中小企業のDX-02「IoT センサー編」
ども。ならなすおです。
この記事は、中小企業さん向けになります。
DX体験記、IoTの「センサー編」です。
IoT(Internet of Things)のイメージとしては、今回の記事がたぶん王道ですね。
記事ボリュームも、めっちゃ大きくなっちゃいました。
5,000字超えちゃいました。
機械や部品、場所の状況を、センサーを付けることで、リアルタイムに状況を把握できるようになる。
そうすると、そのデータを経営に活用できるようになる。
データドリブン(データに基づいて判断をしたり、実践したりすること)というやつです。
余談ですが、私の頭の中のデータドリブンを見てください。
、、、ごめんなさい。
さっさと本編、行きましょう。
(1)どんなデータを取ろうか?
DXは何でもそうですが、「何に困ってますか?」から始めます。
困り事がない場合は、同業者さんの取組を見たり、先進事例を読んだりしましょう。
そうやって「○○を○○したら、○○ないいことがある。」という「戦略」を立てたうえで、IoTプロジェクトを始めます。
費用対効果のシミュレーションを早い段階でやっておくことが重要です。
A.問題発見
データが取れたらいいのに・・・
○○に使いたいのに・・・
↓
B.解決策検討
センサーを付け、データが取れたら解決するかも・・・
↓
C.試行
試しに自分でやってみよう!(自作など)
↓
D.実践
本格的なのを買ってみよう!
以下、センサーで取れるようになる情報の例をいくつか紹介します。
①環境計測
温度、湿度、明るさ、騒音などです。
・工場の温度、湿度
工場の温度が変わると製品の品質が変わってしまう、といった現場では、温度を常時把握しておく必要があります。
温度計を見に行かなくても、スマホに温度情報が届くような仕組みは結構有用です。
・部屋の開閉の状況
ドアの近くにセンサー(例えば光とか)を置いておくことで、「開いているか閉まっているか」を把握できます。
「開けっ放し厳禁」みたいな場所、結構ありますが、センサーを使って安く把握できれば楽ちんです。
・加工対象物の温度
食品、飲料などでは、温度を一定に保つ必要がある場合があります。
冷蔵庫や保管庫の温度の状況を、夜間も常時把握できれば、「あちゃー、夜中に温度が上がってた。結構な量の製品がダメになったー。」とかいう状況を避けられるかもしれません。
②カウントする
数を数える、回数を数える、という行為は、いろんな場面で大事になってきます。
動きを検知する加速度センサー、明暗の差で動いたことを確認する光センサー、距離を測って人が通ったことを把握する超音波センサーなどの出番です。
カウントするセンサーが活躍するのは、以下のような場合です。
・工作機械の動作
「ガチャン」と1作業したことを計測できれば、「1時間に何個作れたか」「止まってる時間がどのくらいあったか」などのデータが取れます。
工場内の主要な工作機械の、故障停止の頻度を把握して対応したり、部品交換の段取方法を変えたり、作業員さんの操作の改善を検討したり、といったことができるようになります。
・人流
これは、既にいろんな場所にセンサーが付いているやつですが、超音波センサーなどで、「人が通った」ことを認識し、カウントします。
例えば小売店舗さんなどでは、「時間当たりの人の多さ」「入店したけど買わなかった人の割合」などが把握でき、「店舗内オペレーション戦略」の立案に使えます。
次回触れる「カメラ」だと、個人情報収集の観点から問題が出てきますし、嫌がるお客さんもいるかも知れませんが、人数カウントのセンサーなら多分クレームは来ないです。
・部品の補充サイン
1個1個にセンサーを付けなくても、部品を積んでいる場所に「ここまで部品を取ったら補充」みたいなセンサー(重量でもいいですし、光でもいいです)を付けておけば、部品補充のタイミングを自動で把握できるようになり、現場のロスが減ります。
③異常検知
これが、現場のニーズが相当あるやつです。
何故なら、日本は「勢いが良くて設備投資していたのが結構昔」という企業が多いので、設備が老朽化しています。
でも買い替えられるほど現金を持っていない、という企業さんは多いです。
また、「自動機械に人が帰った後も一日中作業をさせる」というケースが増えてきているので、夜間の異常を検知する必要性も増しています。
・経年劣化、部品の摩耗
時間がたつと不調が出るのが設備のお約束です。
データ(例えば振動など)をセンサーで継続的に取り続けることで、そんな「劣化の兆候」を把握し、メンテナンスや部品交換を行えれば、「工場稼働停止」を避けられ、その分生産性が上がります。
