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【開発秘話】オリジナル版開発秘話15

無限回廊 ~ちっとも無限じゃねぇ~

昔のゲームにはつきもの、ループステージですなぁ。常々思うんですが、最近のゲームでもこういうループダンジョンって結構有りますやね。これってメモリが足りない時代に不思議な広さ感を出す為の手法であって、腐るほどメモリと容量がある時代に何やってんだかと思いますわ。腐るほどあるのはLA-MULANAも同じだけどな!

さてさて、無限回廊ですよ。無限に続くって言うぐらいだから本当は20画面全部一直線につなげたい所でしたが。イメージモチーフは壁が古代中国、背景がアラビア。違う文明をおもむろにミックスしたらどうなるかと考えたのはほんのちょっとで、実際は背景のネタに困って思いつきをそのまま形にしただけです。キョウシ(キョンシー)が見事にはまりました。しかしこのフィールドはネタ切れが目立ちます。ここの敵、トリッキーなのは多いけどあんまり怖くないよね。

開発は体験版を出した直後に全体のマップ構想をした為、全フィールドに「これだ!」っていうデザインがされないまま保留されてました。無限回廊も初期の狙いではもっといやらしい、一度解いたら2度と見たくないぐらい、それこそ画面ループを使ってめんどくささが際立つようなものにしたかったんですけどね。長い事保留にしすぎました。最初は本当に1階層ずつ4画面がループして、1階層ごとに謎を解くぐらいしか考えてませんでした。マップの作りとしてはドラスレファミリーに近い感じで作ってました。各フィールドの迷路具合を強調する作業を進めて行く中、このフィールドまで迷路になったらさすがにマンネリだということで何かネタがほしかった。

背景に古代中国を取り入れた時に思いついたのが風水。博士が通ったルートに龍が走り、仕掛けが解けるってのを思いつきました。もっとこう、ダイナミックに画面中を龍が走り抜けるイメージだったんですがね。うまく伝えられず、地面にちんまり待機している龍が愉快ですね。そして、その龍の通る正解ルートは数字をたどるって言うアイディアが出てきました。えぇ、5階層全部年号たどりでした。その時出ていた問題を書いてみますと、
●カッパドキア発見>1965
●サッカーラ、ジェセル王の階段ピラミッドが造られた年>2670
●サンユクタ・アーガマの経の数は>1362
●母なる星ポ・トロの周期>49.98
と、その時検索かけて引っかかるのを確認しましたねー。この謎解きに検索エンジンを使うというのは、コンシューマー機ではなくパソコンならではのゲームの遊び方ってないもんかと考えて出したネタです。当時は結構画期的とか思ってたんですが、俺は本来Macユーザーなのでパソコンでゲームをやらないし買わないんです。だから数年後、Windowsゲームは大体の人がフルスクリーンで遊ぶという事を知り、ネット検索はしなくても何とかなる謎に落ち着いてしまいました(コナミらしく謎解きを説明書の中に)。さらにこの年号の一部が、「はるか大昔に作られた遺跡に最近の年号を訪ねられるのはおかしい」と指摘が入りまして。じゃあしゃーない、もっと古い年号とか数字とか探すかなーと思ったんですが、古ければ古いほど約BC2000年とか、年号が曖昧になるわ諸説あるわ、よーしじゃあピラミッドの石の数だ!あぁん、4桁ないよ!とやっているうちに、「……このフィールド、つまんねーな!」と思うようになりました。かくして年号たどりはせっかくなので1階層だけ残して全く別物に作り替えられてしまいます。しかしこのときの試行錯誤の覆水盆に帰らなさ具合にさすがにヘコんだらしく、1年ぐらいは手を付けないまま、何の仕掛けを置くか考えないまま放置してたと思います。だからこそ、新規の仕掛けを置くようなゆとりがなくブロックパズルが幅を利かせるし、採用を見送られ続けていたサミエルさんの考えた追跡ルームガーダーが設置される隙を与えてしまうし、「もっとループを活かした謎ないんすか?」といわれ数日悩んで時間制限仕掛け作ったりと、開発後半のあおりをくらった物になってしまったのです。しかも年号イベントがゲーム中1、2を争うほど、精霊と命の呪文と同じぐらいに組むのが難しい仕掛けになっちゃいました。

敵キャラいってみましょうか。何度も書いてますが無限回廊こそネタ切れが顕著ですね。サイドビューアクションの敵って横移動、飛び跳ねる、飛んでるの3つが基本で、それ以外の物って数は増やせられないんですよね。止まってる敵が増えてもしょうがないし。プログラマに渡す企画書も「横に往復」「時々跳ねる」ぐらいしか書いてません。それなのに、トビハナアルキ、サクシ、キ、キョウシ、モノコリと飛び跳ね方も横移動の仕方も、床の穴に対する動作も全部違うもんになってるんだからさすがのアクションプログラマーコンビです。一本足のモノコリは縦移動がメインのジャンプって指定したかな。キョウシはキョンシーみたいに!ぐらいしか指定してなかったはず。フシギハナモドキなんて壷と同レベルだわな。首のない馬、ジュウのセンオウのシなんて邪魔でしかないですね。不思議さは出せたと思いますが。これはガリウスのワールド7あたりで出てきた攻撃すると大きくなるパックマンみたいな奴をイメージしてました。これはネタに困ってネットから探したモンスターだったかなぁ。唯一、こりゃうまくハマったとおもったのがボナコン。ウンコ飛ばす牛ですね。これは横移動がメインのフィールドの中ではかなり効果的な邪魔さ加減だったと思います。これ、参考の為に買ったモンスター図鑑にウンコの飛ばし方まで図解説で載ってたの。火のついたウンコなんだよ。進行方向の逆に攻撃するってのも珍しいよね。放物線で骨を投げるスカルトンもなかなか効果的に置けましたな。

ガーディアンがいないから書く事も少ないなぁ。ブロックパズルは仕事先にまでメモ持ち込んで解けるかどうか、もっと難しく出来るか考え続けてたなぁ。パズルって、作るのはものすごく苦労するんだけど遊ぶ側から見るとたいした障害になってないんだよねー。しんみり。時間制限も組むの大変だったな。実は走り抜けるのが正解ではなく右の通り抜ける壁を使うのが正解にしたかったのに、アクション上手な人は左ルートでも時間内にくぐり抜けちゃったりして、修正版出すたびに密かに時間を短くしてました。

曲はながーい曲ですね。これはだいたい10年前ぐらいに作った曲を使いました。ぜんぜんゲーム向けの曲じゃないんですけどね。サミエルさんが気に入ったみたいだったのでなんとか採用されました。背景に合っているかどうかは俺にはわからない。

盛り上がるのであれば、もっともっと掘り返してみようと思います。