【プレスキット作成/記者訪問/取材対応】敏腕広報コンサルタントと新卒ドタバタ広報の二人三脚珍道中③
今回は、メディアリレーションズを築く事前準備として欠かせない【プレスキット作成】と、広報の醍醐味でもある【記者訪問】【取材対応】のお話。
内定者のころから自社理解と業界理解を深めるためにも、プレスキットに入れるメディア向け会社説明資料を作成していたならきち。
入社後はそのプレスキットを持っていざ記者訪問。最初は石川氏にも同席してもらいました。
誘致の甲斐ありついに実現した取材では、事前準備から取材中のふるまい、取材後のフォローまでの一連の流れを経験しました。
■登場人物
■プレスキット作成
報道関係者向けに自社の基本情報やロゴデータなどをまとめた一式をプレスキットと言います。
印刷した資料をまとめ現物としてプレスキットを準備する場合もありますし、最近ではホームページ上でデータとしてダウンロードできるプレスキットを用意している企業も多いです。
プレスキットの中に入れるメディア向け会社説明資料は、お客様や採用希望者に渡す一般的な会社案内とは別に作成します。
メディア向け会社説明資料と一般的な会社案内との大きな違いは、業界に関する情報やデータが含まれているかどうかです。
パワーポイントなどのプレゼンテーションソフトで、図表やグラフ、写真を用いてシンプルかつ簡潔に作成します。データや業界トレンドを盛り込むことを意識しましょう。
石川慶子氏からアドバイス
・メディア向け会社説明資料は、自社のことだけでなく業界全体を理解して作成することが重要です
・資料を見た記者がしてくるであろう質問を想定して作成する
■記者訪問
プレスキットを作成しメディア向け会社説明資料を使って予行練習をしたら、ついに記者訪問です。
情報提供したい旨を伝え、記者とのアポイントがとれたら記者訪問が実現します。
当日は約束の時刻に余裕を持って到着するようにしましょう。
記者の貴重な時間を割いてもらっているという意識を持ち、情報を簡潔に伝えられると良いですね。
緊張しすぎずリラックスしてコミュニケーションを取りましょう。
記者は多くの企業や団体を取材しているため色んな情報を持っています。一方的に話をするだけでなく、記者に質問をして会話を引き出し、有意義な情報交換の場にできると理想的です。
石川慶子氏からアドバイス
・記者のネタ元としての位置付けを獲得しましょう。「ここの広報担当者は頼りになる!」「色々知っている!」という信頼を得ましょう
・はじめのうちは記者訪問に緊張するものですが、信頼感を得るためには態度や話し方が堂々としていることも重要です
・記者からの質問に答えられなかった場合、弱々しく「わかりません……」と答えるのではなく、「それについては情報が足りないので、すぐにまとめて後ほどお送りします」と冷静に回答しましょう
・特に数字に関する質問は要注意。曖昧な回答をしてしまうのは絶対NGです。いったん持ち帰り、その日中に調べてメールしましょう
・疑問に思ったら「なぜその質問をするのですか?」と質問の背景を尋ねてみるのも良いでしょう。相手の意図がより深く理解できるため、追加情報を渡す際にも役立ちます
ならきちの体験談
・アポイントの時間はゆとりを持って設定するのがおすすめです。30分程度の面談のつもりが記者のエンジンがかかってしまい、世間話を含めて1時間半喋り倒されて困ったことがありました
・広報着任当初は記者との交流を兼ねて夜の会食に頻繁に足を運んでいましたが、自身の体調のためにできる限りアポイントは日中に取るようにしました。もし食事をとりながらゆっくりお話ししたいというのであれば飲み会ではなくランチ会を設定してみると良いかもしれません(※コロナ禍においては当分は自粛ですね)
・複数人の広報担当者で記者を訪問すると喜ばれます。記者からすると、一度に複数社の情報(=ネタ)を入手できるためです
■取材対応
プレスリリース配信や記者訪問などの地道な広報活動が実を結び、取材に繋がります。
記者から取材の申し出があったら、まずは取材を受けるかどうかを検討します。
取材を受けることが決まったら記者と取材対象者と日程を調整します。
この際、記者から想定質問をもらえるとベストです。「大まかなもので構わないので取材内容を教えてもらえないでしょうか」と尋ねてみましょう。
取材日が確定したら、事前に想定質問を作成し取材対象者とインタビュー練習をしておくと安心です。広報担当者が記者役をやります。
当日は取材に同席し、取材対象者のフォローをします。取材の準備として、自社の売上などのデータを最新のものに更新した状態で揃えて臨みましょう。また取材対象者の身だしなみを整えておくことも重要です。
もし取材中に質問に答えられなかった場合は、すかさず「その件については後ほど追加で情報をご連絡します」と伝えます。不足していた情報はその日のうちに調べてメールで連絡しましょう。
取材後には追加情報と共にお礼のメールを送り、記事になる時期が分かりそうだったら教えてもらいましょう。
石川慶子氏からアドバイス
・記者から事前に質問をもらえなかったとしてもあまり気にせず、自分で想定質問を作成して本番に臨みましょう。「当日意外な質問をして反応を見たい」など、記者なりの考えがあって事前に質問内容を知られるのを嫌がる記者もいます
・記者からの質問に答えられなかった場合の切り返し方を取材対象者に事前にレクチャーしておきましょう。切り返し方の例としては「いまは正確な数字が手元にないのであとで調べて広報からメールでご連絡します」などです
・取材当日の広報担当者の立ち振る舞いとしては、まず会話をリードして和やかな雰囲気を作りましょう。広報担当者が記者と取材対象者のコミュニケーションの架け橋になります
ならきちの体験談
・取材前に必ず一度はインタビュー練習をしていました。記者からもらった事前質問と作成した想定質問を元に、自分が記者役となってインタビュイーに質問をし、その解答はパソコンに記録して取材当日に持ち込みます。練習中にいいフレーズが飛び出したら「それは当日も言いましょう!」とキーワードを打ち合わせしておきます。逆に「その単語は言わないようにしましょう」「その言い方よりもこの伝え方のほうが誤解なく伝わりそうですね」など、NGワードや重要事項の確認もこの際に行います
・取材対象者と記者の両方と面識があるのは自分だけというパターンがほとんどだったので、まずは間に入って「社長、こちら○○新聞の○○さんです。○○さん、弊社の代表の○○です」といった形で自己紹介のタイミングを作っていました(この際、とにかく笑顔で!良い雰囲気作りを心掛けました)
・取材同席時は手元に自社の様々なデータやプレスリリース、インタビュー練習時に作成した想定質問への回答集などを持っていました。取材中、記者からの質問にインタビュイーが答えられなかった場合は「それは○○ですね」と代わりに回答したり、練習で言っていたことを伝えそびれている場合は「実は○○もあるんですよね!」などとインタビュイーにパスを出したりする役目を果たします
■次回 記者会見
第3回である今回は、プレスキット作成、記者訪問、取材対応と、盛りだくさんの内容でお届けしました。
次回はいよいよ【記者会見】についてお伝えします。
■本記事の内容を動画で見たい方は……
本記事は、石川慶子氏公式YouTubeチャンネル『石川慶子MT』のインタビュー動画を元に作成したものです。
本記事の内容を動画で楽しみたい方はこちらからご覧ください。
■関連リンク
▼広報コンサルタント 石川慶子 公式サイト
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