・故障検知
古い機械で漏電が起きたりしたら、大変です。
また、配線が長いような現場では、どこが不具合箇所かわからず、点検に時間とお金がかかります。
電流センサーや温度センサーなどを故障が疑われる箇所にいくつか設置しておくことで、故障をいち早く検知し、事故を防ぐことができるかも知れません。
・防犯など
防犯カメラでなくても、光センサーなどで「ドアが開いた」ことを知らせてくれるようにしておけば、不審者の侵入を把握できます。
実際多くのホームセキュリティでは、センサーで異常を検知する仕組みが採られています。
(2)センサーの種類(例)
現場の状況を確認するセンサーをいくつか紹介します。
計測の精度が高いセンサーや、信頼性の高いセンサーほど、値段は高いです。
・光センサー
明るくなった、暗くなったを把握します。
「○ルクスより明るくなったらアラーム」とか「明るさを1分おきに知らせる」とかいう設定をして使います。
・温度センサー
これも、「○℃より高くなったらアラーム」とか、冷蔵庫の温度を3分おきに知らせる」みたいな設定をします。
・加速度センサー
部品や機械の動きを測定したりできるセンサーです。
「何回動いたか」とか「どっち方向に動いた」などを測定できます。
・超音波センサー
超音波の跳ね返り具合から、「距離」だとか「障害物の有無」などを測るセンサーです。
人が通った時にカウントなんかに使ったりもします。
・クランプ式電流センサー
流れている電流の量を図れます。
「機械が動いたかどうか」「漏電していないか」など、幅広く使えそうです。
・重量センサー
重さを測定します。
こうしたセンサーでデータを収集し、蓄積して、経営に活かしていきます。
(3)自作してみる
センサーを使ったIoT化、最初から大きな投資はできないので、お試しをやってみます。
よく、PoC(概念実証 Proof of Concept ポック)とかいうやつです。
どこまで自分でやって、どこまで専門家にやってもらうかが悩みどころです。
私も自分でやってみたことはあるのですが、「難しいな」という印象です。
ものすごく余談ですが、私のPoCのイメージは↓です。
自作のための道のりですが、ネットでいろいろ調べるのと合わせて、地域の「中小企業支援センター」や、「公設試験研究機関」のような所が実施する「IoTセミナー」的なのも、役に立ちます。
そこで学んだ内容をすぐ現場で実践できるわけではないですが、参考にはなります。
①マイコンとセンサーで計測器を自作
安く仕上げるために、小型のマイコン(ちっちゃいパソコンみたいなもん)センサーを使って、計測器を自分で作ったりできます。
[マイコンの例]
・ラズベリーパイ(Raspberry Pi)
ラズパイと略します。
・アルディーノ(Arduino)
・イチゴジャム(IchigoJam)
日本人(福野さん)が開発
子供用ですが、大人も使えます。
ちなみに「こんなセンサーが使える」という情報は、マイコンを検索し、使い方を覚えていく過程で、いろいろなサイトから収集できます。
②プログラミングツールで指令
プログラミングツール(例えば「Node-RED」など)で指令を書き込んでマイコン、センサーを動かし、情報を取得します。
ここで、「プログラミング言語を知らないといけない」という高い壁が立ちはだかるので、Node-REDのような、「言語を知らなくてもそこそこやれる」やつが重宝されます。
[Node-REDの日本ユーザー会]
③データ可視化ツール
計測データをわかりやすく(グラフ化など)するサービスもあります。
アンビエントデーター(株)の「Ambient」などです。
④Lチカ
デパ地下ではないです。友近でもないです。
「ラズパイとNode-REDを使って工作してみる」的なセミナーで、「ラズパイにくっつけたLEDランプを点滅させる」という演習があります。
初歩的なこの一連の学習メニューを、「Lチカ」と言います。
電気の知識もプログラミングの知識もない私からすると、「Lチカ」、相当難しいです。
言葉も難しいです。
「レポジトリ」とか「ラズビアン」とか「デプロイ」とか、、、
「あの、すみません。私、地球人なんで、地球の言葉で話してもらえます?」とか思ってしまいます。
⑤挫折した人へ
ご安心ください。
私も挫折しました。
というか、自分で全部やろうという発想は捨てました。
素人がはんだ付けとか、そもそも危ないので。
じゃ、試行錯誤の経験は無駄だったのか?
