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中小企業のDX概論(従業員規模別)

ども。ならなすおです。

今回は、中小企業さん向けの、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に関する記事です。

マガジンの「DX体験記」、まだ投稿が充実してないですが、これからどんどん記事を増やしていきたいと思っています。
「ほとんどITやAI、プログラミングなどの知識がないけど、新しい技術を活用して人手不足の解消や生産性の向上を図りたい」という企業さんに読んで頂きたいです。

まず、「DXって何?」という話ですが、この記事では、IT、事務改善系のサブスクなども含め、「データを活用する業務を新しい技術を使って改善していく事」と定義します。
世の中の定義とは違いますし、「IT化とDX化は違う」という方はたくさんいらっしゃいますが、私が読んでほしい読者さんにとっては、その辺の小難しい定義は多分どうでもいいと思いますので、上記の定義でいかせてください。

具体的には、以下のような技術、サービス、製品を想定しています。

・システム
業務に役立つサービス(会計、人事なども含む)。
サブスク(月額課金制のサービス)を申し込むパターンと、業者さんに新しく作ってもらうパターンがあります。

・IoT
部品や機械などにセンサーを取り付けて、稼働状況などのデータを常時収集して、それを経営に役立てていく取組。

・ロボット
飲食店の配膳ロボット、家庭の清掃ロボットのように、指示を出しておけば勝手に動いて仕事をしてくれる製品、サービス。

・AI
コンピュータがボリュームのあるデータなどを学習して、仕事に役立つ形にしてくれる製品、サービス。
最近流行りの生成AIもこれです。

さぁ、前置きはこのぐらいにして、本編、行きます。
皆さんがおそらく一番聞きたい「どうすれば?」という話は、「(4)従業員規模別のDX」に書いたので、お忙しい方は(1)と(4)だけお読みください。


近未来刑事 (手袋がスマホ操作仕様?)
AIで生成

(1)DXに取り組む前提

①御社の何を、どう改善したい?

「なんかDXとやらが流行っているので、よくわからんがやってみたい」では、さすがに何から始めればいいか決められないです。

御社の問題は何ですか?
それをどうやったら解決できますか?
解決できたら、経営指標(売上、人件費、など)にどんなプラスの影響がありますか?

問題は、例えば以下のようなものです。

A.人手不足
求人を出しても応募がない、ベテランが退職して若手で穴埋めできない、中途採用の人材を教育している暇がない、など、人にまつわる問題です。
日本は人口減少社会なので、この問題は、消えないです。
「解決しないとやばい」やつです。

B.データ未活用
売上データ、顧客データなどがせっかくあるのに、集客に生かせていない、といった問題です。
「解決すると売上アップ等が期待できる」やつです。
多額の投資をしなくても、「エクセルで解決できた!」というケースも結構あります。

C.データがない
工場の稼働状況が把握できていない、お客さんの来店時間帯や単価などのデータが取れていない、といった状況です。
これも「解決すると売上アップ等が期待できる」やつです。
データのとり方から考えないといけないので、データがあるケースより少し面倒で、お金もかかります。

これら、問題の洗い出しと、解決策の検討を、先にやります。
「解決にDXを使う必要があるのか?」を考えるのは、その後です。

②経営者と現場の意識を合わせる

DXは、「経営者が旗を振る」(トップダウン)ケースと、「現場の要望から始まる」(ボトムアップ)ケースがあります。

始まりはどっちでもいいと思うんですが、始める段階で、双方(経営者と現場)が「うん、必要だよね」と思っている必要があります。

私、これまで支援してて痛感したんですが、「社長が必要性を熱く語るんだけど現場が冷ややか」とか、「現場のニーズは切実なんだけど社長のGOサインが出ていない」というケースは、DXを始めてもうまくいかないです。

③必要な環境は整備する

安全性の高いWiFiルーターとか、必要な月額サービスとか、そういうやつです。
それすら支出せず「頑張って無料でやろう」とすると、担当者さんや現場がものすごく苦労してしまうケースが多いです。
最低限、必要な支出や投資はしましょう。

近未来高校(黒板がでかい)

AIで生成

(2)登場人物整理

DXを実現するために関わっていく人物が何人かいます。
ここの用語も、違う使い方をしている人がたくさんいるので、あくまで「この記事をわかりやすくする用」だとご理解ください。

①ベンダー

DX関連の製品やサービスを作っている会社の事です。
サブスクのサービスの場合は、ベンダーに直接申し込むケースが多いです。
Freeeとか、OpenAIとか、そういうとこ(例)です。

②SIer(エスアイヤー)

製品やサービスの導入、使い方説明、問い合わせ対応などをしてくれる業者さんです。
例えば、「セールスフォース」という会社はたくさんのDX製品、サービスを作っていますが、使い方が難しかったりするので、御社向けにわかりやすく改造してくれたり、説明してくれるのがSIerです。
他にも、「AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)」なども、直接触るのは難しすぎるので、SIer経由で利用します。
地元のIT業者さんが、大手の製品のSIerをやっているケースが多いと思います。
あと、富士通さんなどの大手も、SIer業務をやっています。

③コンサルタント

ITコーディネータとか、中小企業診断士とか、そういう人たちですね。
私もこれです。
御社の悩みを聞いて、DXを用いて解決する道筋をつけるのを手伝います

④先輩

同業者さんなどで、「先にDXした人」がいたら、まずその人に聞いた方がいいです。
「やった人」に聞くのが、一番参考になります
コンサルタントは、知識はありますが、「DXを導入した経験」は少ない人がほとんどです。
話を聞ける先輩がいるなら、まずその人と会うところからDXを始めてください。

