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【開発秘話】遺跡全体が巨大生物というネタ元

ここまで過去の開発秘話を掘り起こしてて気づいたこと。「遺跡全体が巨大な生物である」という発想の元ネタってどこにも公開してなかったなーって。
自分ではそれほど斬新なネタとは思っておらず、当時わりと良くあった人間世界の起源モノとでもいうか、そういうものの寄せ集めの発想程度だと思ってます。

もはやオリジナル版を作り始めた頃は10年以上前。最近LA-MULANAを触れた人や若めの人にはピンとこないことも多いかも。こりゃ話をする前に当時の状況ぐらいは軽く説明しないと伝わらないのかも。
昔話を嬉々としてやり始めるのはおっさんの証拠ですわな。

年齢的には大学を卒業した直後、時代的には21世紀に入ってすぐぐらいの頃です。ミレニアムなんたらっつって関係ない商品やサービスに付加価値つけていろんなもんがミレニアム限定なんて売ってて何がめでたいのか知らないが世紀が変わって浮かれてたような世間でもあり、1999年に世界が滅びるというノストラダムスの大予言が大外れした直後です。
テレビでは大予言信じる派のオカルト系の人たちが良識人に問い詰められるような番組もやってました。「実は1999年のことじゃなかった!」「マヤの神話の滅亡のことだったんだ!(2012年のこと。これも12年後に追い詰められる)」「今の日本の政権の波乱と世界の不況こそ予言だったんだよ!」というトンデモ弁明がとても楽しかったです。

「なんだ、人類滅びないじゃないか」という安堵と共に、「なんだ、21世紀になっても世の中ってあんまり変わらないな」なんて失望感も漂ってた、特に漫画やアニメなんかでも華やかな未来を描くものが減ったような、199X年過ぎたのに北斗の拳の世界は来ないし、未だ重力を制御する技術のかけらも発表されないことから2015年のバックトゥザフューチャー2の世界も実現しそうにないぞと。こりゃアトムもドラえもんも出来そうにないだろうとね。
調べるのは嫌いなんでソースも何もないけども、「時代が変わっても人は変わらない」みたいな論調の作品は多くなったと思いましたよ。

ちょうどこのぐらいの頃、ずいぶんレンタルビデオサービスが一般化してました。大学にいた頃の出来たての頃は、せいぜいガンダムの映画3本がレンタルできたぐらい。でもレンタルビデオという形が定着してきてからはガンダムのTV版までレンタルされてきたみたいに、放送当時見れなかったものでも見ることができるようになってたってことです。
確かまだLA-MULANAを作り始める前に「子供の頃から好きだった冨野監督作品で全く見てないものがあった」ということで「ブレンパワード」という作品を見たんです。このアニメの世界設定は「海底に沈んでいたオルファンという巨大遺跡?はどうやら生物のようで、宇宙に帰ろうとしてる。こいつが海上から飛び出すと津波で世界が沈むよどうしましょう。」って話でした。
もうこれだけでLA-MULANAの設定のほとんどの元ネタがバレたようなもんですね。

ただLA-MULANAの設定を考えるときに、ブレンパワードを元ネタにしよう!なんてストレートに考えたわけではありません。このアニメ、設定は複雑なくせにアニメ中ではなんとなくでしか判明しないので、あんまり頭に入って来なかったんです。オルファンは遺跡かと思ってたら生物だった!かもしれない?なんなのかな?という研究が続いているレベルからスタートしてたし、オルファンの内部も遺跡ぽかったり生物ぽい描写はありませんでしたし。そもそもなんで地球に落ちてきたのかなんて追求されることもありませんでした。
つまりブレンパワードが元ネタかというと半分くらいしか説明できてない。

当時他に影響を受けた作品があるかなと思い出すと、漫画のスプリガンてのがあります。これも特にLA-MULANAを作るから読んだわけではなく、同じ皆川亮二作品で「ARMS」が連載されていた頃に友人が「こっちも読めよ」と貸してくれたから読んだ。このスプリガンは遺跡の設定だけでなくいろんなものがLA-MULANAで活かされてます。
特に「遺跡全体が生物」ってところに影響を与えているのは「ノンモの箱舟」の話。これは巨大遺跡が実は宇宙船で、その遺跡の中には恐竜時代から世界の状態が詳細に記録されていて後世に伝えるためのモノだった!ていう話。「実は巨大遺跡」という部分はコレの影響がでかい。

他にも影響を受けたものはいくつかあるはず。LA-MULANAの中でも「母がなんで地球に落ちてきたか」ってのは説明してません。まぁこれは「そんな大昔の、規模のわからない巨大生物の話なんて誰も証明できるわけがない!」っていうスタンスで説明する気もありませんでしたわい。
この部分は大好きな漫画家、長谷川裕一氏の「マップス」の影響。マップス自体はSFスペースオペラですが、その中に「空間生物」ていう「宇宙船ぐらいの巨大生物で宇宙空間を住処とする生物」てのが出てまして。その生物は巨大なので人間ごときじゃコミュニケーション取れない、かろうじて資質のある主人公だけテレパスで会話してたぐらい、宇宙空間で人間の赤ちゃんの入った睡眠カプセル拾ったけど星に降りられない体なので主人公に依頼。でも生物として時間の感覚が人間とは違いすぎていて赤ちゃんの故郷の星では文明が衰退するほど時間が過ぎていたという話。
この「意思疎通のできない巨大生物」「宇宙を漂う未知の生物」って部分はLA-MULANAの母の設定の元ネタですね。

いやー。こうして書き連ねると「お前のオリジナル部分、なんもねぇじゃねーか!」って思いますね。所詮俺なんてそんなもんです。だからみんな安心してゲーム作ろうね!

ちなみにページトップの画像、LA-MULANA2のKickStarter開始時に描いたラフで、母LA-MULANAが自分の複製体EG-LANAを作っている絵です。ラフで終わってるのは「こんな巨大な規模のものを描く自信がない」のでやめておきました。
宇宙から地球に落ちてきたわけだから、きっとオカンは頭から地面に突っ込んだはずだ。その状態のまま複製作ったんだから複製も逆さまだ。だからLA-MULANA2の世界樹は上下逆さまなんだ!ってわけでした。

盛り上がるのであれば、もっともっと掘り返してみようと思います。