に戻らないです。
急に役所の人員が増えたりしないですし、民間企業で事務局を受託した方が急に制度に詳しくなったりもしないです。
これからどんどん「マニュアルベース」の時代になります。
グレーゾーンを想定し、取りっぱぐれのないように丁寧に動くしかないです。
中小企業さんだけじゃ、難しいかも。
私この辺、得意です(思い切り宣伝)。
(6)おわりに
中小企業さんの普段のご商売の中では、銀行、支援機関、設備業者、国などと関わる機会は多くないかも知れません。
だとすれば、補助金申請を好機ととらえ、こうした機関と仲良くしてみてください。
補助金て、リピート率が高いんです。
つまり、「一回美味しい思いをした企業は、また使いたくなる」という事です。
これって、嫌らしい意味にとって欲しくなくて、「いい制度だからまた使われた」という事だと思うんすよね。
だから私は、「知らなかったから使った事ない」ですとか、「面倒くさいから使えない」という企業さんを減らしたいんです。
繰り返しますが、丸投げは、ダメです。
使うべき企業さんに、伸び伸びと使って欲しい。
そのための手駒として、私を使って欲しい。
補助金を使った成長した企業さんが伸びると、私、ほんっと嬉しいんです。
これからも、そういう喜びを感じながら仕事をしたいです。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。