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【開発秘話】オリジナル版開発秘話19

巨人墓場 ~滑る面が欲しかったんです~

※このページの文章はプログラマのサミエルさんが当時書いたものです。

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ボスから師匠と俺ちゃんに下った指令。「フィールドを各自一つ作れ!」。
俺ちゃんが担当したのは大好きな巨人霊廟の裏面にあたる巨人墓場でした。ちなみにこのフィールドの名前ってだいぶ後になって付きました。
っで巨人墓場を作るにあたってボスから下った決め事は、フィールドの繋がりと、銀の盾があるのと、後なんだっけな、えーーーっと、なんだっけな。とりあえず「巨人の遺体が置いてある不気味な面だ!」って事でした。なので巨人の遺体をそこら中に置くのは決まってたんすが、それだけです。今から考えたらもうちょっと文明モチーフを考えるべきだったか。なんだか良くわからない氷の洞窟ですからね。
そこから俺ちゃんが絶対やろうと思った事として、他の面であんまり使われてないので「ブロックパズルをやろう」ってのと、「鍵爪が無いと取れないアイテムを置こう」ってのと、「銀の盾が無いと勝てない敵を置こう」って事かな。それにプラスして、めっちゃイヤらしい謎解きの面はおそらく師匠がやるのでアクション重視の面にしようって事も決めてました。いやーしかし師匠も書いてますがマップ構造の4*5ってのがわかってなくて・・・合計20画面って事だけじゃないんすね?ボスが直してくれたので事無きを得ていますが、すいません、未だにあまり意味がわかってないです。

さてそんな低次元な問題を抱えていた俺ちゃんですが、アクション重視でマップを作ろうとしてハタと立ち止まったんですよ。「これじゃ何かが足らない」と。
確かにアクションは出来る。でもLa-mulanaをここまで来た人ならそんなん余裕のよっちゃんですし、La-mulanaとして面白いと思えない。同じ理由で敵が強いだけなのは全く面白くないし脈絡も無いからそんなの絶対ダメ。針の間をギリギリで潜りまくるって言ってもキーボードで操作する以上(キーボードプレイしか想定してなかった)細かい移動は簡単。あまり意味が無い。
なんかこう、アクションの腕が求められて、「これはここだけ!」ってイメージが欲しいなぁ!と考えました。そこで「あ、そもそも氷の面が無いや」と思いつきました。
ゲームに氷の面ってのは結構出てきますよね。それって絵が氷なだけじゃ意味ないじゃないですか。普通のRPGならまだしも、アクションでそりゃないっすよ。んじゃマップをざーって組んで・・・

:「師匠、ほんますんません、この床・・・滑るんです。」
d:「マジすか!?」

と言う展開になります。
いやーーー博士のプログラムは元々「ガリウス」を想定して作られていた為、それ以上のことを組み込めるような構造にはなってなかったんです。それに「水中は動けるようにしましょう」とか「壁を掴めるようにしましょう」とか後から後から動きを追加した為、ロジックがとんでもない事になってたんす。そしてそこへ「氷の上は滑る」と言う新要素っすよ。今までの主人公キャラの追加要素の言いだしっぺがほとんど俺ちゃんだったので、この「滑る」は「勘弁してくれ」って言われたら氷はやめようと思ってました。滑らないなら氷である意味がかなり薄い。
そんな大工事なんすが、滑る床って、確かに「ここだけ!」のイメージが欲しかったのはあるんすが、本当にここしか出てきません。んーーーーーーバフォメットが床を凍らせるとか、なんかすりゃ良かったな。
しかしステージ自体はボスがかなりグラフィクスに凝ってくれて「凍ってます!」って印象のはっきりした面になりました。ちょっと隣接する3方がインパクト強すぎて完全に負けてますが。

さてさて、そもそもの「氷の面が無いやん」って言う発想が出た理由なんですが、凄い安直なんすが冒険物で溶岩と氷ってどっちか片方無かったら寂しくないですか?氷っちゅうか雪っちゅうか「寒いなぁここ」って面。溶岩の面が既に二つもあるのでここはもう「寒いとこいるやろ!」って感じです。
設定としては塔を飛ばす為のエネルギーとして熱を使おうとしたわけで、それのクーラーが必要じゃないですか。っで、熱を使った塔が飛べなかった理由がクーラーの制御に失敗した事が原因で、それがこのカッチンコッチンの空洞エリアなんだよって言うのを後から考えました。なんでそこに巨人の死体が転がっているかと言うと・・・疑問さ。作業中に事故が発生して出れなくなってしまったとか?まぁ面白ければいいんです。
いやいや、俺ちゃん、氷とか雪の面って好きなんすよ。多分ちゃんと考えたらおもんない面が多いってイメージあるんすが、魂斗羅のツンドラ(ツンデレではない)エリア、イース2のノルティアの氷壁、イース3のエルダーム山脈、サイコワールドの3面、レイドック2の1面など、曲が好きなとこが多いんすよ。ほんとに。その中でサイコワールドの3面はサイコワールドの中でも屈指にステージ自体が面白いので大好きっすね。集水波で足場作る。火炎波で邪魔な氷を溶かす。あのアイディアは素晴らしい。集水波を仕掛けに使うのはここだけなのが残念。

