[エッセイ16]生成AIの値上がり
ども、ならなすおです。
今回は、エッセイ「生成AIの値上がり」です。
突然ですが、2024年12月、OpenAIの新しい生成AIモデル「o1 Pro」(オーワンプロ)が出ましたね。
価格は月額200ドル。
私が今使っているChatGPT Plusが月額20ドルですから、10倍ですね。
日本円で、今が月3,000円の支出だとすると、「o1 Pro」は3万円。
「手が出ないかな」と思ってしまいます。
性能は、格段に向上しているのだと思います。
数学、自然科学、プログラミングなんかの「超難題」を扱うことができるらしいですね。
月3万円のサービスになっても、欲しいという研究機関や企業は少なくないようです。
さてさて、生成AIが進化していくと、値段は、上がっていってしまうのでしょうか?
AIがたくさん学習し、計算するためには、データ量や計算機のスペック、膨大な電力などが必要になるので、生成AI全般の値段、そのうち上がるだろうな、とは思います。
「ChatGPT o1 Pro」のように急に価格が10倍になるようなケースは少ないかもしれませんが、徐々に一般市民や中小企業にとって割高感のあるサービスになっていくことが心配されます。
2022年にChatGPTが登場して以降、わずか2年で爆発的に普及した生成AI。
世の中が急激に便利になった一方で、中長期的にどう変化していくのかは、わかりづらい面があります。
今回は、エッセイ形式で、ざっくりと私見を書いていきたいと思います。
専門的な知識のある方はおそらく物足りないと思うので、読まなくていいかも知れません。
それでは、しばし、お付き合いください。
本編、スタートです。
(1)現在の生成AI
OpenAIの「ChatGPT」、Googleの「Gemini」、Microsoftの「Copilot」などの生成AIが普及し、有料版は3,000円/月前後の価格設定になっています。
ユーザーである我々の指示(プロンプト)に基づいて、テキスト、画像、プログラムなどを高速かつ大量に作ってくれる生成AIは、業界によってはもはや必需品ともいえる程、人間のサポート役を果たしてくれています。
今回出てきた「ChatGPT o1 Pro」は、研究者、エンジニアなどの「その道のプロ」の方向けのモデルで、「推論・思考の深さが他のモデルに比べて高い」とされています。
私は、経営コンサルタント(中小企業診断士)として、また、コンテンツ制作者として、業務の範囲で生成AIを使っています。
ChatGPT-4(無料版より優秀なモデル)や、DALL-E3(画像生成AI)を使いたかったのでChatGPT Plusに入り、月に20ドル払っていますが、今の時点では、「ChatGPT o1 Pro」ほどの高スペックは特に業務に必要ないかなと思います。
ただ、OpenAIさんの今回の「月額200ドル」という値付けが、今後の生成AIの動向を暗示しているような気がして、一抹の不安を覚えるのです。
(2)なぜ値上がりを?
冒頭にも少し書きましたが、生成AI が学習を進め、賢くなっていくためには、お金と手間がかかります。
ディープラーニングにおいては、参照するデータの量が重要です。
たくさんの情報を取得したり、それを保管しておくために、多額の資金が必要になります。
また、複雑な処理を高速で行う必要があるため、処理性能の高いコンピュータ(GPU)が必要です。
更に、賢くなればなるほど、指示にこたえるための計算量は増えます。
計算量が増えれば増えるほど消費電力量も多くなり、発電の際に排出されるCO2の量も増えます。
CO2の排出が地球の持続可能な発展にとって許容できる水準(カーボンニュートラル)かどうかも深刻な問題になりつつあります。
こういった事情から、私は、生成AIの利用コスト(月額)が、ちょっとずつ上がっていくのではないかと危惧しています。
私が利用しているGhatGPT Plusですが、2025年1月から日本の消費税10%が上乗せされることになりました。
20ドル/月から、22ドル/月になります。
純粋に税制に対応する措置で、上記のような事情が関係してなければいいのですが、、、
(3)将来どうなる?(AI自身の予測)
私の考えを述べる前に、ChatGPT-4o君にも聞いてみました。
(問い)
生成AIの機械学習が進むと、将来的に利用価格は上昇すると思いますか?