近未来デスクワーク(とげとげしてます)

AIで生成

(3)中小企業DX支援の現状

私、公務員や中小企業支援機関職員をやっていた頃、中小企業さんのみならず、ベンダーさんやSIerさんとも話をして、実情を聞きました。
「なぜ、中小企業のDXは進まないのか?」
個人の感想ですが、「誰が悪い」というのはないと思います。
人手不足も、データ活用社会も、AIの台頭も、世の中の多くの人々の予想より早かった。
そのため、地方が、小規模企業が、取り残されてしまった。
その遅れを、「もしかしたら取り戻せるかもしれないツールが生成AI」かな、などと思っている今日この頃です。

①コスパ

はっきり言っときましょう。
大手企業を相手にしてきたDXベンダー、SIerにとって、中小企業との取引は、「コスパが悪い」「割に合わない」です。
大手から受注した方が単価が高いですし、大手企業の社内には「DXに詳しい人」がいるので「問い合わせ」の件数も少なくなります。

サブスクの場合は、「問い合わせ対応をメールや専用フォームに限っている」ため、中小企業にも利用可能なサービスがたくさんあります。

ベンダー、SIerも人手不足は深刻で、「限られた人員で利益を作らないといけない」ので、「中小企業への丁寧な説明」「丁寧なアフターサービス」に人員を割けないのは、仕方ないです。

中小企業からしたら、「一世一代のDX」です。
ベンダーやSIerに色々聞きたいはずです。
でも、彼らはおそらく忙しくて、手取り足取りフォローしてくれる体制はとれないです。

②新興勢力

地元で有名なSIerさんなどが大手企業との仕事で忙しく、中小企業向けの業務に手が回らない代わりに、業界に新規参入してきた「安価な」業者さんが大量に出現しています。
この、「新興中小企業支援者」は、「玉石混交」(いい業者もいればそうでない業者もいる)です。
こうした業者さんから製品・サービスを導入してみて、
・全然改善しなかった
・めっちゃ納期が遅れた
・途中で見積が倍になった
とかいう現象は、よくある話です。
特に生成AIの台頭以後(2023年以後)は、新興勢力が驚くほどのスピードで増えてきています。

③手戻り

御社がもし、システムやサービスの開発、制作をベンダー、SIerに委託する場合、「最初の打ち合わせ」をめっちゃ慎重にやってください
ベンダー、SIerとユーザー企業で、「同じ言葉で話して理解しているつもりでも、イメージしているものが実は全然違う」というのは、すごくよくある話です。

こうして生ずる、「頼んだのと違うじゃん」「いや、頼まれたとおりにやりました」という口論の結果生じる修正作業を「手戻り」と言います。
お互いがお互いを「バカ」だと思ってしまう、とても不幸な状況です。
誰も悪くないです。
コミュニケーションが足りてないだけです。

私の経験上、中小企業のDXの現場では、50%以上の確率で、手戻りが発生すると思います。
本当に気を付けてほしいです。

近未来都市(白衣の人が多め)

AIで生成

(4)従業員規模別のDX

さて、やっと具体的なDX導入のイメージの話です。
従業員規模別に、中小企業を3階層に分け、それぞれが意識した方がいいDXのイメージを記載してみました。
ポイントは、「ベンダー、SIerは期待するほど手伝ってくれない」と覚悟しておくことです。
ベンダー、SIerも人手が足りないので、しょうがないです。

下表では、それぞれの階層ごとに、以下の点を記載しています。
以下の本記事中の表は全て筆者作成です。

・経営者のレベル
社長はこういう心づもりでいてほしい、というイメージです。

・担当者のレベル
こういう担当を配置すべき、というイメージです。

・ベンダー(SIer)のレベル
やり取りするベンダーさん、SIerさんのイメージです。
どの規模でも、丁寧にやってくれる業者さんがいたら、そことのお付き合いを大事にしてほしいです。

・環境構築
DX導入に必要となる環境整備(お金がかかるケースあり)です。

・コスト感
初期の導入費用(イニシャルコスト)と、月額(ランニングコスト)のイメージです。

①小規模事業所(従業員20人以下)

「コーポレート向けのサブスク」を使うにはちょっと人数が少ないかな、という規模の企業さんです。


②中規模中小企業(従業員20~100名程度)

業種によって異なると思いますが、「専用のシステムを作るのはちょっとお金がかかりすぎて、、、」と感じている規模の中小企業さんです。


③大規模中小企業(従業員50名以上)

本記事における「大規模」です。
既に経理システムや人事システムなどが入っている企業さん、というイメージです。

(5)終わりに

来週、某市の経営塾で生成AI関連の講義をさせていただくにあたり、ChatGPTやGPTsの情報を収集したり、使ったりしています。

やはり、感じるのは「玉石混交」です。
良いものも、そうでないものも、たくさんあります。
特に、生成AIのプロンプトやGPTsについては、変なサイトから収集してきて実行してしまうと、悪用(ウイルスが仕込まれていたり)されるおそれもあります。

これまでの「インターネット検索」でも「メールの添付ファイル」でも同じようなリスクはあったのですが、やはりネット社会では、「怪しいものを見極める力」や「参考になる情報を見極める力」がますます大事になってくるかな、と思います

中小企業のDX導入。
もはや「ベンダーまかせ」「SIerまかせ」ができる時代ではありません。
「自ら情報を取り、実践する力」「真贋を見極める力」を意識して、培っていただくといいかな、と思います。

私は、コンサルとして、企業さんとお付き合いできる範囲内で、DXが現場に浸透する形で導入され、各社さんの問題の解決に役立つよう、サポートしていきたいと思います。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

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