否。
「IoTってこんな感じ」というのを学ぶのは、とても大切なことです。
IoT製品を扱う事業者さんとやり取りをする時も、相手の話を理解しやすくなります。
専門事業者さんの作っている製品も、ラズパイやアルディーノで動いているのが結構あります。
(4)安定的に運用したい
自作ツールは、下記の理由から、現場投入を躊躇する場合もあります。
・計測が安定しない
・すぐ故障する
・漏電したりしたら危ない
そんな時は、「PoCにも、本格導入も使える価格帯」の製品を探してみます。
①ソラコム
IoT社会が来たら、「ネットに繋ぐ通信」がネックになるよね。
それ、解決しよう。
っという感じで、2014年頃に設立されたのがソラコムという会社です。
すごい先見の明です。
当然IoTに詳しい会社なので、様々なIoT製品を売ってます。
[ソラコムのIoTストア]
②i Smart Technologies(iSTC)
旭鉄工という愛知の自動車部品メーカーが、自社で取り組んだIoTの成果を、iSTCという会社を作り、「iXacs」という製品にして販売しています。
実際の工場で使った経験が詰まっているので、使いやすいと思います。
これを見てると良く分かるんですが、「自社IoT」を、販売用に「計測、通信を安定させ、セキュリティを担保した製品」にすると、やはりそれなりの値段になります。
[iXacsサイト]
PoCをそこそこやって、「データ、経営に使えるな」となったら、本格導入を検討します。
先にIoT化をしている先輩企業や、詳しい業者や専門家の知り合いがいると、とても心強いです。
前出の「IoTセミナー」的なやつ、是非参加を検討してみてください。
知識だけじゃなく、出会いが得られます。
個人の感想ですが、「専門家との出会い」「業者との出会い」は、リアルセミナーの方がうまくいく可能性が高いように思います。
(5)終わりに
中小企業のIoT(というかDX全般)で一番ネックになるのが、「情報を見える化する」という段階だと感じています。
PoC、重要です。
そこは、DX事業者さんに発注する件ではなく、もっと安価な「DXコンサル」が担うべき役割で、気軽に相談できるフリーランスのDXコンサルが地域にたくさんいるといいな、と思います。
以下、オマケです。
Thingsをコンピュータを使って動かしたり情報を取ったりしていく事に子供のころから慣れておくと、これからの時代、いろいろ便利だと思います。
その手のセミナー等も増えてきているので、小中学生の親御さんは、親子で参加してみるのもいいかも知れません。
コーディング、プログラミングなどに慣れたり、モノを動かしたりする事を学べるプラットフォームをいくつか紹介します。
こういうやつ、実は大人にもお勧めです。
・MESH
ソニーさんの学習ツールです。
温度センサー、人感センサーなども付いてます。
とても良くできてますし、簡単ですし製品がかわいいです。
・イチゴジャム
jig.jpという会社の創業者の福野泰介さんという人が開発しました。
プログラミング言語BASICというのを学び、IoTも学べます。
・スクラッチ
MIT(マサチューセッツ工科大学)がやっている、世界的なコーディング(プログラミング)コミュティです。無料です。
大人のガチのエンジニアにも、スクラッチを使ってる人、結構います。
今回も、ご覧いただき、ありがとうございました。
次回はカメラ編。
AIっぽい感じになります。
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