理由とともに教えてください。
(回答)
①短期的には上昇傾向
技術の急速な進歩や、大規模モデル開発に伴う計算資源やデータコストの増加により、短期的には生成AIの利用価格が上昇する可能性が高いです。
②中長期的には低下する可能性
技術革新、効率化、競争の激化により、中長期的には利用価格が低下する可能性もあります。特に、効率的なアルゴリズムやハードウェアの進化により、AIサービスがコモディティ(日用品)化する可能性も考えられます。
③結論
生成AIの普及が進むことで、最終的にはコストパフォーマンスの良いサービスが広く利用される未来が期待できます。
なるほど。
合理的な予測です。
(4)将来どうなる?(私の予測)
私は、AI投資にそんなに高額を割けない中小企業の立場から、以下のように予測します。
今、世界は、そして日本は、貧富の2極化が加速しています。
ヒト・モノ・カネ・情報といった資源を豊富に持っている企業は、それを使って「拡大再生産」を行えます。
10,000の資源を投資して、10,100の状態に成長する、というイメージですね。
(100の儲け)
他方、資源に乏しい中小企業は、拡大再生産を行えず、ジリ貧状態が加速していきます。
100しかなかった資源が、人手不足で98になり、業績不振で95になり、といった具合。
拡大再生産のためには「投資」が必要なのですが、お金も人も足りないから、できない。
そういう状況の中、出てきたのが、生成AIです。
少ない投資で、大きな成果を出してくれる可能性がある。
今こそが、ジリ貧状態を脱するチャンスです。
しかしながら、ここ数年で、生成AIの価格が上がっていくリスクがある。
チャンスを活用する少しの投資すら、ためらってしまう状況が起きかねない。
生成AIの短期的価格上昇は、投資余力の小さい中小企業を淘汰してしまうのではないかと危惧します。
未来をつかみ取るための「投資」。
躊躇していては、未来はありません。
しかし、価格は上がる。
高額なのに効果の薄い「エセAIソリューション」がはびこる。
長期的に、生成AIが世界に必要なサービスとして落ち着いたときに、それを使いこなせなかった中小企業は、消えているかも知れません。
「ChatGPT o1 Pro」に月200ドル使う必要性は薄いと思いますが、自社に必要な最低限のAI投資は、ためらうべきではない。
中小企業の応援団である私は、その企業に必要なAI投資について、それぞれの事情を踏まえて助言していかなくてはなりません。
それと同時並行で、安価で実用性の高いソリューションを日々探し、中小企業に紹介していかなくてはなりません。
(5)おわりに
すみません。
あまり夢のない話になってしまいました。
でも、限られた資源を使って未来をつかみ取っていく取組って、今回だけじゃないです。
1980年代、プラザ合意後の急激な円高進行の際も、多分そうだった。
バブル経済の崩壊後も、多分そうだった。
ITバブル崩壊後も、リーマンショック後も、多分そうだった。
そして、東日本大震災後も。
コロナショック後も。
様々な激動を経て、今現在生きている中小企業さんを、私は尊敬します。
軽はずみに「DX化とか、AI化とか、して当たり前です」とは言えない。
でも、日本国内の、急速な人手不足と、人口減による市場縮小は、もはや機械やAIに頼らないと賄えないです。
その分岐点が、向こう5年だと思う。
国もそれを分っているから、中小企業向けの補助制度を充実させてきている。
使うべき企業に、正しく使ってもらい、未来を獲得してほしいです。
「エセ」があふれる世の中で、誰の言葉を信じるべきか。
難しい時代に、私はできるだけ「役に立つ」と信じる情報を提供していきたいです。
そして、関わらせていただける少しの中小企業さんの未来を、ともに切り拓くお手伝いをしたいです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。