そんなこんなの思い入れがある「氷」なんでそりゃもうステージ全体の構成としては・・・ミスったなぁ。正直これです。
銀の盾を取る為に謎のカメ野郎「トウジン」と対面するじゃないすか。こいつはさっきの「盾が無いと勝てない敵」で、銀の盾が無いとまともに戦えないんですが、こいつらは銀の盾を守っています。実はこいつらに正面から挑むのがダメで、上から降りてくるのが正解って言う奴ですが、無理矢理突っ込めるんすよね!無敵時間延長とかしてたらもう余裕。これは作りが荒いっすわ。後トウジン自体の動きも甘い。ちなみに俺ちゃんの作った企画書ではウォーロイドみたいな形してました。カメになったのはボスのアイディアです。カメいいっすよねカメ。
次にミスったのがブロックパズル。確かに多少はまともなブロックパズルだとは思いますが、羽がありゃー結構どうとでも出来るんすよねぇこれ。うん、多分パズル作るのド下手です。
滑りまくるので針にあたるぜ大変だぜ!って事なんすが、残念ながら針に全然当たりません。ハクタクもカリアッハも盾でがっちりガードで問題なし。テイコウは正直アルゴリズムが面白く無いのが最大の問題です。ぜんっぜんアクション面ちゃうやん!アクションやったらむしろ次元回廊とかやん!
爆弾取る為の一連の仕掛けなんすが、これもねぇ・・・、「あれ?意外に簡単やんこれ」ってびっくりしました。なんや博士強いやん。それだけに最後の意地でカマイタチは色々調整しまして、そこそこ面白い敵になったかな?って感じです。慣れりゃ弱いっすがねー!あそこは変に暴れると天罰も食らう素敵ロケーションです。
他はケセランパサランにもうちょっとふわふわ感が出せたら良かったなぁ。サブウェポンを「ふわ」って避けるんすよ?この「ふわ」が激ムズで、ふわふわだそうとして遅くすると当たるし、かといって当たり判定無しにはしたくなかったんですよ。なんでかっちゅうと上手く撃てば破壊出来るのが重要やったからです。その妥協点ってとこすかねぇ。
そうだそうだ、この面には俺ちゃんがボスより託されたあるロムが「燃える正義の怒りを込めて」放置してありますね。アレは取った時に「あ・・・あーそうね、そうよね」って思ってくれたら幸いです。

そんなこんなの思い入れがある「氷」なんでそりゃもう、曲も気合が・・・入ったんすがね、入ったんすよ。入ったんすが、いやぁ、巨人のアレンジじゃないすか。っで、氷じゃないすか。詳しくはジュークボックスに書いたので良いとして、最終的には開き直って「氷の面の曲はかっこいい」で通しました。師匠に「新しい巨人墓場って聞いてるとなんかイース2思い出す」って言われて「やっぱまんまよね。」って思った俺ちゃんです。まぁ俺ちゃん自身が出来上がってから聞いて「これまんまやん!」って本気でびびったんすから。でももうなんかいいや、って。はまってるし。ねぇ?

巨人墓場は「初めて入る裏面」の可能性が非常に高いので「雰囲気変わった!って印象をつけないと!」と考えたんすが、表に「灼熱洞窟」と「死滅の闇」なんて言うとんでもないとこがあるから、なんかね、イマイチね。パンチよわ!元々は没曲にあるように「あんな感じ」やったんで暗いってか陰気やったんすが曲も元気になったしなぁ。とりあえず「ちゃうとこ来たー!」ってのと「なんか滑ってる!」ってのは成功したんかな?
何故かボスが滞在していたりする面ですが、ほんま俺ちゃんとしては迷いの門にジェラシーファイアーで凹みましたわー。覚えてろよ!

盛り上がるのであれば、もっともっと掘り返してみようと思います。