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【開発秘話】オリジナル版開発秘話24

次元回廊 ~忍者アクション・ボスラッシュ~

企画初期には存在しなかったフィールド。全てのフィールドに裏があると言う設定が出てから追加されました。
モチーフなんですが、世界各地の古代文明をいろんなフィールドに施してきたにもかかわらず、我が国日本を入れていないじゃないか。かといってこんな後半に来て屋根瓦に手裏剣投げる主人公なんてギャグにしかならないので、大和時代あたりの古代日本的な感じに仕上げました。
BGMは和風ロックと発注していたはずなんですが、アレンジ元の曲が難しかったみたい。俺はアクションゲームの中ではSFCのアクトレイザーが大好きなんですが、あれって最終面に今までのボス総出演なんですよ。企画初期はあれがやりたくて、おかんと戦うためには全部のガーディアンを相手にしなきゃいけないと本気で考えてました。プログラマ二人に却下されたんですが、じゃあ追加されたこのフィールドに中ボスラッシュで我慢してやんよ!と開発後期で死ぬ思いをしているduplexさんを死に追いつめるような豪華フィールドになりました。そんでBGMのアレンジに悩んでいるサミエルさんに「アクトレイザーのボスラッシュなイメージでいいんですよ。」と伝えたらああいうBGMになりました。俺の中ではサミエルさんに渡したら三味線かき鳴らす和風ロックで八木節ロケンロールになるかと思ってたんですがね。

そんなわけで、ルームガーダーの頭数をそろえなきゃならない。ただ闇雲に多くても深みがないので、モンスター図鑑でもみて関連のあるモンスターをチョイスしようかな!と図鑑をぺらぺらめくる。そこで目についたのがティアマト。
11匹のモンスターを子供に持つんですって!しかもティアマト自体がおかん的なイメージも持つし、人類を作る系の伝説もある。よし、ここのガーディアンはティアマトで決まり!……11匹かぁ。いいのかなぁ。ま、いっか。
こうなると11匹のモンスターのグラフィック、設定を考えないといけません。しかしモンスター図鑑には子供モンスターの名前は書いてますが絵がない。名前もぞんざい。ドラゴンてまたアバウトな!雄牛て!とにかくグラフィックさえ描いてしまえば俺の管轄から外れるぜ!と思ってましたが、やっぱりというか苦労しました。順番に説明してみましょうか。

まずケツからにょっきりシッポの生えたねーちゃん、ギルタブリル。こいつは図鑑に絵がありました。よいポーズの絵だったのでそのままいただき。毒を吐くぐらいしか説明されてないし。まぁ最初のルームガーダーなんでこんなもんでしょう。
クリール。水から飛び出て弾打つヤツね。最初こいつはスプライトとして作ってて、飛び出てきては3方向弾を撃つだけでした。ある日duplexさんがこんな風に修正してきたんです。11匹もいると攻撃がかぶるんだよね。忙しいさなかに熱心なご仁です。
次に雄牛。こいつはやっかいでした。図鑑には名前しかないし、どんなモンスターかもわからないし、そもそも雄牛ってただの家畜ちゃうんかい。これはもうオリジナルで考えなきゃしょうがないので、牛とは無関係ですが光弾を飛ばす敵に。何も考えずにグラフィックを描いたので、最初は通路の幅よりでかかったんです。まったく何を考えているんでしょうか。
ラハム。図鑑にはでっかい魚としか書いてない。初期案ではほんとに魚のまんまで、水面から飛び跳ねるだけの敵でした。ずいぶん後になって「設定を守って退屈になるより、面白い敵が増えた方がいい。」ってことで魚鎧騎士にしました。接近戦をするルームガーダーを作りたかったんです。爆弾で爆撃するとすぐ倒せちゃうんですが、ラハムの上や下にいると床越しに剣で攻撃してきます。実はかなり動きのパターンが多い敵なんで、一度じっくり正面からしばいてみてください。
ウリディンム。図鑑にはオオカミとしか書いていない。オオカミと言えばハウリングボイスだろう!ってことでウェーブ攻撃。ワープする動きは、もう歩くとか攻撃するとかグラフィック描くのがしんどかったから。ウソ。こういう動きがぱっと頭に浮かんだんです。インスピレーションを大切にね!じゃん。
バシュム。これもでかい蛇としか書いてない。ええーい、謎虫にしてやれ!
嵐の怪物。名前ですらないな。嵐起こしてればいいんだろ?デザインは勝手にやりましたが気に入ってます。
ウガルルム。ライオンとしか書いてません。ライオンがモチーフの敵はミルメコレオ、ブエル、ズーとかなりの数が出ています。伝承にあるモンスターってのはたいていがキメラモンスターなんで、強い動物ってことでライオンや蛇が鳥や馬と合成されたようなのが多いんですよね。ライオンモンスターの最高峰ってことでV-MAX攻撃してきます。デザイン、動きともに今回のゲームの中で一番のお気に入りです。アクトレイザーのブラッドプールのライオンボスをモチーフにしました。なんだ、パクリじゃん。
ムシュマッハー。イスラム版ヤマタノオロチです。ライオンと同じく蛇モンスターももうお腹いっぱいです。蛇を生み出す謎隕石にしました。なんでやねん。
ドラゴン。んもーここに来てありきたりなドラゴンなんて作りたくありません。悪魔っぽい感じのドラゴンにしました。コイツはduplexさんが出したネタで、実は上に乗れる敵ってのがありまして。

