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【開発秘話】オリジナル版開発秘話22

滅びの塔 ~結局ジョカってなんですか~

後半戦の始まりである女神の塔へ行くための中盤戦の最後を飾る滅びの塔でございます。ここをクリアしないとヴィーが倒せませんからね。灼熱洞窟へ抜けたところにある石碑に賢者関連の石碑があるのもこのためです。ヴィーを倒すと女神の塔から産声の間に行けたりして賢者と会話、大きな謎が解けていくというストーリーを想定してます。
塔、といいつつ実はロケットなのは最初から考えていて、背景もかなりメカニックで行くつもりでした。女神の塔で書いたとおり、こっちの塔は旧式で失敗したってことでSFっぽさは少なくなってます。背景のメカニカルなアニメーションをやるためだけに灼熱洞窟の背景をあんな形にしたんですけどね。今じゃ背景だけが無駄にメカニカルです。

上に書いたとおり、このフィールドはゲーム中の要になるところなので初期段階からいろんな仕掛けを入れる予定だったのでなかなかうまくまとまってます。一度解くとあまり来ることはなくなるんだけどねぇ。
まず裏表合わせてやっとガーディアンが倒せるってのはこいつが始めてになるはず。アンフィスバエナ、サキト、エルマック、バハムートは表だけでクリアできるでしょ?アンクジュエルや生命の宝珠が裏にあるってのもここがはじめてかな?太陽神殿から裏の存在を見せて、滅びの塔で裏と表が対になっているというのを体感させようって狙いです。割と考えてるでしょ?
ぶっちゃけて言えば、槍を取りにくるためだけのフィールドと考えてました。頭の中では「ヴィーは槍がないと倒しにくいだろ。」という考えがありましたから。んなもんでボス作成時期にも

「ヴィーは槍がないと倒せない、そうじゃないと裏面クリア必須の意味がなくなるんですよ。」
「刀で倒せるようにしましたよ!」
「うぎゃああああああ」

こんなやり取りが繰り返されました。アクションゲームとして考えるならあらゆる手段で倒せる方法を作っておくのが正解なんですけどね。結果的には自由度があがってよい感じになったんですが、槍の存在意義が「塔の下にいるスライムを倒す」だけになっちゃってるのがイヤン。それならこんな便利な武器はもっと早く入手できたほうがいいよねぇ。むずかしいもんです。

月光聖殿、迷いの門、巨人墓場で裏面を満喫してここにたどり着く構造になってしまっているので、各フィールドからのルート確保のために仕掛けの密度は案外低いのよね。マップの隠し方なんてぞんざいですね。隠しショップはかぎ爪張り付きジャンプから刀でしばくっていうテクニックが要りますね。
MUはどこの古文書にヒント書いたっけな。古文書が素直にヒントになってるのも珍しいかな。ロムの隠し方とかぽつぽつと変わった仕掛けがありますな。まだまだひねればネタが出る時期だったのでしょう。迷いの門からの柱を落とす仕掛けとかね。
ここには新世サイザーが落ちてます。スナッチャーとか、おまけゲームロムとか、ほとんど聖母の祠とかの後半ステージに集中して置いてたんですが、「これから決戦って時にむきむきはまずいだろう」ってことでいろんなフィールドに分散させました。この新世サイザーって結局想定していた所まで完成できてなくて、本当ならF4画面でジュークボックスアプリと同じような画面が出る予定だったんです。後回し後回しになって結局「現状で動いてるんだからいいじゃん」ってことになりました。

さ。いろいろ仕掛けが凝っているようで実は単純なモノばかりな下半分はこれぐらいにして。このフィールドの肝は上半分ですわね。善の精霊とジョカですな。親父もいるね。善の精霊たちはXANADUのカルマモンスターのように「殺しちゃいけない敵」ってのが欲しかったんです。この手の散策ゲームにはあんまりいませんよね。最初は知らないうちに殺してしまうとクリア不能ぐらいにしたかったんですが。
こいつらは攻撃してきますが、ダメージがゼロです。この辺からこいつらは敵じゃないってのを推理してもらいたかったわけです。どいつも容姿・動きともに異様なのですぐに何かある敵とわかっちゃいますけどね。どーみたってルサリィが正解にしかみえねぇだろ!色気振りまいてしびれさせるような奴が正しい薬持ってたらいやでしょう。ルサリィはとにかく見た目だけで何か違う異様さを出したかったんで、ガリウスの7色目玉とか妖精のツブとかのように昔ゲームに見られるような「よくわからない」演出にこだわりました。
スカイフィッシュのことも触れておきましょうか。開発陣から「時間を止めることで活きるトラップ」をいろいろ置きたいっていう会議から出たネタのひとつです。元ネタはもちろん、その当時掲載されたジョジョに出てきたアレです。速すぎて見えない敵って聞いてすぐにアレが思いつきました。

問題はジョカですよ。こいつは古文書で散々謎めいた事が書かれていながらボスではないって言う少々がっかり気味で先行公開版ではアレがジョカだとは思われなかったみたいで。完成版にジョカというガーディアンが出るという噂まで出る始末。
ジョカってのは中国のモンスターで蛇の体に女の頭、人間を作り出したって言う設定です。漫画封神演技では宇宙人として出てきましたな。この人間を生み出したって言うのがLA-MULANAにぴったりだって事で登場してもらったんです。
何番目かの人類がおかんの生命を生み出す能力を真似してやろうと作ったメカで、「げぇぇぇぇ!ジョカは実はメカだったのかぁぁぁぁ!!」と驚かせたかったんですが。ジョカの動きを「ロマンシアのドラゴン」程度にしか指示しなかった俺が悪いですな。こいつにこそペリュトンで使った影から人が生まれるみたいな演出をするべきでした。
いくつもゲートをくぐると隠された最後のピラミッドが!ってのも大してインパクトなかったですなぁ。俗に言う設定が消化しきれてないって奴ですな。やーれやれ。全部にしっかりとした密度を持たせるにはフィールドが多すぎるんだよ。

曲は俺かいな。最初メカちっくだったからテクノ系で攻めたんですけどね。今となってはゲーム中でも異質なBGMだなぁ。俺にしては原曲の灼熱洞窟のメロディを素直に残してると思いますけど。


盛り上がるのであれば、もっともっと掘り返してみようと思います。