うまく仕掛けに絡められましたが、お盆を運ぶ悪魔みたいでなんだか情けないです。
ムシュフシュ。これもキメラモンスターですね。最強のルームガーダーとして登場してもらいましょう。下手したらガーディアンより強くてもいいやぐらいに。先攻版ではでかいだけでアゴ下から発弾筒かましてやれば楽勝でしたけど。ムシュフシュは2度死ぬ。こんな指定してなかった気がするな。duplex兄貴の暴走かしら?骨になるってのはロムを持たせたかったからですね。

そんなわけでドキッ!ルームガーダーだらけの次元回廊になったわけですが、実際出来上がって遊んでみると緊張感が足りません。ダメージ食らって吹っ飛ぶと別の画面に移っちゃって、いくらでも逃げられたからです。1体1体死ぬ気で戦ってもらいたいので、フィールド全体で聖杯使用不可にしました。
最初は全部倒さないと脱出不可能なんて案もあったぐらいです。そしてルームガーダーごとに戦う時は壁が閉まるようにしました。これで脱出不可能、敵のいない部屋に入ると何か出る!っていう緊張感も出ましたし、固定画面で戦えるのでプログラム側もパターンを作りやすかったみたいです。
雑魚もここにしか出てこない強烈なやつばかりでいいですね。サタン、デビル、アモンと悪魔オンパレードですよ。

あーそうだ。ミンメイ人形について説明しなけりゃねぇ。ゲートのある画面にいる妙な隠しキャラです。これは先攻版公開直前に入れたもので、duplexさんが常々「このゲームは遊ぶ側として楽しみたかったっす。」と嘆いていましたので、内緒で仕込んだんです。
プログラマ二人にはロムの場所も全く教えてませんでしたし。探す楽しみを取っておいてあげた訳です。そのかわりロムの隠し場所チェックは俺だけでやるはめになりましたが。
で、ミンメイ人形です。元ネタはテグザーの隠れキャラ。こっちは体力増やしてくれたりしましたけどね。テクザーってのは飛行機がロボットに変身する、当時の人気アニメマクロスの影響を受けていた訳で、ミンメイ人形ってのも元々はマクロスに出てくるものです。実際にテグザーで遊んでそっくりのグラフィックにしようと思ったんですが、まったく場所を覚えておらず、記憶だけでグラフィック描きました。同じような隠れキャラで巨人墓場に俺が焚き火で暖をとってますね。この二つもすぐに発見されちゃったよなぁ。どーなってんだ、貴様ら。

アクション的にハードになってしまったので、仕掛けや謎は単純になっちゃいました。ムシュフシュの隠れている場所はもっと複雑な仕掛けの予定でした。細い光がのびる部屋があって、そこにプリズム型ブロックを押すと光が屈折して隠し部屋の方向を示すっていう。しかもマップを4×5にまとめていないと正確な位置はわからないって仕掛けの予定でした。新たな仕掛けを作るほどの余裕がなかったのであんな形になってます。
マップに直接かかれた古文書も初期に書いたもので、マルチエンディング用の古文書を消す際に隠し部屋のヒントが増えてしまい、結局あまり意味のないものになりました。あれを解読する人がいた事はうれしかったっすね。
グラ2の隠し場所に「神」「命」と書いてある事にお気づきになられたでしょうか。

ガーディアンはティアマトなわけですが、こいつはもー苦労しました。下の企画書を見てもらうとわかるんですが、最初はあののびた髪の毛がぐるぐる回る予定でした。これはduplexさんに「勘弁してくれ」と言われてすぐにオミットされました。しかしながらその他の攻撃がこの回転髪の毛ありきで考えているもんだから、ものすごい隙だらけのガーディアンになっちゃいました。先攻公開版の状態ですね。髪の毛が回っていれば頭の上でやり乱射なんて出来なかったはずですから。
完成版にあたって、とにかく瞬殺されないように、一定の場所に立ち止まらないようにテコ入れ案を出しました。涙が流れて床に触れると大爆発を起こすとか、普段は仮面をつけててダメージを与えるとその仮面が追っかけてくるとか。一度は仮面案でいく事になったんですが、仮面を攻撃するとしばらく動きが止まるのでそれを足場に攻撃するって予定だったんですが、製作中に中止。何をやっても戦いが長くなるだけでそれが面白いのかどうかが疑問だったんですよ。それから四隅に無限マーク案が出てきたんですけど、これも長くなるだけでダメってことになりました。
しかし公言してしまった完成版公開日は迫る一方。ついにduplexさんがギブアップです。duplexさんが修正を入れて、これでダメならもう案がない!ってところまで来て今の形になってます。完全に長期戦仕様ですが、回転弾やコウモリの追加で退屈しない戦いになったとは思います。あぁ、最初は無限大マークじゃなかったな。四隅のが蝶でティアマト封印無限大は橋みたいな形してました。duplexさんが調整用に準備した画像を俺が全部無限大マークに変えたんです。
しかし、あの封印無限大を利用して髪の毛としっぽを封印したまま戦うなんて戦法があみ出されるとは。本来はあの封印無限大の上に乗ってしばくつもりで作ってます。すごいもんだ、ユーザーって。遊び方は作り手の想像を超えるものだね!

- 当時の企画書 ---------------------------------------------------------

位置はこのようにします。はしご横のスペースが安全地帯になりそうなので封じます。しっぽ上攻撃はなくしました。画像スペースがありません。
その代わりと行っては何ですが、第一発狂状態以降、口が開いてますので、そこから破壊可能な弾が画面を回るように(髪の毛とは逆方向)に発射するとか。弾は、ボス画像の中に、水色と黄色の炎を足しておきました。これは出現時の11の炎として追加したものです。
が、まぁこの辺りの攻撃の追加はお任せします。

髪の毛ですが、プログラム時の計算はわからんですが、縦と横、あとは斜めのときのつなぎパターンをいくつか描いてあります。
ちょうどMSXのLINE命令のようにドット(パターン)が計算されてつながってて、一直線の部分は縦or横パターンを並べて、線がずれる部分につなぎパターンを入れる、とこっちでは考えてました。
あとはその髪の毛の発射地点と、どこまで回転するかですが・・・・
ここにある画像をにらんでもらえれば、どのあたりから伸びた髪の毛パターンを描き始めているかはわかると思います。
頭のあたりはどこから生えても違和感ないとは思うんですが、問題は肩から下がっている2本の束。
これも髪の毛発射地点になるので、髪の毛の回転は発生地点は動かず、その発生地点から生やす事が可能な角度の間で回転する。
・・・わかりますかね?

これまた画面が昔のものですいません。とりあえず動きの説明です。
アンクを破壊するとマップにある11の玉(中ボスの魂)が中央に集合してこいつが現れます。

髪の毛どぶわぁー。
このまま髪の毛が回転してくれるとうれしいんですが。

目から高速光線も出します。
髪の毛どぶわぁー状態の時も出してきます。

しっぽ攻撃。左右、あと上にもあります。
ちなみに顔が恐いのは発狂状態。ダメージが2分の1以下になるとこれになります。
攻撃スパン、スピードが若干速くなります。

そしてさらに大発狂状態。
ダメージ4分の1以下で。攻撃スピードマックス状態。

盛り上がるのであれば、もっともっと掘り返してみようと思います。